1年ほど前の話です。
あるセミナーに参加したときのこと。
特別に何か凄いことを言っているわけではないのですが,理屈として
「なるほどなぁ…」
と感心しきりです。
そのセミナー講師(仮にA氏)は,常々
「本当に頭のいい人だ」
と感じることばかりなので,その時も同じように思っていました。
それから1年が経ち…。
割と最近のことです。
今度は世界的に有名な,海外のとある方(仮にB氏)のセミナー動画を観て勉強していた時のことです。
見ていて
「…ん?」
と思う事があり…
そのまま動画を観ていたら,今度は
「どこかで聞いたような…」
と思い…
更にしばらく動画を観て,
「そういえば!
と思い出した次第です。
この冒頭のセミナー講師A氏と,この海外の世界的に有名なB氏と,同じ内容を話していたのです。
もちろん,全く同じではありません。
すこしアレンジしてあったり,じっくりとワークをする時間が取ってあったり…。
などの違いはあります。
ですが,根本は同じもののようです。
どちらがオリジナルか…ということはわかりません。
A氏が先か,B氏が先かはわかりません。
世界で何百万人ものクライアントやセミナー受講生を抱えるB氏が,わざわざ日本国内のA氏のコンテンツをパクる…ということは考えにくいもの。
B氏が先に考え出したもの…かもしれません。
もしかしたら,このコンテンツを考え出したのは,もともとC氏であり,それをパクったB氏のコンテンツを見たA氏が自らのセミナーに取り入れたのかもしれません。
こういった減少は,割とよくあることです。
有名な例では,USP(ユニークセリングプロポジション…いわゆる「独自の売り」)というものがあります。
マーケティングのテキストや書籍で解説してあることが多々ある,このUSPというコンセプト。
これは,ロッサー・リーブスという人が考えたコンセプトです。
それを,世界ナンバーワンマーケティングコンサルタントのジェイ・エイブラハムがセミナーで紹介。
ロッサー・リーブスよりもジェイ・エイブラハムの方が有名なので,ジェイ・エイブラハムが考えたコンセプト…として広まってしまった,という事があったようです。
(USPに関する経緯や内容の詳細はこちらで書いています)
では,ジェイ・エイブラハムは,ロッサー・リーブスをパクった,というのでしょうか。
私自身は,ジェイ・エイブラハムを「ロッサー・リーブスからパクった」と非難する人に出会ったことはありません。
敢えて言うならば,出典をきちんと明らかにすることでしょう。
それが,考案した人に対するリスペクトをする,という考え方にもなります。
実際,ジェイ・エイブラハムは,「先制の戦略」というコンセプトを紹介するときに,きちんと「クロード・ホプキンスという人が…」と話をしています。
話を戻します。
今の時代,完全にオリジナルのコンセプトを紹介できる人はどれだけいるのでしょうか。
先日も書いた通り,アイディアとは,既存のアイディアの組み合わせです。あの発明王トーマスエジソンも,完全にゼロから考えて津倉得た発明は1300件中1件しかないそうです。
ということは,セミナーのコンテンツについても,他の人が考えた何かを紹介することは,非難されるということではないでしょう。
繰り返しますが,敢えていうならば出典を明らかにすれば済む話です。
(もちろん,セミナーの最初から最後まで丸パクりは論外です)
オリジナルなど,今となっては存在しないのです。
だからこそ,
「パクり」
と糾弾されることなく,既存のアイディアを紹介しなければいけません。
その方法とはどうすればいいのか。
一つの考え方が,
「ビジョン」
です。
その人がなぜそのコンテンツを教えるのか,その理由を,自身がそのビジネスのビジョンと絡めて紹介すればいいのです。
コンテンツだったら分かりづらいかもしれません。
別の例で紹介します。
例えば,浄水器。
浄水器を販売する代理店になったとします。
浄水器そのものは,大量生産された商品の1つであり,
「オリジナル」
の要素など望むべくもないでしょう。
ですが,その浄水器を販売する「理由」は唯一無二に出来るのです。
例えば,
「子どもが(疾病名)に掛かって…でも,この浄水器で~になって…だから,この良さを伝えたい」
という感じでしょうか。
どこかのCMでやっていました。詳しいことは忘れましたが,ある保険の外交員は,
「父をガンで若くして亡くし…保険に入っていないので,母親や自分が生活で苦しみました。だからこそ,そんな苦しい思いをする人が一人でも減るようにと思ってこの仕事をしています」
といったことを話していました。
同じように,家族を亡くして,保険の大切さを知ったからこそ…と理由にする人が居たときに,
「これはパクりだ」
という人はいないでしょう。
理由は唯一無二に出来るのです。
とはいえ,理由が大事,ということが今日伝えたいことではありません。
完全にオリジナルなど存在しない,ということです。
だからオリジナルを探し求めて時間を掛けるのはやめて下さい。
冒頭の話を思い出して下さい。
私はA氏から教わったことに対して感心し,教えていただいたことに感謝しました。
後からB氏も同じことを言っていたからといって,A氏が話した価値が下がるわけではないのです。
オリジナルを探して時間を掛けるよりも,パクりと言われない程度に工夫を凝らして,より早く顧客に提供し,価値を創り出して下さい。
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