商品力と売上との間にある反比例の関係

商品力と売上との間にある反比例の関係

商品力と売上との間にある反比例の関係
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アメリカの作家,スコット・フィッツジェラルドは,次のような名言を残しています。
「第一級の知性を計る基準は、二つの相対立する思想を同時に抱きながら、しかもそれらを機能させる能力を維持できるかどうかということである」

要するに…「相対立する」とまでは言いませんが,昨日と言っていることが違います。

昨日は,売上を上げるために商品力を上げても意味がない,という話でした。
今日は…商品力を上げると,むしろ売上が下がることすら起きうる,という話です。

ある方と雑談をしている中で,
「ハゲと風邪を治せる薬を開発できたらノーベル賞ものだ」
などという話になりました。

ハゲはわかりませんが,おそらく風邪を根本治療できる薬が開発されることはないでしょう。

本当かどうかはわかりませんが,ある方から聴いた話です。
今の時代の最先端技術を以てすれば「虫歯が起きなくなる」方法を開発することは不可能ではない。
…とのことです。

これも,きっとその方法が開発されることはないでしょう。

なぜか。
世の中から風邪が無くなったら,医療産業は大打撃です。
そして,今やコンビニよりも多い,歯科医。
虫歯が存在しなくなったら,歯科医業界も大打撃です。

経済が大混乱する可能性すらあります。

社会全体の経済はともかく,その業界から利権を得ている人たちが,文字通り死守して,そういった技術を夜に出さないようにするのでしょう。

さすがに,風邪治療薬や,二度と起きない虫歯は…もしかしたら若干ファンタジーかもしれません。

もう少しリアルな話をします。

1990年代に,携帯電話が普及し始めました。

当時の携帯電話の機能は,通話とメールです。
せいぜい,着信音に音楽がなる,とか電話帳登録ができる…というレベルです。

いろいろ調べましたが,当時の端末料金がいくらかわかりませんでした。
そこで…仮に3万円だとします。

繰り返します。
当時の携帯電話の機能は,通話とメールです。

最新のiPhoneは,容量にもよりますが,値段は6万円代から手に入ります。

この1990年代の通話とメールしかできないような携帯電話と,iPhone。
値段は2倍しかない…ということになります。

この1990年代の携帯電話と,iPhone。
性能は何倍でしょうか。
私はiPhoneどころかスマホすら持っていないのでよくわからないですが…機能や性能の差は,2倍とか3倍というレベルではない,ということはご想像いただけるでしょう。

つまり,性能が圧倒的に上がり,その製造のコストが上がって,原価も上がって…でも,価格は,ある意味「たった2倍」でしかないのです。

つまり,当時の商品価値を基準に考えると,何十倍もの価格になるのでしょうけど,実際には2倍。その差を「売上ダウン」という発想をすることができます。

別の例を紹介します。
ある整体師が,施術をしています。
これまで,腰痛の治療を5回の施術で行ってきたとします。
ところが,どんどん施術の腕が上がり,3回で治療できるようになりました。
ということは,売上が40%ダウンした,ということになるのです。

これが,商品力と売上との間にある「反比例」の関係です。

ではどうしたらいいのか。
商品力を上げないことで,売上を維持する…というのも一つかもしれません。
ですが,それは不毛な考えです。

時間の経過と共に,商品力が上がっているならば,適正な値付けをすればいい,ということになるのです。

つまり,施術のレベルが上ったのであれば,それに伴い料金も引き上げをする必要があるのです。

…ここまで言えば,
「値上げすると売れなくなる」
と思われるかもしれません。

ですから,金額を据え置きにすると…商品力が上がって,売上が下がる減少が起きます。

結論としては,昨日と変わりません。
商品力を磨く以上に,売る力を身につけるべし,という話です。
売る力が見について…その後に,商品力が上がっていけば,その商品力にふさわしい値付けをして,販売することができるようになるのです。

特に,商品力が上がれば上がるほど,専門性が上がります。
専門性が上がるということは,その高いレベルを必要とする顧客が減る反面,そのレベルに「必要性を感じる」顧客が増える,ということです。

わかりやすく数値化します。

腰痛の痛みを10段階中3レベルの痛みだとします。
3レベルの治療をするのに,治療家のレベルが3で済むとします。
ということは,3レベルの治療をたくさんしていけば,治療家のレベルが上っていきます。

仮に5レベルまで治療の腕が上がるとします。
5レベルの腰痛を治せる様になります。

ですが,5レベルの腰痛に苦しむ患者は,3レベルよりは少なくなります。
5レベルの腰痛は,3レベルよりも痛い以上,治療の必要性は上がります。

もしそんな時に…5レベルに上がったのに,3レベルの患者ばかりを相手にして,薄利多売していたらどうなるでしょうか。
腰痛5レベルの患者が予約を入れられない…という事態になるのです。

ではどうすればいいのか。
5レベルの料金を請求すればいいのです。
すると,3レベルの患者の一部が,値上げに伴って去っていきます。その分,5レベルの患者に対応する時間が増えます。
そして5レベルの患者をたくさん治療すれば,さらに施術家のレベルが上がります。結果として,さらに値上げできるようになる,ということです。

商品力が上がったら,価格も上げなければなりません。
でないと,ほんとうに必要としている顧客を不幸にします。

商品力だけ上げれば上げるほど…売上が反比例するのです。
価格を上げるためには,売る力も上げなければなりません。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平

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