アメリカの話です。
ある人が,パーティで医師と話をした時のことです。
相手が医師だとわかったので,話のネタづくりでしょうか。
「最近どうも調子悪くて…」
といったところ,医師が簡単なアドバイスをいくつか。
後日,自宅にその医師から診察料の請求書が届いた,ということ…らしいです。
一種のアメリカン・ジョークでしょう。
ただ…これが本来の正しい姿であることは確かです。
これを,ラーメン屋に置き換えればわかりやすいでしょう。
名刺交換して,
「へー,ラーメン屋なんですね。試しに食べさせてください」
と言って,お店でラーメンを食べて,お金を払わずに帰ったら…ただの犯罪です。
にもかかわらず,どういうわけか日本には,
「知的労働」
への対価は安く見積もられる傾向にあります。
北海道に来てから…なおさらのようです。
具体的に,「有体物」ではないと,商品価値を感じないということなのでしょうか。
定義【有体物】
人間以外で、空間の一部を占める有形的存在である物。
要するに,手にとって触れる物,ということです。
例えば,コンテンツ。
その人が学んできた知識や経験をまとめたものを,PDFにした場合と,出版社により出版された書籍。
内容が全く同じだった場合,どちらのほうが,価値を感じるでしょうか。
多くの場合,書籍のほうが価値を感じるのではないでしょうか。
ですが,ちょっと考えてみてください。
書籍のほうが,本当に価値があるのでしょうか。
PDFだったら,手元のデバイスで,いつでも開いて読みことができます。
本だったら,持ち運ぶにあたって,物理的制約がつきまといます。
要するに,重い,ということです。
もっと顕著な例が,動画コンテンツ。
セミナー動画を,オンラインで提供する場合と,DVDにして提供する場合,どちらが価値を感じるでしょうか。
DVDのほうが,価値があるように感じてしまう人のほうが多いのではないでしょうか。
ですが,ちょっと考えてください。
DVDにして渡されて…あなたはそれを見るでしょうか。
私が今使っているこのパソコンは,MacBookPro。
光学ドライブはついていません。
つまり…見られないのです。
ちょっと思い出してください。
若い人には通じないかもしれません。
大昔に「フロッピーディスク」なるものがあったのを知っているでしょうか。
今,フロッピーディスクを渡されても困りますよね。
それと一緒です。
動画セミナーDVDを手に入れた場合,一旦,光学ドライブ付のPCで,動画データに変換します。
その動画データを,MacBookProに移して観る,という手順を踏みます。
わかる人にはわかるでしょうが,DVDの動画データ…4GBを移動させるのは,地味に面倒です。
そう考えると,オンラインからダウンロードできるようにしたほうが,よほど便利ではないでしょうか。
…DVDなど,コストも掛かるし,管理も手間だし,配送の手間や費用もかかるし,観られない,という不具合もあるかもしれません。
オンラインのほうが,ずっと価値があるはずなのに…なぜか,DVDのほうが価値があるように思えてしまうのではないでしょうか。
つまり,物があるのとないのとでは,これだけの差があるのです。
それだけ,価値が「わかりづらい」のです。
さて,今日のテーマは,「タダ働きを防ぐ方法」です。
フリーランスで,何らかの知的生産物の提供者は,何度も何度も何度も何度もタダ働きさせられて,うんざりしているのではないでしょうか。
ようやく,対価の定められた契約をしたとしても…
「ちょっとこれくらいは…」
と,契約の定めにない事項のタダ働きを要求されるのではないでしょうか。
例えば,コンサルタントやコーチ,カウンセラー。
あとは士業なども入るかもしれません。
他には,ホームページ制作など,実際に何かを納品する仕事も当てはまるでしょう。
ホームページ制作なら…わかりやすいかもしれません。
指定通りの仕様でホームページを制作,納品した後,クライアントが,
「言うの忘れてた。もう1つ,問い合わせフォーム作って欲しい。同じ料金内でいいよね」
とか言われた時に,ついそのまま受けてしまう人もいるのではないでしょうか。
もちろん,作業が増えている上に,契約外のことですから,別料金です。
ですが…
「ま,いっか…これくらいなら」
とやってしまうのではないでしょうか。
これをやればやるほど,自分の価値を下げます。
では,対策はどうすればいいのでしょうか。
ちょっと考えてみてください。
やることは,メニュー表を作ることです。
やることは次のとおりです。
(1)全ての業務内容をリストアップする
(2)リストした内容全てに,値段をつける
(3)セットメニューを用意する
例えば,ホームページ制作の場合,細かな作業がいっぱいあるでしょう。
それらひとつひとつに全て,価格を付けます。
ただし,それらのうち,ひとつだけを作業したところで,
「ホームページ制作」
にはなりません。
最終的に,ホームページを納品することが,価値の対象です。
この場合,(3)のセットメニューが,「ホームページ制作」という生産物に対してつける価格です。
もちろん,個々の項目全てを全部足すと,ホームページ制作価格より高くなるように設定すればいいのです。
バラ売りすれば高くなる…というのは,一般的な感覚から,大きく外れてはいないでしょうから。
このようにメニュー表を作って,契約書と一緒に渡せばいいのです。
これで後から,
「言うの忘れてた。もう1つ,問い合わせフォーム作って欲しい」
と言われたら,
「わかりました。こちらの値段表の通り,◯円です」
と言えばいいだけの話です。
ここでのポイントは,
「値段表に書いていないことは,全て無料だと思われる」
ということです。
冒頭のアメリカンジョークは,日本ではなかなか通じないものです。
弁護士や医師レベルのステータスがあれば,値段がついてない…時価と判断されます。
高級寿司屋の,高級な寿司ネタみたいなものです。
ですが,そのようなステータスがなければ…値段がついていないのですから,「値段がない=無料」と解釈されてしまっている,ということになります。
一度,値段表をつけてみてください。
そして,本来有料のものを無料だと設定していた場合,元の値段もきちんと決めてください。
例えば,「初回相談は無料」という場合,「本来の相談料」を決めなけばなりません。
この作業を実際やってみてください。
やってみた人にだけ,わかることがあります。
「誰が」あなたのことを安売りしているのか,ということに気づくはずで。
これに気づかない限り,タダ働きはなくならないでしょう。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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