たまたま,テレビを付けた時のことです。
CMが流れていました。
ジャパネットたかたのテレビショッピングのCMです。
MCが,力強く…を越えて,絶叫するがごとく,エネルギッシュにトークを展開。
聞いていて,だんだん息切れしてきそうな感じがしてきました。
さて,このようなエネルギッシュなトーク。
これはありなのでしょうか,なしなのでしょうか。
あくまでも,個人的な見解です。
少々言語化しにくいところですので,どこまで正確に伝わるかはわかりません。
人の声には,
「意図」
がある場合とない場合があります。
コミュニケーションは,相手に何かしらの意図を届けることを目的にしています。
例えば,
「カピバラはかわいい」
という言葉を誰かに発信したとします。
その時の声に,本当に「カピバラはかわいい」という意図が含まれているかどうか。
含まれている場合,それがどれだけ明確に鮮明に意図として声に乗っているのか。
その程度に応じて,意図は伝わりやすくなります。
意図を強く言葉に乗せられる人は,決して言葉数が多いわけでもなく,声が大きいわけでもないのに,明確な意図が伝わります。
一方,意図の載っていない言葉はただの騒音です。
伝わらないから,ますます大声に,キンキン声になるだけで,迷惑千万です。
例えば,選挙。
何の意図も載せずに,ただ候補者の名前を連呼するだけの選挙カーは,ただの騒音です。
…かといって,候補者自らの叫びも,
「とりあえず票よこせ」
的なむき出しの意図ばかりで,聞いていて不快になることがあります。
この意図を強めるには,日頃からどれだけ意図と言葉が一致しているか。
これに懸かってくるでしょう。
冒頭の話では,ジャパネットたかたのMCは,この意図が極めて強く感じます。
それだけでなく,声もエネルギーも高いので…素晴らしいと言えば素晴らしい。一方,エネルギーが高すぎて,ちょっと聞いていて疲れる感じもします。
では,セールストークとして,最適なエネルギーとは,どれくらいなのでしょうか。
例として,深夜番組のテレビショッピング。
あまりに高すぎるエネルギーやトーンで,トークは展開しません。
もちろん,軽快感はありますが,無茶苦茶パワフルにプレゼンテーション…という感じではありません。
なぜか。
目が覚めてしまうからです。
身もふたもない話ですが,深夜3時ごろのテレビショッピングを見ている人は,明確に覚醒した意識をもっているわけではありません。
疲れているでしょう。
それ以上に,きっと眠いでしょう。
半分寝ぼけているかもしれません。
つまり,
「理性」
が,正常に働いていない状態です。
そんな状況において,「衝動買い」を狙う…という側面は,どうしても深夜番組のテレビショッピングには多くなります。
そこで,大きな声でハキハキと,エネルギッシュにアップトーンでセールストークを展開したら…目が覚めます。
目が覚めたら,理性も働くようになります。
衝動買いへのハードルも高くなるのです。
だからといって,ダウントーンの,うっとおしい,ジメジメしたセールストークなど,聞きたい人はいるはずがありません。
それで,売れるはずもありません。
ですので,ターゲットの視聴者の状況よりも,ほんのすこしだけ,エネルギーを高く保つ意識をして,十分に意図を込めてセールストークを展開する。
これが一つの解決策となります。
あくまでも,模範解答的なものとなります。
対面セールスであれば,より簡単でしょう。
やたら高いトーンで,はきはき爽やかにパワフルにセールストークを展開されたら…ちょっとドン引きしてしまうかもしれません。
とはいえ,エネルギーが低いと,感情が動きません。感情が動かなければ,サイフの口も開かないものです。
相手よりも,ほんの少しだけ,エネルギーを高く。
これを意識してみてください。
最後に。
これはあくまでも「通常」の場合です。
何かのイベントなどでブース出展している場合,会合や交流会などの場合。
通常は,その場がざわめいています。
エネルギーが高すぎてドン引きされるよりも,エネルギーが低くて,うんざりされるよりも,よくないもの。
それは相手の声が聴こえない状況です。
コピーで例えるならば,虫眼鏡がないと見えないようなフォントに,誰が注意を向けるでしょうか。
同じように,聞こえないセールストークを,誰が聞こうと思うでしょうか。
その場がざわめいている時は,一段階よりも,さらにエネルギーのレベルを上げて,相手が
「聞こうと集中しなくても,十分に聞こえる」
程度の声量は必要になります。
必ずしも,声量とエネルギー,意図の強さは一致するわけではありません。
ですが,エネルギーを上げずに声量と意図の強さだけを上げる…というのは,なかなかの離れ業。
慣れていないのであれば,それはそれで構いませんので,より大きな声を意識するくらいでちょうどいいでしょう。
聞こえないのは一番良くないです。
相手はわざわざ「聞こえません」などとは言ってくれませんから。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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