昨日,東京駅の大丸百貨店に買い物に行ってきた時のことです。
いつも買っている,ねんりん屋のバウムクーヘンを眺めていると,別のお客が来店。
店内のショーケースを覗き込んで…そのまますぐに立ち去っていきました。
店員は,そんな顧客に,
「ありがとうございました」
と丁寧のお辞儀。
「あ,ホントだ」
と思った次第です。
昨日まで3日間,マーケティングのセミナーに参加していた中で,興味深い話がありました。
講座の復習を兼ねて,今日のブログにします。
百貨店の接客は,買ったお客にも,買わないお客にも,一律丁寧に「ありがとうございました」とお辞儀をするそうです。
なぜなら,そこに経済合理性があるから。
つまり,そのお辞儀ひとつで,売上を上げているから,だそうです。
私は百貨店のことがほとんどよくわからないので,適当な計算をします。
現実とかけ離れているかもしれませんが,ご容赦下さい。
例えば来客数100人につき,実際の購入客は平均で10人だとします。この10人の売上平均が,1人あたり2万円。つまり,100人来客の結果,売上が20万円だとします。
100人来店して,100人購入する,ということはありえません。
購入する人もいれば,購入しない人もいます。
ということは,10人買ってもらうためには,(この計算例でいうならば)100人の来店が必要です。
ということは,100人全員が,少しずつお金を使っている,と考えてもいいわけです。
よって,20万円÷100人=2000円。
つまり,お辞儀ひとつで2000円の売上です。
ちょっと考えてみてください。
もし,購入した顧客だけに,丁寧に礼節を持って接し,購入しなかった人は「購入しないなんて客じゃねぇ」とばかりに冷たくあしらったらどうなるでしょうか。
上述の通り,来店する100人中10人しか買わなかったとしても,その10人の購入のために100人来店してもらわなければならないのです。
こんな冷たくあしらうような店に,来店するでしょうか。
もちろん,百貨店で買い物をする気がない,そんな人もいるかもしれません。
ですが,百貨店で買い物は好きだが,たまたまその日の来店では欲しいもの,合うものがなくて買えなかっただけかもしれません。
つまり,100人中100人が,すべて潜在顧客であり,10人が実際の顧客だ,ということになるのです。
さて,この考え方は,どこから来ているのでしょうか。
百貨店でも最も古いのが,三越。
ライオンの像で有名です。
歴史を遡っていくと,1673年に,呉服屋である「越後屋」として開業。
徳川家康が,征夷大将軍になり,江戸幕府が始まったのが1603年。
生類憐れみの令で有名な,第5代将軍,徳川綱吉が,1680年に将軍に就任。
これで,なんとなく時代感は伝わるでしょうか。
さらに,日本には1000年以上続く会社が7社存在します。
1000年とまでは言わずとも,三越同様に,創業300年以上の会社は605社あるそうです。
ちなみに,世界ナンバーワンの大国,アメリカ合衆国の建国が1747年。歴史は230年です。
少なくとも,アメリカよりも古い会社が日本には605社以上あるということです。
10年続く会社が数パーセントしかない,と言われる中で,倒産することなく344年続いた会社,三越。
会社を潰すこと無く本日まで会社を守り続けてきた秘訣。
その一つが,このお辞儀ではないでしょうか。
たかがお辞儀,されどお辞儀。
神は細部に宿る,と言われます。
小さな小さな,行動,言動,在り方,振る舞いにこそ,魂が宿るのです。
そういう意味では…非常に日本式であり,日本人による日本人のための考え方ではあります。
いまのこのグローバル時代に,どこまで通用するかどうかはまた別です。
けれども…時の試練を耐え抜いて生き残った会社の秘訣。
何か学べるものはあるのではないでしょうか。
つい忘れてしまいがちな,効率や効果重視で,目に見えない小さな「なにか」にまで気を配るからこそ,全体が輝く。そういったものがあるのではないでしょうか。
とても,抽象的な話です。
ただ,
「これをやれば明日売上がいくら上がる」
という話だけでは見えないものもあるのです。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
1つの集客法で7割以上を集客している。
これは危険です。
とはいえ,どうしていいかわからない。
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