ちょっとした笑い話です。
耳にした話そのままなので,笑えなくても仕様です。
ある英会話教材の話です。
「1日15分聞き流すだけ」
を売りにしている,その英会話教材。
あるユーザーが,サポートセンターに問い合わせしました。
「指示されたとおり,1日15分聞き流すのを半年続けましたが,ちっとも上達した感じがしません」
これに対して,サポートセンターの鉄壁の回答がこちら。
「あと6ヶ月聴き続けてからまたご連絡ください」
笑えないような…笑うしか無いような話でした。
成果を感じること無く,毎日15分を6ヶ月続けたユーザーは凄いという他ありません。
そんなユーザーに,
「あと6ヶ月」
と,血も涙もないような回答も凄いという他ありません。
ただ,ここで取り上げたいのはこのサポートセンターの対応ではありません。
今日のテーマは,オファーです。
この後は,非常に当たり前の話しかしません。
当たり前のはずなのですが…この英会話教材のような,極度の錯乱状態に陥ってしまうことがあるかもしれません。
確認程度にご覧ください。
この英会話教材の何が錯乱しているのか。
先程の話では,6ヶ月聴き続けても効果を実感できず…その対策があと6ヶ月聴き続けろ,という指示でした。
この英会話教材を販売するオファーが,
「10日間無料お試し」
です。
繰り返します。6ヶ月で効果がわからず,更に6ヶ月聴け,という英会話教材のオファーが「10日間無料お試し」です。
CDを送り,10日以内に返品すれば無料。
10日以降に課金される,というオファーです。
つまり,「効果がないことを証明できない」のです。
なぜなら,「毎日15分聴き続けるだけで英語が身につく」しか言っていません。
つまり,毎日を50年聴き続けても駄目でサポートセンターに問い合わせたら「あと50年聴き続けてください」という答えが返ってくるかもしれません。
もちろん,効果がないことに50年も続かないでしょう。その場合,「途中でやめた」だけであって「効果がないことの証明」にはなりません。英語が身につく,という「効果があること」もしくは「途中でやめてしまう」の2択です。
そんな英会話教材のオファーが10日間の無料お試し。
おかしい,ということはご理解いただけるのではないでしょうか。
あるサプリメントを販売するとします。
「薬機法」(いわゆる旧「薬事法」)の兼ね合いで「効く」といった表現はできませんが,仮にそのサプリメントを摂取することで,何らかの効果を実感するのにどれくらいの期間が掛かるのでしょうか。
例えば,1日2回,10日間摂取し続けることで,効果を実感できる,という人がいるかもしれません。
人によっては12日かもしれません。
もし,「お試しセット」と称して,ミニマムなパッケージを販売するとします。
この場合…1週間分では足りない,ということは言うまでもないでしょう。
あるいは,無料サンプルで3日分では足りない,というのは言うまでもありません。
上述の例では,個人差もあるでしょうから,お試しセットは15日分程度が相当でしょう。
この15日分について,特別価格を設定して,15日分の返金保証を付ける,というのなら「筋が通った」オファーとなります。
あるいは,15日後に課金されるシステムにして,15日以内にキャンセルの連絡をすれば,課金されないというリスクリバーサルをつければ,これも「筋が通った」話です。
あるいは化粧品等も同じでしょう。
1週間つけ続けて効果を実感できるならば,サンプルは1週間以上でないと,筋が通らない,ということになります。
「結果にコミットする」
で有名な,あるパーソナルトレーニングの会社があります。
余談ですが「結果にコミットする」は商標登録されていますので,プロモーションでうっかり使わないように気をつけなければなりません。
余談はさておき。
この「コミット」という言葉が,何ともわかりづらい。
日本語にすると,どうにも違和感が残ります。
定義【commit(コミット)】(ランダムハウス英和大辞典より一部抜粋)
〈自分自身を〉(約束などで)拘束する,(道義的・法律的に)身を縛る,(行動を)必ず果たすと誓約する;必ず(…すると)誓う;(事に)かかわり合いになる,専心する;コミットする
「結果を(出すことを)【誓う】」
とでも言うのでしょうか。
もっとざっくばらんに表現するなら,
「結果を約束する」
というメッセージになるのかもしれません。
ところで,この会社のサービスは2ヶ月間のプログラムを販売しています。
パーソナルトレーニングで2ヶ月間のプログラムです。
結果を出すことをコミットしています。
返金保証は30日間です。
謎です。
2ヶ月間のプログラムで結果を出すことを約束しているのであれば,結果が出たかどうかがわかるのは2ヶ月後ではないでしょうか。
ですが,返金保証は30日間。
…言っていることとやっていることが食い違っています。
ここで,本当に言っていることとやっていることを一致させるなら,
「2ヶ月間の返金保証」
ではありません。もちろん,2ヶ月間の返金保証は,現行の30日間返金保証よりはマシです。
ですが,やはり言っていることとやっていることが食い違っている状況は解消できていいません。
メッセージは,「結果にコミットする」です。結果が出るのはMAXで2ヶ月後です。
ということは,本当に言っていることとやっていることを一致させるなら,
「2ヶ月経過後から◯◯日間返金保証」
にしないと「筋が通らない」ということになります。
結局は「コミット」などとよくわかならない横文字でお茶を濁しているだけで,カケラほども結果にコミットしていない,ということがよく分かるオファーです。
私自身は,この「結果にコミットする」というパーソナルトレーニングの会社を利用したことはありません。
ですので,本当のところはわかりません。
もし…本当に,心から顧客を幸せにしようと,今よりもずっと良い状態にしようという真摯な思いを抱いてビジネスをしていたとしても,です。
このようなオファーの出し方次第で,
「顧客のことなどカケラも考えず,自分が儲けることしか考えていないような会社だな」
と思われてしまうということです。
オファーの出し方は,メッセージと噛み合わないと途端に,一貫性が崩れて,胡散臭くなります。
くれぐれもご注意ください。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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