だまし絵で有名なオランダの画家、エッシャーの作品を、美術館で見学してきました。
何度も目をこすり、メガネを取ったり掛けたりしながら、目の奥の痛みに耐えつつ、最後まで鑑賞しました。
私にしてみたら、「美術館」という場所は、「教会」の次に嫌悪している場所。
学生時代に、学校の課題で行き、「二度と行ってたまるか」と思って以来の美術館でした。
それはさておき。
コピーライターの性でしょうか。
どちらかといえば、作品自体よりも、作品の脇に書かれている補足や解説文の方に、かなり興味を惹かれました。
残念ながら、撮影はできず、メモ帳とペンもなかったので、概要として紹介します。
エッシャーについて、ウィキペディアの解説を引用します。
「1919年からハールレムの学校に通い、建築と装飾美術について学んだ。建築については簡単に学んだだけであったが、しばらくして装飾美術についてサミュエル・メスキータに才能を見出される。そこで絵画とウッドカットの経験を積み1922年に卒業している。」
もともとエッシャーは、建築業界を目指して勉強をはじめたところ、師匠であるメスキータから才能を見出された、とあります。
これは本当にすごい話です。
私にとってみたら、すごいを通り越して、怖い話です。
なぜでしょうか。
本人は建築業界に入ろうと志していたのです。
ですが、メスキータから、
「建築ではなく絵画や版画の世界で頑張れ」
と言ったということでしょう。
つまり、建築業界に入る、という夢を諦めさせたのです。
その上で、成果が出るかどうか、芽が出るかどうかもわからない、絵画や版画の世界に誘ったのです。
このエピソードを目にした時に、かつて、ある方から聞いた、別のエピソードを思い出しました。
それは、漫画の世界のこと。
漫画家志望の方が、出版社に作品を持ち込みます。
それを編集担当が見て、ボツにするか、採用して雑誌に掲載します。
この編集担当者の話です。
「作品をチェックするのは、震えが来るくらい緊張する」
のだそうです。
なぜか。
目の前の作品は、どれだけ酷く、採用して雑誌に掲載するには、箸にも棒にもかからないレベルだとします。
だからといって、その目の前の漫画家志望の人が「才能がない」かどうかは別の話です。
もしかしたら、今はこのレベルでも、将来は手塚治虫のような偉大な漫画家になる才能を秘めているかもしれないからです。
もしかしたら、自分がこの作品をボツにすることで、この目の前の漫画家志望の人が、筆を折った結果、偉大な才能を一つ、夜に出すこと無く自分の手で潰してしまうことになるかもしれないから。
それくらいの覚悟で、持ち込み作品をチェックしているので、毎回震えが来るくらい怖いのだそうです。
では、メスキータはどうだったのでしょうか。
エッシャーを版画の世界に誘いました。
その結果、今も偉大なアーティストとして、死後も遠い異国(日本)で展示会が開かれるほどの才能を開花させたのです。
ですが、それが正解だったのでしょうか。
もしかしたら、建築の世界で、さらなる才能を発揮していたかもしれません。
ピラミッドやパルテノン神殿のように、何千年に渡って世界を魅了し続ける、偉大な建築物を作成していたかもしれません。
こればかりは、仮定の話なので、なんとも言えません。
ただ…それでも称賛すべきは、メスキータの覚悟です。
もちろん、絵画の世界に誘い…それを選択したのはエッシャーです。その責任はエッシャーにあります。
理屈ではそうです。
ですが…理屈だけで済む話でしょうか。
誘った側として、心情的に何らかの責任が伴うのではないでしょうか。
ここでは、心情的な責任に留まります。
ですが…あなたはどうでしょうか。
あなたは、あなたのビジネスは、あなたの商品やサービスは、顧客の人生を変える可能性は十分にあります。
変えたその先に、責任は取れるのでしょうか。
もちろん、法的な責任ではありません。
ですので、責任というよりは、顧客の人生を変える覚悟があるかどうか、という話です。
例えば、整体師が施術をしているとします。
ある人が、腰をおかしくしてその整体院に行くとします。
初めての整体院です。
その時の一挙手一投足が、もしかしたら、顧客の人生を変えるかもしれません。
例えば、何らかの不愉快さを与えてしまうような振る舞いをします。
その結果。
「整体師って何か胡散臭い。やはりこのような民間療法を信じた自分がバカだった」
と、
「二度と整体師を信用しない」
と決心したとしたらどうなるでしょうか。
本当に腕のいい、素晴らしい施術に背を向けて、その顧客は痛みとともに行き続けることになるかもしれないのです。
私は、多重債務者を1000人以上法律相談しました。
幸いにして、その1000人の中には(私の知る限り)幸いにして自殺者はいません。
…2人ほど、夫が自殺した、というケースはありますが。
(2人とも、奥様が法律相談に訪れたその時点で、すでに行方不明だったそうです)
同職の人によれば、2人ほど自殺された、という話を聴いたことがあります。
医者ほどではないにしても、文字通り自分の振る舞いで、顧客の人生を閉ざしかねないのです。
今となっては、売上アップという結果を出す立場に変わって…更に責任が重くなったかもしれません。
なぜなら、ビジネスが不調のときに、結果を出せなければ…クライアントだけではなく、その家族や従業員、従業員の家族、取引先、顧客にまで影響を及ぼしかねないからです。
それくらいの覚悟を以て、売上アップに貢献するのが、今の仕事です。
例え話が長くなりました。
あなたは…顧客の人生を変える覚悟を以て、自分の商品やサービスを売っているでしょうか。
あるいは、あなたがセールスやマーケティングに失敗して、あなたの商品やサービスを手に入れ損なった人に対して、どれだけの悪影響を及ぼしているでしょうか。
ぜひ、一度はそんな視点で考えてからセールスやマーケティングに望んでみてください。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
誰かの人生を変える前に、まずは自分。
でも、売上アップやらマーケティングなどやってるヒマがない…という忙しいあなたへ。
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