大晦日の朝８時過ぎ。
車で３０分ほど走ったところにある、北海道の小さな田舎の市場でのことです。
年末年始の買い出しに、市場へ行き、野菜をいくつかかごに入れてレジに行った時のことです。
ある意味、想定外の一言を言われました。
「年越し蕎麦に、こちらの蕎麦はいかがですか？」
偏見と言ってしまえば、それだけの話です。
まさか、こんな小さな田舎の市場のレジで、クロスセル（関連商品の追加販売）を仕掛けてくるとは思いませんでした。
思わず、
「あ、もう買っちゃいました」
と返したところ。
レジのおばちゃんは、
「まあ、そうだよねぇ。今年から『◯◯そば』と提携して、取扱を始めたんだけどねぇ…」
この、『◯◯そば』は、地元で有名な蕎麦屋のチェーン店。
繰り返しますが、こんな小さな田舎の市場で、チェーン店展開している蕎麦屋とジョイントベンチャーを組んで、レジでクロスセルを仕掛けてくるとは思いませんでした。
本当に、実に新鮮な驚きでした。
この一言で、
「ああ、私も頑張らないと…」
としみじみ実感しました。
小さくて田舎といえども、そこは市場。
新鮮な食品が集まります。
市場ですので、中間マージンが比較的少ないせいでしょうか、多少は価格競争力があります。
これらのベネフィットから、そこそこの集客力があると言えます。
その集客力に目をつけて、『◯◯そば』が、ジョイントベンチャーを仕掛けたのでしょう。
レジで、「ご一緒に、こちらの年越しそばもいかがですか？」と言うように指示するだけです。
それほど難しいことではありません。
もちろん、これらのステップ一つ一つを、さらにブラッシュアップすることはできます。
このままでは、とても「最適化」されているとは言えないでしょう。
それでも、ジョイントベンチャーからクロスセル、というマーケティング上の戦術が実践されているのです。
今年一年は、どんな年だったのか。
それを一言でまとめると、
「インプット」
の年だったと言えます。
毎月２回、東京に通い、様々なことを学んできました。
７月には、世界ナンバーワンマーケティングコンサルタントのジェイ・エイブラハムから直接学びを得る機会にも恵まれました。
これまで聞きかじってきた内容だったり、断片的に学んできたものが、統合・整理された１年でした。
何か新しいものをたくさん学んだ…というよりも、わかっていたつもりでわかっていなかったものを、きちんと理解できて、腹落ちした１年でした。
つまり。
「学び」
に終始した１年だったと言えます。
別の言い方をすると、圧倒的に「実践」が足りていないとも言えます。
整理された反面、大量の学びは消化不良を起こします。
真の学びは「実践」できてこそです。
それこそ、ジョイントベンチャーやクロスセルなどといったことは、マーケティングの基本であり、これまで学んできたことです。
だからこそ、今日感じたのは、
「実践」
の大切さです。
おそらく、この市場側も蕎麦屋側も、膨大なマーケティング戦略を熟知して、その中から最適な一手を打った、ということではないでしょう。
なぜなら、店員のセリフで分かります。
「まあ、そうだよねぇ。今年から『◯◯そば』と提携して、取扱を始めたんだけどねぇ…」
つまり、
「取扱を始めたんだけどねぇ…」
の続きを補完するとしたならば、
「なかなか売れないんだよねぇ」
という感じでしょうか。
実践したからといって、上手くいくとは限りません。
けれど、実践しないと学べないことはたくさんあるのです。
私はたまたま
「もう買っちゃいました」
と答えましたが、今回のこのクロスセルがうまくいかない原因はPOPと価格でしょう。
POPに『◯◯そば １６００円』とありました。
今の家族の人数で、この金額で、どれだけの量かもわかりません。
断るしか手がなかったです。
しかも…となりの別の市場の店舗で、
「蕎麦 １５７円」
で売っていました。
周りの価格を調査しなかったのも、一つの原因でしょう。
それでも…実践したことで、上手く行かなかった点から学びが得られるのです。
もし。
この蕎麦がプレミア物で、本当に美味しくて貴重で、セレブな人達が欲しくて欲しくてたまらないけれどなかなかてにはいらないような代物だったとしたら…？
その蕎麦を食べることで、本当に素晴らしい体験ができるとしたら…？
売らないことが、顧客を不幸にする、ということすらありえるのです。
私自身も、私の扱っているサービスを売らないことが顧客を不幸にしているかもしれない…そう考えるべきでしょう。
本当に素晴らしい物ならば、覚悟を以って売らなければならないのです。
売り込めばいいというものではありません。
売ることで、お客を今よりも、より素晴らしい未来に導く覚悟をもつ、ということです。
来年は…覚悟を以って、売る。実践の一年にする。
今日、朝の市場で実感した出来事でした。
この一年間、このブログをご覧頂きましてありがとうございました。
来年は実践を積み重ねて、より深い学びを言語化して提供すべく努めていきます。
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