プラスドライバーとマイナスドライバー,どちらの方が優れているか…みたいな,身もふたもないコンセプトです。
どちらも,大工さんの道具としては必要なものでしょう。
用途が違うのに,どちらが優れているか,と単純に比較できるものではありません。
ですが,それでも敢えて動画と文字コンテンツ,どちらが適しているか,というコンセプトです。
もちろん,結論から言うならば,時と場合によるでしょう。
さて,まずは動画コンテンツのメリットとデメリットです。
「メラビアンの法則」というものがあります。
ウィキペディアによると,
「感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であった。」
とあります。
一見すると,言葉などの言語情報は7%。
なので,動画は,言語だけではなく,聴覚情報,視覚情報合わせて100%伝えることができるように感じます。
これが,動画の一つのメリットであり,デメリットの一つです。
ここでのデメリットとは何でしょうか。
先ほどのウィキペディアの引用をもう一度ご覧ください。
「感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であった。」
つまり,「矛盾したメッセージ」が発せられたときに,どれが判断の優位に立てるかどうか,ということでもあります。
動画であれば,しゃべる人の声のトーンや振る舞いなどまでが,すべてコンテンツに含まれます。
本当に伝えたいことが「文字情報」だった場合…声のトーンや見た目などで,伝わらない,ということも起きうるのです。
先日紹介したとおり,甲高い声のトーンで一本調子でしゃべられると,聴いていてつらい,ということもあるでしょう。
しゃべるときにピチャピチャと唾の音を立てる癖があれば,それだけで私は生理的に受け付けません。
本当に伝えたい文字情報とは別の要素で,伝わらなくなってしまう,ということが起こります。
これは,そのまま文字コンテンツのメリットとなります。
しゃべる…というプレゼンテーション技能が無くても,Wordで書くだけで本当に伝えたいことを,邪魔な要素が入り込むことなく伝えられるようになります。
例えば,極度の吃音(きつおん)症の人であったとしても,人前でしゃべると上がってしまって頭が真っ白になる人でも,文字ならば,自分の伝えたいことを余すことなく伝えられるのです。
次に,動画のもう一つのデメリットを紹介します。
それは,時間の掛かる割には,伝えられる情報量が少ない,ということです。
NHKによると,アナウンサーが1分間にしゃべる文字数は,300文字程度,と言われています。
一方,日本人の平均読書スピードは1分間に600も時程度,と言われています。
つまり,読むと1分で伝えられる文字情報量が,耳で聴くと2分掛かる,ということになります。
もちろん,動画で,背景や図,写真を使って伝えた方がわかりやすいかもしれません。
ですが,背景や図,写真は,PDFファイルなどでも代用することができます。
それ以上に問題なのは,2倍,時間が掛かる,ということです。
単純に日本人の【平均】読書スピードが600文字ですので,個人差はあります。
私の場合は,だいたい1分間に1800文字程度の読書スピードです。
一つの例ですが,このブログは,毎日2000文字程度を心がけて書いています。
つまり,私の場合だと,この文字量を読むと1分ちょっとで読むことができます。
ですが,音読で聴いた場合,6分以上掛かるということになります。
昔はそれでも良かったのです。
ですが,今となっては,プロダクトローンチの全盛期。
毎日膨大な動画コンテンツが配信されてきます。
いちいち6倍も掛けて見ていられません。
忙しすぎる現代人にとって,時間が掛かる…というコンテンツ媒体は,大きなデメリットとなります。
その反対が,文字媒体。読むのが早い人には,時間を掛けず読むことができます。
最後に。
一番の決定的な違いが,受動的か能動的か,という点です。
動画を観る時は,基本的に受け身です。流れている動画を,自分の状態に関係なく,一方的に流れていきます。
一方,文字コンテンツは,自分が能動的に「読む」という行為をしなければ,それが目に入ってくることはありません。
もちろん,動画を流せば勝手に観られるので,動画の方が楽です。
ですが,受け身で終わってしまったら,記憶にも薄いでしょう。
けれど,文字コンテンツは,自分でがんばって読まないといけない,というデメリットがそのままメリットに変わります。
自ら能動的に「読んだ」情報です。
それだけ読み手に深い印象を伝えるのです。
まとめると…手っ取り早く,伝えやすいのは動画かもしれません。
ですが…あなたの本当に伝えたい,核心的なメッセージは,文字コンテンツの方が適しているのです。
動画がどれだけ流行ろうと…セールスレターは,これからも不滅でしょう。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平