2004年9月。
私はある狭い一室に押し込められ…三人の男から、一方的にあることを強要されていました。
司法書士と行政書士として独立開業するにあたり、◯◯県行政書士会へ入会を申請したところ、「◯日に入会式がありますので出席して下さい」との指示がありました。
入会式当日。受付にて行政書士政治連盟への加入及び会費の支払いを求められました。
行政書士政治連盟とは、「行政書士の社会的、経済的地位の向上を目指し、(中略)必要な政治活動を行う(行政書士政治連盟HPより)」とのこと。政治家にアプローチするして権利拡充を図る団体のようです。
「政治連盟への加入について、法的義務はないですよね」
と拒否したところ、受付係から行政書士会会長に交代。やはり、政治連盟への加入及び会費の支払いを要求してきました。
当時、行政書士政治連盟は、司法書士の独占業務である法人登記の申請代理権を獲得しようと躍起になっていた時代です。行政書士でも法人登記申請できるように政治家に働きかけていたようです。
ところが、私は司法書士でもあります。行政書士が法人登記申請するようになったら、一気に競合が増えるので、たまったものではありません。
それこそ、司法書士政治連盟に加入してでも、食い止めなければいけない話です。
だからこそ、行政書士政治連盟の加入は断りました。
すると…今度は別室に呼び出され、非常に狭い部屋に、会長と他2名から、政治連盟に入会するように執拗に求めてきました。私も「加入すべき法的義務はない」の一点張り。30分以上威圧され続けましたが、最終的に、会長以下が諦めて去っていきました。
これが、「行政書士会入会式」直前の出来事です。…つまり、他の入会式参加者は、私に強迫まがいの行為をし続けたがために、30分待たされた、ということになります。
仮にも法務手続を行う専門職の団体会長が、別室に閉じ込めてキャッチセールスの如く威圧し続ける、という行為が許されるかどうかは、脇においておきます。
この件の原因の一つが、いわゆる「業際問題」です。
士業で、どこまでがその資格の業務権限としてやっていいかどうか、というものです。
つまり、ここまでは◯☓士がやっていいけど、これ以上やると、■☓士の業務範囲に食い込む、というもの。それぞれの士業同士で争うことになります。
例えば、行政書士が「離婚相談」することに対して、それは「弁護士法違反ではないか」として争いになる、というものがあります。
今回の件は、法人登記申請代理権について、司法書士と行政書士が争っていた、ということになります。
当時は、マーケティングもコピーライティングもできない私でした。私には司法書士資格という看板と、その資格に与えられた権限しかなかったのです。
その資格の看板を背負った…同じ権限を持つ競合者が一気に増えることは、断じて認めがたいことです。
一方、行政書士会会長も、悲願の法人登記申請代理権限を獲得すべく…思いあまって、限りなく違法に近い行動に出たのでしょう。
この問題のより根本的で本質的な点は別にあります。
それは、司法書士制度であろうと、行政書士制度であろうと、あるいは登記申請権限であろうと…それは国家が用意した「制度」だということです。
資格の強みは「制度ビジネス」…つまり国家が看板を保証していることです。
資格の弱みは「制度ビジネス」…つまり国家の都合で、その看板がいつ揺らぐかわからないということです。そして、そのような自体になった時に、自分で対応できることはほとんどありません。
その時は、結局法人登記申請権限は、行政書士に開放されませんでした。
けれど、将来どうなるかはわかりません。
法人登記だけではなく、不動産登記申請権限すらも開放されるかもしれません。
そもそも、登記申請権限は司法書士の独占業務ではあるのですが、その範囲外の存在があります。
それは、弁護士です。弁護士は、全ての独占業務による制限から外れています。
登記申請もできれば、税務申告もできるのです。弁護士は、士業でいえば万能なのです。
司法制度改革の失敗によって、弁護士が粗製濫造されました。
当然…食えない弁護士も増えています。
これまで司法書士しかやってこなかった登記業務に弁護士が本格的に参入してくることも十分にありえるのです。
コピーライターとして活動をするようになり、数年経ちました。
