「バニラ」というポジショニング

「バニラ」というポジショニング

「バニラ」というポジショニング
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突然ですが、ここで問題。
あなたはどんなアイスクリームが好きですか?
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)及び「アイスクリーム類及び氷菓の表示に関する公正競争規約」にもとづいて「アイスクリームに定義されるもの」…などと堅苦しく考える必要はありません。
単に、コンビニやスーパーのアイス売り場などで手にとってレジへ持っていくのが一番多いものは何か、という話です。

さて。
昨日、北海道に戻ってきました。
東京から千葉の成田空港に移動し、そこからLCCを利用。

航空会社はバニラエアです。

昨年、月2〜3回、東京に通っていました。
年間合計で、おそらく60回くらいは乗ったことになります。

そのほとんどがLCC。
主に、新千歳空港ー成田空港間の便である、バニラエア、ピーチ・アビエーション、ジェットスターの3社です。

乗る度に、その3社を比べて、乗りたい時間帯の便の有無と価格を調べて、都合のいい便を選んでいます。
ですので、この3社どれも使ったのですが…結果的には、全体の3分の2がバニラエア。
残り3分の1を、ジェットスターとピーチ・アビエーション、という感じでした。

結局のところ、バニラエアが私の中で一番のお気に入り…という結果になったのです。

さて、今日のタイトルは「バニラ」というポジショニングです。

バニラとは何でしょうか。
いわゆる「バニラアイス」を示します。

全米屈指のコピーライターにして、億万長者メーカーと讃えられるコンサルタント、ダン・ケネディなどは、
「バニラであってはいけない」
などと言います。

なぜなら、「わざわざ」選ばれることもなければ、バニラアイス、という話題になることも稀だからです。
実際、最初の「好きなアイスは何ですか?」という問いに対して、バニラアイス、と答える人は稀です。

ですが…結局一番売れているアイスはバニラなのです。

実際に、バニラエアが、そういったコンセプトでネーミングしたかどうかはわかりません。

ですが、私は「バニラアイス」的な感覚で、バニラエアを気に入って使っています。
なぜ、気に入っているのか。
目立った欠点がないからです。

値段も便の本数や時間帯も、それほど大きな違いがあるわけでない、という前提に立つと、バニラエアになるのです。

例えば、ジェットスターと比較して、値段も便も変わらないなら、バニラエアを選ぶのか。
それは、ジェットスターだとダメな、明らかな欠点があるからです。

具体的には、機内持ち込み手荷物の規制。

バニラエアとピーチ・アビエーションは、機内持ち込み手荷物は10キロまで可能です(本日現在)。
ですが、ジェットスターは7キロ。

このたった3キロ差で、ジェットスターは「論外」となるのです。

先程も言ったように、昨年1年間でだいたい60回くらい使っているのですが…実際に機内手荷物の重さを実際に測る、ということは一度もありません。
10キロなのか7キロなのかはともかく、実際に測られないのなら、差はない…という考えかもしれません。
ですが、
「もし測られたら…」
と思えば、二の足を踏みます。

また、ジェットスターは、機内持ち込み手荷物のサイズが、バニラエアとピーチ・アビエーションより3センチ短いのです。

たった3キロ、たった3センチ。
この差で、ジェットスターは候補から外れるのです。

このように、比較して明らかに劣っている部分がない。
それが、バニラエアなのです。

ピーチ・アビエーションとバニラエア。
時間も料金も同じだったら、バニラエアを選びます。
なぜなら、ピーチ・アビエーションの座席の背もたれは、バニラエアと比べて薄いような気がするからです。
実際に何センチ、何ミリ違うのかはわかりません。
ですが、ピーチ・アビエーションに乗っていた時、私の後ろの座席に居た子どもがシートの背もたれを蹴飛ばした結果、私が痛い思いをしたことがあります。
そこで、明らかに座席の背もたれが薄いのだ、と実感しました。

今回の東京行きでは、行きがピーチ・アビエーション、帰りがバニラエアです。
ピーチ・アビエーションで、座席のテーブルを広げたら…何かの汁がこびりついて残っていました。

たったこれだけの差で、バニラエアが選ばれるのです。

今の時代、何もかもがコモディティ化して、差別化しにくくなりました。
それをどう差別化していくのか、ということについて、このブログでは何度も何度も書いてきました。

ですが、書いてきたことは「差別化して選ばれる」ための考え方です。

バニラエアは、「選ばれない原因を無くす」ことに特化した会社のように感じます。

もちろん、尖った、目立っているメリットが合ったほうが売りやすいのは確かです。
元に、LCCではピーチ・アビエーションのほうが業績は上です。

ですが、尖ったアピールをすれば、強く好かれる反面、何かがあったら、とことん嫌われます。

なかなか難しいマーケティングにはなりますが、「なんとなく選ばれ続ける」バニラエアという戦略は、なかなかおもしろいポジショニングです。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
飯山陽平

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