交通事故と人間の習性とマーケティング

交通事故と人間の習性とマーケティング

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ある人から聞いた話です。
アメリカ等の広大な国土がある国で,都市間を移動する道路…といえば,例えば写真のようなイメージではないでしょうか。

こんな道では…周りに物や目印がないので,どうしてもスピードが出ます。
また,何もないところで,ひたすら真っすぐ走っていると,眠くなる可能性もあります。

そこで,注意喚起のための標識を設置します。
すると…事故率が上がるそうです。

事故を防ぐための看板設置をすることで,事故が増える。
これは何故でしょうか。

その話をしていただいた方いわく。
何も目印がないところで,ずっと単調な運転をしていた時に…何かがあると,
「無意識にそこを目印にしてしまう」
のだとか。
そして,その看板にぶつかって,事故になる,ということのようです。

これは,実際にアメリカのような広大な国土をひたすら延々と運転してみないと,リアリティを感じないかもしれません。

ですが,次の例なら…あなたもきっと見に覚えがあるかもしれません。

今日,家に帰る途中に,大きな交差点で,一車線が封鎖されていました。
パトカーが止まっていて,赤色灯が輝いています。

事故かな?

そう思いながら,ゆっくりと規制された道をゆっくり走ると…
ぺしゃんこになった車と,おそらくスクーターだったであろう残骸が転がっていました。

ここまでの破壊具合を見ると…死亡事故でもおかしくありません。

…と思いながら,走っていました。

さて,ここまで読んで,何か違和感に気づいたでしょうか。

私の文章の書き方がおかしい,と言うことであれば,それまでかもしれません。
事故のあった場所は封鎖されています。
つまり,その脇を車で通っている,ということです。
そして,その事故の様子,潰れた車などを見ている,ということです。

要するに,前を向いて運転していないわけです。
もちろん,見ている時間は,ほんの一瞬です。
車間距離を取って,追突等しないように心がけながら【ゆっくり走って】事故の様子を眺め…通り抜けた後は,もとの早さと,だいたいいつも通りの車間距離にします。

そして,通り抜けた後に,バックミラーを見ると…後続の車は,はるか後ろ。
要するに私と同じように,事故の様子を眺めながら,ゆっくり走っていたのでしょう。

事故が起きて,車線が減少すれば,渋滞になるのは当然です。
例えば二車線あった道が一車線になるのですから,封鎖される車線を走っている車は,隣に車線変更しなければなりませんから。

ですが,渋滞になる原因は,決してそれだけではありません。
つまり,前を見ないで事故を見るためにゆっくり走る車が多発するので,渋滞発生に影響を及ぼすことになるのです。

さて,ぼーっと走っていて,ついその標識めがけて走ってしまう。
あるいは,事故があると,つい注意を取られてしまう。

これは,よく「目標設定」になぞらえて説明されます。
つまり,目標を見ずに,脇見をしているから,目標からそれてしまう,という考え方です。

これはこれで一理あります。

ただ,それだけでは片手落ちではないでしょうか。

別の表現をすると,「つい事故を見入ってしまう」という状況に対して,
「見ないでまっすぐ前を向け」
と言ったところで,注意をひかれるのは避けようがありません。
正論だけで実効性のない考え方ではないでしょうか。

ではどうすればいいのか。
一つの考え方として「知る」とか「認識する」ことが必要です。
つまり,
「人間はそういう生き物だ」
ということを認識する,ということです。

事故があったら,つい注意を惹かれます。
これを「注意を惹かれないようにするにはどうすればいいのか」ではなく,
「あ,今私は,事故に注意を惹かれている」
と認識すればいいのです。

つまり,本来,見据えておくべき目標から,別の何かに注意がそれた時に,
「あ,私は今,注意がそれている」
と気付く。こちらのほうが大切です。

注意がそれていることに気づいていれば,自らの意志で,注意を戻すことができます。

この考え方は,日常のビジネス戦略において,大きな役割を果たします。

例えば,ビジネス上の目標に向かって進んでいく時に,計画を立てます。
その計画通りに,日々実践します。

そんなある日,新しいノウハウを見つけたり知る機会があった時に…
つい手を出したくなる。

これは仕方がありません。
そういうものだ,と認識して,
「あ,自分はいま注意がそれている」
と気づけばいいのです。

その新しいノウハウも,
「今,自分は注意がそれている」
ということを自覚した状態で見ていれば,
「あ,これは今やるべきことではないな」
と気づいて,元の計画に戻れるようになります。

事故であろうと…新しいノウハウであろうと,注意をひかれるのは仕方がないのことなのです。
だからこそ,その上で対策を取ることがポイントとなるのです。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平

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