ある家電の調子が悪いので、サポートセンターに電話してみました。
すると、すぐに繋がらず、ずっと待ち時間です。
その間「順番でお繋ぎします」というメッセージと共に、音楽が流れます。
土曜の9時から、某テレビ番組のスポンサーとして、CMでよく流れる…あの曲です。
非常に大きな木のシルエットや映像とともに流れるあの曲を、誰もが一度や二度は耳にしたことがあるでしょう。
5分くらいずっと待っていたのですが…ずっとその曲が流れます。
このままではまずい。脳内をこの曲に占拠されます。
そこで、腹いせに電話をスピーカーにして、家族を巻き込んでみました。
問い合わせから30分経った後に、
「この〜◯何の◯気になる◯〜」
と歌っています。
ばっちり巻込み成功…と思いつつも、せっかく止まった脳内ソングが、また復活。
なんともブーメランな話です。
さて。今日のテーマはサウンドマーケティング。
要するに、音楽でマーケティングはできるのかどうか、ということ。
例えば日立ならば、この曲でしょう。
最近は、音でも商標登録できるようになりました。
有名な例ではCPUのインテルが、「あの」効果音を登録しているのだそうです。
国内企業では「ラッパのマークの正露丸」の、あのラッパの曲を登録しているのだとか。
では、音のマーケティングは効果があるのでしょうか。
非常にうがった考え方かもしれません。
私としては、音そのものでマーケティング効果があるとは思っていません。
インテルが「あの」効果音を商標登録した理由。それは、登録しておかないと中国あたりで、先に登録して、インテルのブランドイメージを利用して自社ブランドに影響を高めようとしたり。
あるいは、粗悪な商品を販売すると同時にあの曲を流すことでインテル社にネガティブなイメージを押し付けようとしかねない。
だからこそ、そういった悪用をされないように、防衛的な意図で音の商標登録をしたのだろう、と思っています。
しかし、これはインテル社レベルでのマーケティングです。
音であってもそれはイメージ広告戦略。
イメージ広告戦略は、年商で20億を超えないと効果はないと言われています。
私達のような小さな事業所では縁のない話です。
広告の効果を測定できる、いわゆる「レスポンス広告」に絞るべきでしょう。
結論としてはこれだけです。
ですが。もし音を活かしたい…というのであれば、コピーライターとして進めておきたいのは「コピーと音をセット」にするということ。
例えば、
「ファイトォー!」
と聞けば、
「いっぱ〜つ!鷲のマークの(以下略)」
と脳内で再生されるでしょう。
あるいは、
「タンスに」
と聞けば、
「ゴン」
と脳内に再生されるでしょう。
このファイト〜とか、タンスに、というキーワードがトリガーとなって、続きの言葉が出てくるようになっています。
出てくるようにまで何度も何度も何度も何度も広告宣伝している、というところでこの広告宣伝戦略は中小企業向けではない、という点が理解いただけることでしょう。
それはさておき。
このトリガーに、音を使う、というのが、サウンドマーケティングのポイント。
そこで、音にコピーを繋げれば良いのです。
あの「効果音」を聞くと、「インテル、入ってる」というコピーが再生されることでしょう。
あるいは、あのラッパの曲を聞くと、「ラッパのマークの正露丸」というコピーが再生されることでしょう。
同様に、耳に入る効果音と同時に、コピーを用意すればいいのです。
ただ。
しつこいようですが、レスポンス広告がベストです。
イメージ広告戦略としての音のマーケティングは、二の次三の次で考えるべきでしょう。
なぜなら。
音のマーケティングの強みとして、
「見なくても聞こえる」
というものがあります。
たくさんの声が集まった雑多な環境でも、きっとあのトランペットの曲は、よく響いて注意を引いたり、正露丸に
意識を誘導することができるでしょう。
ただ。それでもそのトランペットの曲を再生することに…として、トランペットの曲から正露丸にイメージが直結するまでに、なんどその曲を流し続けなければならないのか。
やはり、中小企業には非現実的な広告宣伝法と言わざるをえないのです。
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