2016年4月1日。
ある経営決断が,世界を震撼させました。
なんと…1991年以来,ひたすら踏ん張り続けて25年。
あの「ガリガリ君」が,60円→70円に値上げしたのです。
(価格は税別)
販売元の赤城乳業株式会社の社長を筆頭に,社員約100名が総出でお詫びするCM動画は,YouTubeを通して,全世界に拡散。
国によっては,
「なんで10円上げるだけで謝罪しなければならないんだ」
という意見もあれば
「ウチの国なら,絶対こんなCMは無理…」
等,賛否両論のまま,世界を駆け巡りました。
私も,当時は動画を見て,
「もういいよ,無理すんな…たった10円だし…」
くらいに思いながら,2016年も,ガリガリ君を何本か買って,かじっていた記憶があります。
さて,このガリガリ君。
販売本数は,今や販売本数は5億本を突破。
ということは,10円値上げで,売上50億円アップです。
…という計算を脳内でして,思わず吹き出しました。
すごい…赤城乳業。凄すぎる…
と思いつつ,ふと我に返り,さらに吹き出しました。
なぜなら10円値上げの結果,売上50億円アップではないからです。
ほぼ,売上ではなく【利益】が50億円アップです。
言うまでもなく,売上から仕入れや経費を引いたものが,利益です。
多くの会社では,なかなか利益が出せず,7割の会社が赤字だと言われています。
一方,既存商品に対して値上げするということは,仕入れや経費はほぼ掛かりません。
50億円の売上アップのうち,ほぼまるまる利益アップとなります。
今回は,値上げのお詫びの動画をCMとして放映したので,CM料はかかったかもしれません。
まるまる50億利益とまでは行かないかもしれません。
ですが,「ほぼまるまる利益」であることは確かでしょう。
たった10円値上げして利益をほぼ50億円アップ…など,この先ガリガリ君以外ではお目にかかることは考えられないでしょう。
前提にあるのが,
(1)ガリガリ君は年間5億本売れている
(2)値上げ幅は10円と,ごく少額
(3)実際に,値上げしても,顧客離れがほとんどおきない
というものです。
ですが,少額である70円の商品だからといって,それを5億本売る販売網も,セールス力も持ち合わせていない,私達のような中小零細企業,個人事業主には,そのまま当てはめにくい価格戦略です。
真似まねないところは脇において,真似できるところだけを上手く取り入れていきたいものです。
具体的には次のとおりです。
1.顧客数のコントロール
ガリガリ君の場合,値上げをしたからといって,大幅に顧客数ダウン…ということにはなりませんでした。
このやり方は,大手の戦略です。
私達のような中小零細企業,個人事業主そして何よりも労働集約型産業では,客単価を上げて,客数を減らす努力が必要になります。
顧客の数は,減らさなければならないのです。
なぜなら,労働集約型…つまり,働いた時間がそのまま収益に比例するからといって,常にフル稼働では,サービスの改善や改良,マーケティングに時間を費やす時間がなくなるからです。
値上げをすることで顧客が減り,時間は空き…それでも,売上を落とさない。
これが理想でしょう。
ガリガリ君の場合は,生産力も販売網も充実しているので,顧客数を絞る必要はありませんでした。
ですが,それはガリガリ君だからです。私達は,顧客数を絞り込む覚悟で値上げが必要でしょう。
2.利益アップ
値上げ最大の魅力は,コストがほぼ掛からずに,利益が手に入ることです。
利益を確保したら…それを集客コストに回します。
上述の通り,値上げで,一部の顧客の切り離しは必要です。
その上で,新価格でもサービスを受けたい顧客は集客しなければなりません。
そして…また顧客が増えてきたら値上げ。この繰り返しです。
ガリガリ君は,60円で5億本売れている,そんな他にはない商品だからこその値上げ戦略でした。
私たちには私たちならでは値上げ戦略があるのです。
10円値上げして,利益50億円アップ。
これは,ファンタジーです。
ですが,ここまでとは言わなくとも,値上げと集客を繰り返すことで,どんどん仕事が楽になっていき,「収益アップ」の実感が出てくることでしょう。
最後に。
値上げは顧客を絞り込む作業の一環でもあります。
現に顧客が全然いなくて大変だから…という会社において,値上げが最適かどうかはわかりません。
ご自身で自己責任にて判断いただくか,下記の売上アップ改善診断で,値上げの適切性をご確認ください。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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