私の記憶が正しければ，２００７年２月頃だったような気がします。
埼玉県から，北海道に移住して間もない頃。
２０年以上司法書士が一人もいなかった地域に司法書士がやってきた…ということで，
「一度ごあいさつにお伺いしたい」
という連絡がありました。
当時の私は愚かにも，それを拒否することはしませんでした。
その結果，どうなったのか。
その人は生命保険の販売人。
「今日はセールスしに来たわけではないですから」
と前置きをしてから，９０分に渡って，徹底的に商品説明やらヒヤリングやら…。
今思えば，当時の私はなんと寛大だったのでしょうか。
９０分も話を聴いてしまったのです。
今なら…とりあえず追い出します。
…という，この話をブログに書いたのは初めてではありません。
なぜなら，それだけ印象深かったからです。
つまり…１０年経っても根に持たれるくらい，不愉快なセールスだった，ということです。
そして…１０年後の今日。同じようなセールスを受けました。
はじめに「セールスはしない」と言っておきながら，ゴリゴリと下手糞でウザいセールスプレゼンが続きました。
下手糞でウザいのは…
「まあ，がんばれ」
という感じです。
セールスコピーライターなどやっている身ですから，セールスプレゼンテーションを見聞きするのは好きです。
だからといって，
「セールスはしない」
といっておきながらセールスする，というのは，あまりに卑劣な行為です。
この卑劣な行為の，何が問題なのでしょうか。
もちろん，顧客を裏切るような卑劣なセールスでは，信頼関係は破壊されます。
セールスは信頼関係を構築してこそですから，売れるはずがありません。
それ以上に問題なのは，上述のとおりです。
「根に持たれる」
のです。
私の記憶では，１０年前の出来事と，今日の出来事がリンクします。
…ということは，１０年前の怒りが今また蘇って，目の前のその，嘘をついて裏切った人に向くのです。
ここで，想像してみて下さい。
セールスを嫌悪する人がいるのはなぜでしょうか。
セールスが好きではない，と言う人，多いのではないでしょうか。
その理由は何なのか。
この冒頭の保険屋や，今日のセールスマンのように，顧客を騙した人がいるからです。
顧客の立場に置き換えると…それだけ騙そうとしてきた人がたくさんいるからです。
セールス…と聴けば「騙して何か売りつけようとしてくるのではないか」というイメージができてしまっています。それだけの体験をしてきているのです。
…そして，上述のようにまた騙そうとする人がいると，これまでの騙された，あるいは騙されかけたことに対する，積もりに積もった怒りがそのままぶつけられるのです。
数字が欲しい…という気持ちは仕方がないのかもしれません。
売りたい，と思ってしまうのも仕方がないでしょう。
だからといって，顧客を騙してはいけません。
なによりも，この人自身が，自分自身を騙しています。
本人がセールスを穢らわしく感じているからこそ，後ろめたく感じて，
「セールスしません」
などと心にもないことを言っているのです。
自分で自分を騙しているのですから…顧客を騙しても罪悪感は麻痺しているのでしょう。
その商品やサービスがどれだけ優れていても，どれだけ安くて魅力的なオファーが付いていても…顧客は騙してはいけません。
自分と顧客を不幸にするだけです。
ではどうしたらいいのか。
昨日，非常に素晴らしいセミナーセールスを展開していた人がいました。
それは，セミナーのはじめに，
「これからあなたに価値を提供します。もし私がこれから教えることに対して価値を感じていただけるのであれば，オファーを提案させていただきたいと思います」
といったことを述べていました。
その上で，
「これまで解説した内容に価値は感じていただけたでしょうか。もし価値を感じていただけたのなら，これから提案させていただきたいのですが，よろしいでしょうか」
と言って，承諾を取った上で，セールスプレゼンテーションに入っていました。
非常に紳士的で，フェアです。
欲しい，欲しくない以上に，単純にこの方を応援したくなる気持ちになりました。
最後まで悩んで，結局購入はしませんでしたが，３日間で山のようにセールスを受けまくった中で，唯一心が動いたセールスでした。
今日，卑劣なセールスをした人は…会場内で顔を見るのも嫌になるくらいの嫌悪感があります。
なぜなら，過去に体験した騙し討のセールス全ての嫌な思いが，彼を見るたびに脳裏をよぎるからです。
一方，後者の方は…彼を見て嫌な気持ちに慣ればなるほど，彼に対するロイヤリティ（忠誠心）を感じます。
顧客を騙し討しても，誰もが得をしないのです。
当たり前ですが…顧客を騙すことの，その意味についての解説でした。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
２〜３通りしか集客法を知らない。
どうしていいかわからない。そんなあなたは，一度こちらをご覧ください。