昨日,札幌からの白老に戻る途中で,上記のアイキャッチ画像の広告を見かけました。
セールスコピーライターとしては,とても興味を惹かれます。
思わず…手元のiPhoneでパシャリ。
これが今日のお題です。
実に素晴らしい広告です。
ではこの広告。
どこに貼られていたでしょうか。
ちょっと考えてみて下さい。
この広告は,札幌から帰る途中の道の駅「花ロードえにわ」の中で見かけました。
貼ってあった場所は…トイレです。
男性用のトイレで,ちょうど立って用を足す間,嫌でも視界に入る場所です。
しかも…視界に入るだけではなく,しばらくの間,視線が固定される箇所です。
広告は,
「見てもらうことが全て」
とまでは言いません。
けれど,どんな優れた広告でも,
「見てもらえなければ無駄」
であることは言うまでもありません。
だからこそ,多くの場合,広告を見てもらうために,「注目の集まる」媒体にお金を払って載せているのです。
そう考えると,広告掲載料とは「注目料」とでも言えるかもしれません。
けれど…実際には,メディアの広告に対して,人は耐性を持つようになりました。
すなわち…「広告っぽい何かはスルーする」のです。
ポイントは,
「広告【っぽい何か】」
です。
明らかに売り込みの広告だ,ということでスルーするとは限りません。
何となく,
「ここに広告が出てそうだな…」
ということが,経験的にわかっている場合,スルーします。
例えば,新聞。
新聞紙面の下の方には,何が書いてあるでしょうか。
もちろん…広告です。
最下段まで,記事が書いてあることは稀です。
紙面の下段は,ほとんどの場合広告です。
ですから,新聞を読もうと思って開いても…大抵の場合,視線が下の方に行かずに,次の記事に視線が移動するのではないでしょうか。
これが,
「広告【っぽい何か】」
ということです。
…経験の蓄積上,あまり広告が見ない場所に広告が出ていれば,人は無意識にスルーすることはしなくなります。
ということは,高い注目を得られるということです。
お手洗いの,どうしても視線が一定期間向く場所に広告を貼る。
なんと賢いことでしょうか。
そして…その広告にいくら掛かったでしょうか。
同じ道の駅内の別の店舗の広告です。
もしかしたら,
「ここに広告貼ってもいいですか?」
「どうぞ」
だけで済ませているかもしれません。
掲載料を払ったとしても…広告媒体に載せるよりは,よほど少額でしょう。
最高の広告メディア。
それは,まだ誰もが広告を載せていないところに,広告を載せることです。
さすがに,お手洗い内にベタベタ広告を貼るのも限界があるでしょう。
また,広告効果も一時的かもしれません。
ですが,それは他の有料広告媒体も同じです。
非常に賢い広告の「場所」の話でした。
ただ,この広告が優れている点はもう一つあります。
世の中の広告の8割9割が,これを欠いています。
そして,この広告は,この点をきちんと表現しています。
そうです。
オファーです。
ゲリラ的にトイレにイメージ広告を貼っても,さほど意味はありません。
効果測定もできないでしょう。
ですが,今回のように,具体的に「レシート提示でコーヒー100円」というオファーがあれば,反応しやすくなります。
まして…場所は,道の駅です。
多くの場合,トイレで用を足す人は,ドライバーである可能性が高くなります。
そして,ドライバーの天敵は…睡魔です。
「パンを150円以上買えばコーヒーが100円」
というメッセージですが…この広告で売りたいのは,コーヒーだけではなくパンの可能性もあります。
ドライバーにとって,コーヒーは売りやすいもの。
けれど,パンを買うかどうかはまた別の話です。
だからこそ,パンとコーヒーをセットで買ってもらうための広告かもしれません。
一捻りしたアップセル戦略です。
ただ…その広告を見た人に「パン」を売るよりも,「コーヒー」を売るほうが買ってもらいやすいのではないでしょうか。広告媒体を出す場所。そしてそれを見る人を分析して,最適なオファーを提案。そしてアップセル戦略。
実に素晴らしい広告でした。
最後に。
この広告コピー自体が特別に優れたもの…ということではありません。
感動させたり,強いインパクトを残したり,記憶に残って忘れなかったり…そんなコピーではありません。
非常に「適切」なコピーです。
「売るためにどうしたらいいのか」
を考えて作ったコピーです。
芸術的なコピーではなく,売れるコピーとはこういうものなのでしょう。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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