最近は、自分が司法書士であることを言い忘れることも増えてきました。後から司法書士をやっている、ということが発覚し、驚かれることもあります。
そんな折、このようなことを言われることがあります。
「司法書士をやっていればいいじゃないですか」
「司法書士じゃダメなんですか?」
「せっかく取った資格を使わないともったいない」
司法書士ではダメなのです。自分のコントロール権の範囲外にある制度ビジネス1つに依存することは、本当に怖いことです。
司法書士を続けること自体は良いも悪いもありません。ただ、司法書士という1つの制度ビジネスに頼り続けることはできません。
では、なぜコピーライターなのか。
それは、司法書士よりもはるかに優れたスキルだからです。
ちょっと想像してみてください。
この世から、「セールス」が無くなる日が来るでしょうか。
これが答えです。
司法書士という制度ビジネスは、いつ無くなるかわかりません。
また、極端な話ですが、制度ビジネスとしての看板を保証しているのは、国家です。
では、日本国の存続を保証するものはあるのでしょうか。
あまり考えたくはないのですが、日本国という存在そのものがゆるぎつつある国際情勢が目の前にあります。
いつの日か、日本人もかつてのユダヤ人のように、大量虐殺される日が来るかもしれません。
日本人もかつてのインディアンのように、外来人から侵略され、隷属させられる日が来るかもしれません。
そんな事態になって、司法書士という肩書はどれほど役に立つのでしょうか。
国内屈指のコンサルタント、神田昌典さんは、メルマガでこのように述べています。
安定とは、焼け野原でも紙とペンがあれば、
翌日から稼げる能力である。
これからの安定とは、
どれだけ変化に対応できて、生き残っていけるかだ。
戦争がおこって日本が焼け野原になっても、
紙とペンさえあれば、翌日には現金を稼げる
才覚を持つ人が、一番安定している。
売れるスキルと収入は直結する。売れるスキルを身につけよう。
(「仕事のヒント」神田昌典365日語録 No.336 より)
ここで言う、「売れるスキル」の一つが、コピーライティングです。
大ヒットした書籍「ユダヤ人大富豪の教え」の登場人物、メンター的存在のユダヤ人がいます。
作中、彼が常に身近にダイヤモンドの詰まったアタッシュケースを常備してあるというシーンが出てきます。
いつ何があろうと、このアタッシュケースだけを掴んで逃げることができれば、それを売って生き延びることができるから、という話でした。
このストーリーや登場人物自体はフィクションです。
けれど、その奥にある…ユダヤ人の迫害の歴史は事実です。
その事実に裏打ちされた…このような危機管理の意識は、おそらく本当にあった出来事と大きく乖離していることはないでしょう。
ストーリーとしては「大富豪」という前提でしょうから、ここではダイヤモンドです。けれど、本質的には、ダイヤモンドでなくても、何でも売れるのでしょう。 ダイヤモンドを身近において、いざというときに備える…その奥にあるのが、セールスという「売れるスキル」です。
セールスも、売れるスキルの一つです。本当に売れるセールス力があれば、安定して生き残っていくことができるでしょう。
ただ私は…今でこそ多少は訓練したお陰でだいぶマシになりましたが、もともとしゃべるのが苦手です。
何を言うか、どう言うか以前に、対面でしゃべることが出来ませんでした。
だから…しゃべることが出来ないならば、書けばいいじゃないか、というのが私の考え方です。その結果、行き着いたのがコピーライティングというスキルでした。
最後に。
世界ナンバーワン・マーケティングコンサルタントのジェイ・エイブラハムは、「卓越の戦略上級編」でこのように述べています。
「もし、あなたが、事業に、あるいは富を生み出すことに、あなたの家族の経済的な安定に人生を賭けているとしたら・・・そして他の人々―例えばスタッフ、チーム、従業員、取引先―が、あなたに人生を委ねているとしたら、あなたは最高で最良の結果を出すことが求められている。」
最高で最良の結果を出すために…資格にいつまでも縋りついたままでは居られないのです。
自分自身や家族、取引先やクライアントのことを考え、資格以外の道を目指す他なかったのです。その選択肢の1つが、コピーライティングだったのです。