先日、都内でセミナーを受けた後ホテルに戻ろうとしていた時のことです。
3日間のセミナーで、かつ前泊していたのですから、そのホテルは4泊目。
どういうわけか、朝セミナー会場に向かうときは平気なのに、帰りは毎日迷ってしまいます。
この日も、セミナーを終えてホテルに戻ろうとして、新宿区内をさまよっていた時のことです。
なかなか興味深い看板を見つけたので、思わず写真を撮りました。
それが上記の写真です。
この看板コピーの強味と弱味、別の言い方をすれば、このコピーの素晴らしいところ、拙いところは何なのか。
ちょっと考えてみてください。
正解不正解ということではなく、考えてみることが、あなたのマーケティング力の向上につながります。
特に、自業界ではなく他業界から学んで採り入れるほうが、良い結果につながるものです。
そんな観点で、考えてみてください。
まず、弱みから。
書いてあることの根拠
「(2番目に)」とありますが、どこに根拠があるのでしょうか。
また、「なぜか煙が出ない」と言われても、どこに根拠があるのでしょうか。
この点を曖昧にしていることで、全体的に胡散臭いコピーになっています。
一方。
このコピーの優れているところは、非常に基本的なところです。
すなわち、その店の特徴からどのようなアドバンテージがあって、それが顧客にどんなベネフィットになるのかを明確にしています。
特徴は、煙が出ないことです。
煙が出ないということは、スーツや髪に匂いがつかない、というアドバンテージになります。
だからこそ、女子会や仕事帰りにも利用できる、と明確に謳っているのです。
この点は非常に素晴らしい。
だからこそ…非常にもったいない。
どうすればより優れたコピーになるのか。
それは「(2番目に)美味しい」という表現を削除することです。
これで、全体的に一貫性のあるメッセージになります。
このコピーを見ると、比較して思い出されるのが、ドミノピザのあの有名なコピーです。
「熱々のピザを30分以内にお届けします。間に合わなければ、お代はいりません」
このコピーがどれだけ優れているのかは細々と解説しません。
今日のテーマに沿って、一つだけ紹介します。
それは、このコピーのどこにも「美味しい」という味の良さを主張がないことです。
素材がいい、とか秘伝のソースを使っているとか…といったことは一切触れていません。
単に熱々のピザを届ける、とだけ主張しています。
このメッセージの裏にどんな意味があるのでしょうか。
ビジネスの本質は
「問題解決」
だと言われています。
何か良い点を以って素晴らしい体験をすることよりも、顧客が抱えている問題を解決することのほうが、わかりやすく需要に応えることができるのです。
当然売りやすく、価格も上げやすくなります。
では、デリバリーピザの問題は何だったのでしょうか。
それは、「今、ハラが減っているのに、いつ来るかがわからない」ということです。
別の問題では「冷めたピザはおいしくない」ということです。
だからこそ、ピザの味で勝負するのではなく、この問題を解決することに主眼を置いたのです。
それを踏まえて、この写真のコピー。
それは、「匂いがつく」という問題解決に主眼を置いています。
他の焼肉店では、味や素材で勝負している中で、この店は
「臭いがつかない」
という他にはないアドバンテージを持っているということになります。
それ「だけ」を打ち出すことで、メッセージに一貫性が出て信ぴょう性が増し、説得力が出てくるというものです。
実にもったいない話です。
個人的には、入りたいとは思いませんでしたが、一瞬でも足を止めることに成功したコピーとして、素晴らしいものでした。
夜23時頃、墓場のそばをウロウロと迷ってしまい、途方に暮れていましたが、迷ってみることで、なかなか秀逸なネタと出会えて何よりでした。
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