非常時に試される「売上と顧客の命、どちらが大切なのか」

非常時に試される「売上と顧客の命、どちらが大切なのか」

非常時に試される「売上と顧客の命、どちらが大切なのか」
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阿蘇山の噴火に伴い、被害を受けた全ての方に、心からお見舞い申し上げます。
半年前の地震に引き続き、大きな被害を受けるに至った熊本の皆様は、一日も早く復興を遂げて災害前の生活を取り戻せるよう、願っております。

阿蘇山といえば、近くに友人の家族が経営する宿泊施設がある…と聴いています。
10年ほど前、遊びに行く予定でしたが…私がキャンセルして、それっきりです。
大きな被害がないことを願いたいところです。

ところで、この火山の噴火に伴って発せられる警戒情報、どんなものがあるのでしょうか。
私もよく知らなかったので、調べてみました。

【噴火警戒レベル】(気象庁HPより)
噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標です。

このブログを書いている時点では、噴火警戒レベルは3。

「居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす噴火が発生、または発生すると予想されています。登山や入山は避けてください。」
「阿蘇山の火山活動は活発な状態となっており、今後も本日01時46分と同程度の噴火が発生する可能性があります。」
(Yahoo!天気・災害HPより 2016年10月8日 16時00分現在)

さて、この噴火を受けて、報道番組を見ていたところ、火山灰が降り注いで、停電したり、車のフロントガラスに火山灰が降り積もって前が全く見えなくなったり…という状況を、生々しく放映されていました。

また、現地の宿泊施設もキャンセルが続出しているのだとか。

そんな中、ある宿泊施設の人が、テレビのインタビューに対し、こんなことを答えていました。
「大丈夫ですから、ぜひ現地(熊本)を見に来てください」

意図としては、キャンセルなどしないで欲しい…というようなものでしょうか。

さて、あなたはこのインタビューのコメントを聴いて、どう思ったでしょうか。
あなたなりに感じたことは何か、ちょっと意識してみてください。

言葉を選ばずに表現します。
私が感じたのは、今日のタイトルのとおりです。
すなわち、
「あ、この宿泊施設の人は、顧客の命よりも、自分の目先の売上のほうが大事なんだな」
と思ったのです。

繰り返します。
噴火警戒レベルは3です。

「同程度の噴火が発生する可能性」
がある、とされています。

10センチほどの火山礫が飛び散った…とも聞いています。
そんなものが頭に当たったら、重症で済めばラッキーです。即死してもおかしくはありません。

そんな噴火がまた起こる可能性が残っている状況で、
「大丈夫」
だと、なぜ言えるのでしょうか。
この宿泊施設の人は、気象庁を遥かに超えるレベルの火山に関する専門知識を有しているのでしょうか。

おそらく、それはないと思われます。
すると…この宿泊施設の人が言っていることは、このように解釈できます。

「また火山が噴火するかもしれません。もしかしたら火山礫にあたってあなたは死ぬかもしれません。でも、100%当たると決まったわけではないので大丈夫です。それよりも私の売上のほうが大変なことになっているので、火山礫が降り注ぐ中訪れて、私のためにお金を払ってください」

全国110ある活火山のうち1つ。
それが、私の自宅から15キロほどのところにあります。
15キロ離れているので火山礫が飛んで来ることは無いでしょうが…火山灰などで影響を受ける可能性は十分にあります。
あまり意識はしたくないのですが、対岸の火事とは言えないのです。

もし、その火山が噴火したら…そのときに、私は大切な友人や家族に
「今火山噴火して大変だけど遊びにおいでよ」
などとは言えません。

先程のインタビューに答えた人は、同居していない、遠くはなれたところに住んでいる子どもや孫が居たとして、今の状況で
「遊びに行きたい」
と言われたら、なんと答えるのでしょうか。ぜひ聞いてみたいものです。

ですが…顧客には売上をもたらしてほしいので、来て欲しいとでも言うのでしょうか。

もし、このインタビューを受けたときに、
「いや〜3連休の、行楽シーズンでこれはさすがにキツイですね。でもまだ噴火警戒レベル3だし、安全だとは言い切れないので、キャンセルは当然でしょう。お客様の安全のほうが大切です。火山が落ち着いて、安全が確認できた時こそ、また是非遊びに来てください」
このように言えたとしたら、どうでしょうか。

予め準備していれば言えるかもしれません。
ですが、準備などしておらず、噴火して心にゆとりがない状況でこそ「その時」…すなわち、インタビューという機会が来ます。

そのような準備すら出来ていないときに出るもの…それが、その人の本質です。
日頃から、顧客のことを最優先に考えているならば、
「大丈夫ですから」
などという言葉は絶対に出ないでしょう。

もし、この宿泊施設が最高の接客に全てを懸けている取り組んでいるならば、
「今お越しいただいても、安全かどうかもわからず、最高のおもてなしが出来るかどうかもわかりません。安全が確認でき、もう少し落ち着いた頃にお越しいただければ、これまで以上のおもてなしを約束いたします」
などと言えるのかもしれません。

日頃の行動が…いざという時にそのまま言葉に出た、ということになるのでしょう。

顧客と売上、どちらが大事なのか。
一度、機会があったら本気で考えてみてください。
私からはどちらがいいのか、と言うつもりはありません。
私が言えることは、単なる事実です。

世界ナンバーワンマーケティングコンサルタント、ジェイ・エイブラハムは「卓越の戦略 上級編」で、
「私は、形而上学的な、隠喩を使っているのではない。むしろ、私は、信じられないほどに、実利的で、真剣である。あなたの家計も、あなたの心さえも想像することがなかった次元で、人生の豊かさへの秘密を、まさに教えているのだ。」
とのこと。

つまり、卓越の戦略の精神、すなわちいかなる場合も自分より顧客の都合を優先させること。
これが実利的であるということでしょう。

言い換えると、本気で売上が大事だと思うなら、逆説的ですが、売上よりも「顧客」を大事にすることだと言えるのです。

このインタビューに答えた人を、断罪も糾弾も評価もするつもりはありません。
ただ単に、客観的な事実として、「顧客よりも自分の目先の売上を追いかけている限り売上など伸びない」と述べているだけです。

最後に。
阿蘇山付近の宿泊施設全てが、顧客の命や安全よりも、自分の売上のほうが大事だから危険を犯してでもカネを払いにきてほしい…というようなメンタリティの持ち主ではない…はずです。

ちなみに、私は阿蘇の噴火を聞いて、真っ先に「阿蘇カドリー・ドミニオン」のカピバラたちは大丈夫なのだろうかと不安になりました。私の場合、非常時に考えるのはまずカピバラのようです。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平

追伸
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