獅子はうさぎを倒すのに全力を尽くす…などという慣用表現を耳にしたことがあります。
本当かどうかは知りません。
意味合いとしては全力をつくすことの大切さの比喩でしょう。
全力をつくすことは大事です。
ただ,全力を尽くすことと,持てる技術を駆使することとは,必ずしもイコールとは言えません
さて,今日はやってしまいがちなコピーライティングの過ちについて紹介します。
それは,コピーを書く時に,持てる技術全てを注ぎ込むことです。
全ては紹介できませんが,コピーライティングにはレベルというものがあります
簡単に紹介するならば,レベル1〜レベル5まである,というイメージです。
レベル1は文字通り簡単です。
レベル5は超高難易度のコピーです。
レベル5のコピーとはどんなコピーでしょうか。
一つは,競争の激しい業界です。
あるいは,コモディティ(大量消費材)化が進んでいる業界です。
例えば,化粧品。
基本的に化粧品というものは,シェアが増えません。
多少増減はあるでしょうが,世の中の女性の数はだいたい変わりません。
マーケットである女性の数がそれほど変わらないのであれば,消費される化粧品の量もだいたい変わらないということになります。
つまり,化粧品における新規顧客開拓というのは,
「競合から顧客を奪う」
ことに他なりません。
もちろん,競合も,顧客を奪われたくないでしょうから,フォローアップをして,信頼関係を築いてロイヤリティを高めようとします。
そんな状況下で戦っていかなければならないのですから,極めて熾烈な戦いになることは想定できるでしょう。
これらの戦い勝つためには,極めて高難易度のコピーで勝負する必要が出てきます。
レベル4のコピーとはどんな場合が想定されるでしょうか。
一般的には,セミナーやイベントの集客がレベル4です。
この理由はシンプルです。
競合が多くて強いからです。
単純に他のセミナーとの戦いという意味でも熾烈です。
それ以上に強力な敵がいます。
一言で言うと,
「忙しい」
という敵です。
セミナーやイベントというものは,日時場所がブロックされます。
何年何月何日何時何分に,特定の場所に来てもらう必要があります。
単純に受講料や競合の問題だけでなく,忙しいと行きたくても行けません。
ライバルが強力だと,やはり高いレベルのコピーで勝負しなければいけないでしょう。
逆に,レベル1のコピーとはどんな状況でしょうか。
需要と供給との関係で見た時に,圧倒的に供給が追いついていない場合です。
つまり,希少価値や限定生などがあるので,大したコピーでなくても売ることができます。
例えば,砂漠で水を売る時に,
「この水はミネラルが豊富で…」
とか言う必要はないでしょう。
やってしまいがちなコピーライティングの誤りが2つあります。
レベル(難易度)の低い案件を書く時に,超高レベルのコピーを書くことです。
単純に,反応率が下がります。
レベル(難易度)の低い案件として…もののたとえです。
アメリカ合衆国次期大統領ドナルド・トランプ氏を日本に招いて講演会を開くことが出来るとします。
彼の話す内容がどんなものかはともかく,物珍しさに人を集めるのは簡単でしょう。
ここで,トランプ氏の講演を聞きに来るベネフィットとして,クリントン候補との比較や,政策の違い等について,延々と解説していたらどうなるでしょうか。
最後まで読めば,トランプ氏を日本に招いて講演会…という内容が書いてあるにもかかわらず,読まれずに,終わるでしょう。
もう一つの誤りが,持てうる全てのコピーライティングのテクニックを駆使してしまうことです。あるいは,新しいテクニックを学んだから…ついそれを使ってしまうということもあります。
例えば,先程のトランプ氏を招いて講演する,という場合。
ベルペットポーチというコピーライティングのテクニックがあります。
ありふれたものを売る時に,興味や関心を掻き立てて購入を促すテクニックです。
要するに売り物をベルペットに包んでポーチに入れてしまうので,中に何が入っているかわからないけれど…でもなんかすごそうなものが入っている…という演出です。
「あ,またコレ系ね」
と思われがちなものを売る時に使うことができます。
もし,トランプ氏の講演をする時に,このベルペットポーチのテクニックを使ったらどうなるでしょうか。
かえって集客に苦労することでしょう。
講演でベルペットポーチを使う場合…おそらく,サプライズを演出するような感じになります。
つまり,トランプ氏の知名度が全く活用できないのです。
素直に,
「アメリカ合衆国次期大統領ドナルド・トランプ氏 来日講演」
の一行のほうが,よほど集客できるでしょう。
売り物や難易度に合わせて書かないと,高レベルのテクニックが,かえって裏目に出ることがあります。
コピーというものは適材適所なのです。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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