コンサルティング実施の心得 その1

コンサルティング実施の心得 その1

読んで役に立つ,学びがあったと思った方は「いいね」やシェアをお願いします。

今日は、コンサルティングを実施するにあたっての基本心得について、思ったことを書いていきます。
…その前に。そもそもコンサルティングとは何でしょうか。

日本語で普通に、コンサル、コンサルなどと当たり前のように言い回していますが、ここで改めて確認しておきましょう。

コンサルティング consulting
専門的な事柄について、相談に乗ったり指導したりすること(広辞苑)

consult
専門家、権威者に意見を求める、助言を求める(ジーニアス英和辞典)

このような意味としてきちんと理解するならば、コンサルティングの幅は一気に広がります。

アメリカでは、異業種交流会などで医師と出会ったときに、
「どうも最近調子が悪くて…」
「なるほど、●●が原因ですね」
などといった、ちょっとした会話をした後、後日突然この医師からコンサルティング料の請求書が届く、ということがざらにあるのだとか。

でも確かにこれはコンサルティングです。
日本語にするならば、「医師の診療」がそのままコンサルティングということになります。

あるいは。
私も何度となく行ってきましたが、「法律相談」もコンサルティングになります。

私自身は、セールスコピーライターとして、あるいはマーケティングコンサルタントとしてのコンサルティング経験は、司法書士としての法律相談ほどの数をこなしているわけではありません。

ただ、
「コンサルティング」
というところで考えたときに「法律相談」もコンサルティングとして捉えるならば、それこそ何千回とコンサルティングを行ってきていることになります。

そのように考えた場合、コンサルティングを行う側として注意すべきことがいくつかあります。
今日は、このようにコンサルティングビジネス(すなわち、コンサルタント名乗っていなかったとしても、何らかの専門知識を提供する立場にある人)をする場合に気をつけておいたほうがいいと思うことを、今日は1つ紹介します。

たった一つですが、これまでの経験から非常に重要ですので、ぜひ実践いただければと思います。

そのたった一つ。
それは、
「コンサルティングは一対一」で行うことです。

最近流行りの「グループコンサルティング」というのもありますが、グループコンサルティングでも一対一のやりとりを他の人が聞いているだけなので、一対一という構造は変わりません。
遵守すべきなのは、コンサルティングを【受ける側】が一人であるべきだということです。

例えば、私が司法書士として相続手続きの案内をするとします。
その場合は別に一対一でこだわる必要はありません。
なぜなら、単に
「手続きの案内をする」
だけですからです。

ですが、本人が生前に財産を処分するために、
「生前贈与」
にするか、
「遺言書の作成」
にするかを悩んでいる場合などは、絶対に一対一です。

年老いた親が、子ども同伴で来所し、
「親が私に遺言書を書きたいと言っているので、先生手続きをお願いします」
というパターンが、ある意味最悪です。

実際に、民法の規定では、公正証書による遺言書を作成するときには、その場に子どもなどが居合わせることすら禁止している規定があります。

別に法律の話をしたいわけではないのですが、この例が一番わかりやすいと思うので引き合いにしました。

遺言書においては、「遺言書を書く意思」が本当にあるかどうかが一番重要となります。
ところが、遺言書によって財産をもらう立場の人が同伴の場合、本当にその親が心の底から正直に素直に、思ったことを言えるでしょうか。

実際に、公正証書遺言を取り消しする遺言書の手続きを行ったことがあります。
おそらく、年老いた親が右も左もわからないまま、子どもの言うがままに遺言書を書かされたのでしょう。
事務所に一人で来所して、
「この遺言は取り消したい」
ということだったので、遺言書の取り消しの手続きを行ったのです。

さて。
法律を離れて、コンサルティングの話に戻します。

例えば私がマーケティングコンサルタントとして、コンサルティングを行うときに当然ですが聞く質問があります。
「売上目標は?」
などといった、本人の目指すゴールです。

そんな時に、誰かが同席していたら、本当に正直に答えられるでしょうか。

コンサルティングを行うに当たり、コンサルタントに対して、心を開いて素直に正直に答えてもらうためには、単純に技術や経験が必要です。

ただ、これらの技術や経験があったとしても、誰かが同席しているだけで、素直に答えられなくなります。

例えば、「専務」という名の妻が同伴で、マーケティングのコンサルティングをしたとします。
「売上目標は?」
などと聞いたときに、社長である夫は素直に正直に答えられるでしょうか。

社内では、社長である夫のほうが立場は上かもしれません。
けれど、家に帰ったら、立場は逆転…などいうのはざらにあります。

家に帰って、
「あのとき売上●千万なんて言ってたけど、アンタにできるの?」
などと妻に言われたら、凹むこと請け合いです。

良くも悪くも長年連れ添っている妻だったら、言わなくともバリバリ伝わってしまいます。

絶対に同席させたくないのが、妻をはじめとした親族となるのです。

では、どうしたらいいでしょうか。
はじめから
「絶対に親族は同席しないようにしてください」
などというのも一つの手ですが、さすがに露骨すぎます。

そこで、ここは一つコピーライティング的に、心理誘導を使った場合、次のようなやり方があります。

事前にコンサルティングのアポを受け付けるときに、日時や持ち物の案内に続けて、簡単にこのように言っておけばOKです。
「コンサルティングは一対一で行います。【どうしても】第三者の同席が必要な場合には、事前にお知らせください」

つまり、【どうしても】第三者の同席が必要だと言えない場合は、第三者の同席を禁止する、と言っているのです。

これで、ほとんどの場合一対一のコンサルティングが実現します。

たまに、それでも
「どうしても妻と…」
などと言ってくる人が稀にいます。
そんな人への対処法は、非常にシンプルです。
コンサルティングを実施しなければいいのです。
一対一でコンサルティングできないような人は相手にすべきではありません。

自分で決断できなかったり、コンサルタントから言われたことを妻を通して理解する、といった面倒な相手、ということになるからです。