100年続く,人間の広告心理

100年続く,人間の広告心理

100年続く,人間の広告心理
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ある方から進められて,「dマガジン」というものの購読をはじめました。
月額400円(税別)で,180種類ほどの雑誌が読み放題。

さまざまなリサーチに使える,ということでした。

本当は別の目的で購読したものの,180誌もあると,いろいろ目移りします。

例えば,世間を賑わせる,週刊文春などの週刊誌。
適当にパラパラめくってみましたが…
何一つ,好奇心も興味もそそられません。

結局,気がつけばビジネス誌をパラパラめくっています。

dマガジンの致命的な欠点…それは広告が出ていないこと。
全部カットされて,ブランクになっています。
コピーライターとしては…がっかりです。

ですが,ある雑誌には,広告がばっちり出ていました。
実に興奮します。

今日は,そこに出てたものをネタにします。

その雑誌は,「週刊ダイヤモンド」です。
なんと,このdマガジン3周年記念キャンペーンとかで,有名な雑誌の「創刊号」が読める,という企画がありました。

そこで,週刊ダイヤモンドの創刊号を開いてみてみました。

まずは,タイトルからしてすごい。
表紙にどでかく,
「ドンモヤイダ」
その上に,小さく
「行発日十月五年二正大」
と書かれています。

横書きが,右から左に読む時代でした。
ということで,創刊1913年。
今から104年前の話です。

早速めくってみると…

いい加減,右から読む横書きは面倒なので,そのまま書きます。

広告のヘッドラインがこちら。

宮内庁御用達
其名譽と信用の世界的なる清涼飲料

山紫水明の谷間より湧出する天然炭酸瓦斯と冷鉱泉を以て製造せる吾(商品名)は清涼飲料界の覇王なり!!

覇王ですよ,覇王。
この表現はすごいです。

次に,サブヘッドがこちら。

「論より證據」
右の事實は吾社製品の優良を證 し得て餘あり

日英大博覧会名誉賞牌受領

…と続きます。
途中,面倒になっていくつか現代語と混じってますがご容赦ください。

大丈夫だとは思いますが,閲覧環境で,読めない字も混じっています。

念のため。

「宮内庁御用達
その名誉と信用の世界的なる清涼飲料
山紫水明の谷間より湧出する天然炭酸ガスと冷鉱泉をもって製造せるわが(商品名)は清涼飲料界の覇王なり!!

論より証拠
右の事実はわが社製品の優良を証し得て余りあり
日英大博覧会名誉賞牌受領」
という感じですね。

さらに,
「今回更にイタリア万国博覧会において
・名誉賞牌受領
・宮内省御用品
・各宮殿下御用品
・陸海軍御用品
・赤道往復帝国軍艦御証明」

と続いていきます。

さて,ここで宣伝している商品。
これは何でしょうか。
あなたも,見たことがあるでしょうし,きっと飲んだこともあるでしょう。

100年以上前から続く,炭酸飲料といえば,私はこれしか知りません。

商品は「三ツ矢サイダー」です。

上述の通り,かなり強烈なコピーが入っています。

清涼飲料界の「覇王なり!!」
です。
エクスクラメーションマークが1つも付いています。

覇王…という言葉を調べてみると…「武力で諸侯を統御して天下を治める者」と,少々物々しい表現がされています。

要するに,ありとあらゆる他の清涼飲料を制圧して頂点に立っている,という意味合いになるのでしょう。

これだけ強烈なコピーを使う時には,必ずセットで出さなければいけないものがあります。

本文をそのまま引用すると,
「論より証拠」
です。

つまり,強烈なコピーを使った場合,その強烈さを支えるに足りるだけの証拠が必要になるのです。
それらの証拠もなく,やたらと強い物々しいコピーを並べ立てた結果が,世に言う「煽りコピー」の正体です。

強いコピーであっても,その強さに足りるだけの証拠があれば,煽りにはならないのです。

今回はどうでしょうか。

宮内省御用達です。
※宮内省という表現は,1913年当時です。念のため。

さて,清涼飲料,炭酸飲料という領域で,どれだけ御用達の商品があったのでしょうか。
ないからこそ,「覇王」などという言葉が使えるのです。

繰り返します。1913年当時です。大正2年です。
大日本帝国憲法下です。
「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」
の時代です。

そんな時代の宮内省に御用達ともなれば,「覇王」という言葉も煽りとはいえないでしょう。

さて,この広告ですが,「宮内省御用達」は大小合わせて3つも書いてあります。
一番目立つ,一番大きな文字も,この「宮内省御用達」です。

自社よりも遙かに権威のある存在を担ぎだして,信用と権威として活用する。

これは,今の時代にも行われていたことですが…100年以上前も行われていたことです。

私がコピーを人に教えるときは,
「人間は変わりません」
「だから,同じ人間相手である以上,コピーの原理原則も変わりません」
「今後廃れることなく使える技術です」
と伝えてきました。

こうして,100年以上前の広告を見ると,本当にそうなんだな,と実感した次第です。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平

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