「資格」に集客効果はあるのか

「資格」に集客効果はあるのか

「資格」に集客効果はあるのか
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先日、FAXDMにて「行政書士向け」と称して「相続●☓士」なる、民間資格の案内が届いていました。
全く興味が無いので中身は読んでいませんが、おそらく相続に関する専門知識を問い、合格者には資格を名乗らせる、典型的な「資格ビジネス」なのでしょう。
 
今日は、資格の集客効果について、思ったことを書いてきます。
 
仮にこの「相続●☓士」という資格を取得すれば、その人は「相続に関する専門家」ということを外形的に証明することができます。
だからといって、この「相続●☓士」を取れば、相続に関して何かビジネスができるわけではありません。
行政書士なり司法書士なり、といった国家資格がないと、「業」として収益を得ることは出来ません。
 
これはあくまでも私の個人的見解です。
この「資格ビジネス」は、「集客効果があるかのように見せかけること」が目的なのでしょう。
 
具体的には、行政書士や司法書士として事務所を開いているけど、相続案件を獲得するとが出来ない人が、「この相続●☓士の資格を取れば、相続の案件を獲得できるに違いない」
と思うことによって、受講なり受験なりをする、ということになります。
 
では、この相続●☓士の資格があれば、相続の仕事は獲得できるのでしょうか。
 
仮に、資格を取れば仕事が取れる、ということであれば、意味のない資格になります。
なぜなら、聞いたこともない「相続●☓士」という民間資格だか公的資格だかと、行政書士や司法書士という国家資格とでは、信用力が全く違います。
 
資格があれば仕事は獲得できる、ということであれば、相続●☓士とは、格が違う行政書士や司法書士の資格だけで仕事が取れるはずです。
 
 
 
行政書士があれば「行政書士業務」が出来ます。一部例外を除き行政書士でなければ「行政書士業務」は出来ません。
 
「その業務ができる」
これが、資格の本質です。
資格がある、ただそれだけでは仕事は取れません。
資格そのものに集客効果はないのです。
 
先日のブログ「9割以上が勘違いしている士業の現実」にて、「なぜ士業は真っ先に資格を振りかざすのでしょうか。」
と書きました。
 
 
「9割以上が勘違いしている」というのは、「資格を振りかざす」ことで集客効果を期待していることです。
資格を振りかざすことで得られるのは集客効果ではなく別の効果です。
 
 
例えば。
私が確定申告をするときのことです。
(1)最低限の簿記の知識があったので、開業してから数年は自分で確定申告をしていました。
(2)ですが、だんだん面倒になってきて、自分で申告するのは嫌になってきました。
(3)自分で申告するのが面倒であれば、代わりに申告をしてくれる人を探す必要があります。
(4)税務申告の代行をすることができるのは、例えば税理士など、となります。
(5)よって、税理士を探します。
 
この(1)から(5)まで論理的思考を経た上で、最終的にネットで「(地域名)+税理士」という検索キーワードで検索しました。
 
ではこの(1)から(5)の中で、どれが一番重要でしょうか。
それは(3)です。
「税理士だから依頼する」のではありません。
自分が面倒だから代わりにやって欲しいだけなのです。
代わりにやる人が法律で「税理士」等と限定されているので、税理士を探すことになるのです。
 
ですが、多くの士業は(5)に注目して「資格を振りかざして」集客しようとします。
顧客は誰も「資格(ここでは税理士)そのものを探しているわけではない」のにです。
 
 
相続も同じです。
「行政書士」や「司法書士」だから、「相続」を依頼するのではありません。
「自分の問題を解決する」ことを依頼者は望んでいるのです。
具体的には、
「(親族)が亡くなって、四十九日法要もなんとか終えた。けれど…いろいろ手続きしなければいけないようだ。よくわからない。どうしたらいいのだろうか」
という悩みがあり、その悩みを解決してくれる人を探すのです。
 
悩みを解決してくれるなら、誰でもいいのです。
ただ、例えば「相続登記」は司法書士等でなければ受託することはできないだけなのです。
お客様の頭のなかには「相続登記」なんて言葉はないのです。
 
にも関わらず、多くの司法書士事務所は
「相続登記ならば●☓司法書士事務所」
と宣伝します。
 
これが、資格を振りかざす、ということです。
 
お客様の頭の中にある悩み。それは何でしょうか。
そこに「資格」の名称は入っていないのです。
資格を振りかざしても、お客様には響かないのです。
 
だからといって、資格はいらない、とは言いません。
 
順番の問題なのです。
 
適切なマーケティングの成果によって、見込み客は、
(1)「この人なら私の問題を解決してくれそうだな」
と考えます。
 
(2)「でも、本当に大丈夫かな?」
と疑う気持ち出てくるでしょう。
 
そこで、はじめて資格の効果があるのです。
(3)「でも行政書士って名乗っているから大丈夫だろう」
という順番になるのです。
 
資格は、十分に興味を引いて、「この人なら私の問題を解決してくれるかもしれない」という「検討段階」に入った後に、はじめて「信ぴょう性」という効果を発揮します。この信ぴょう性の問題をクリアした先に、電話を掛けてみようか…という「行動」の可能性が出てきます。
 
 
 
世界ナンバーワンマーケティングコンサルタントのジェイ・エイブラハムは、「卓越の戦略上級編」で、このように述べています。
 
「ほとんどの人々は、何をしたらよいのか分からない。(中略)人は、何も分かっていない、何も分かっていないことすら分かっていない」
 
何もわかっていない相手に、「資格」を振りかざすことに、どんな意味があるのでしょうか。
 
まずは、
「あなたはこんな悩みを抱えていますよね?」
と、相手の悩みを言語化します。
 
次に、
「安心して下さい。私がプロとしてあなたの問題を解決します」
と、相手の悩みを解決できることを示します。
 
最後に、
「なぜなら(資格)ですから」
と、解決できることの根拠として、資格を提示します。
 
順番が大事なのです。
 
とはいえ、資格自体は完全にコモディティ(一般消費財)化しています。
例えば「行政書士」と名乗った時点で、全国の行政書士45551人の中に埋没します。
(2015年10月1日時点 日本行政書士会連合会HPより)
 
資格を出した時点で、他との差は無くなります。
よって、資格に集客効果を求めるのは、「45551分の1」に自分の価値を貶める行為なのです。
 
資格を出すな、とは言いません。
ですが、資格を最初に振りかざす行為は、あまりにも顧客の一人ひとりが抱える問題を、あまりにも蔑ろにしているのではないでしょうか。
 
数年前。ある多重債務者から、法律相談の予約の電話を頂きました。
北海道は広いです。その方の自宅から当事務所まで車で片道3時間かかります。
「わざわざ当事務所まで来ていただかなくても、もっと近いところに司法書士はたくさんいますよ」
と言ったところ、
「どうしても先生にお願いしたいのです。遠いとダメなのですか?」
と言われました。
 
多重債務に苦しんでいる人が、車で片道3時間分のガソリン代を掛けて、どうしても当事務所に来たい、と思うに至ったのは、「司法書士」だからでしょうか。
集客の時点で「どうしても」当事務所じゃないとだめだ、と思わせる何かがあったのではないでしょうか。
 
資格は、顧客が自分に興味を持ってくれた【その後】に「信ぴょう性」ために示すものです。
決して、先に出すものではないのです。
 
「信ぴょう性」を出したい、ということで資格を掲げることは問題ないし、むしろ効果的です。
ただ、真っ先資格を掲げると、集客に大きな悪影響を及ぼすのです。
 
 
 
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