合同マーケティングの是非

合同マーケティングの是非

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合同マーケティング、という呼称が適切かどうかはわかりません。
私が勝手にそう呼んでいるだけです。

今日は、この合同マーケティングについて、思うことを書いていきます。

2つ事例を出します。
事例ごとに、その良し悪しを考えてみてください。

事例1
あるチラシ。
同じ商圏に配布する場合、チラシの半分、あるいは両面チラシの表裏でそれぞれ1社ずつ広告を印刷して配布します。
これで、広告スペースの半分が2分の1になるだけで、実際にそこに宣伝するにあたってのコストは半額になります。

事例2
ある業者がいます。
同業種が集まってお金を出し合い、ひとつの協会を作りました。
その協会の資金力で、協会そのものを広告宣伝。
結果として、その地域におけるその協会の信用を構築。

会員は、その協会の会員であることを広告宣伝に使うことができます。
条件は、決められたテンプレートとロゴを使うこと。
特に、全協会会員の社名を合わせて印刷しなければならないこと。
これさえ守れば、自由に協会の名前を出すことができます。

事例3
一定エリア内の靴の業者が集まって、チラシを作成します。
同じ商品、同じ価格で扱い、全部の店の名前を出します。

印刷代は自己負担でしょうが、チラシの原稿作成代は頭割りで大幅に安くなります。
しかも、お互いに歩調を揃えて同じ価格で販売するので、価格競争からも脱することができます。

この3つの事例、なにが良くて、あるいは何がダメなのでしょうか。
考えてみてください。

私なりの考えです。
前者は、いくつかの条件を満たせば、全く問題がありません。
それは、お互いに競合しないことです。

例えば、チラシの表面にA整体院、チラシの裏面んB治療院…などというのはオススメできません。

あとは、これはテストしてみないとわからないのですが、表面に2社とか4社を載せるのはオススメしません。
コピーライティングのルールとして、1チラシ1メッセージの鉄則があります。
表裏なら、まだ「別々のチラシ」とみなすことも、かろうじて出来るでしょう。
ですが、表面だけで2社とか4社載せてしまうと、ごちゃごちゃして、見た人ウィ混乱させるかもしれません。

…あくまでも「かもしれない」だけなので、実際のところテストしてみないとなんとも言えないのですが。

よって、業種を選べば、マーケティングコストを大幅にカットできるので、ひとつの手です。

反対に、事例3は、論外です。
靴屋の個性も何もあったものではありません。
値段を均一にして、価格競争を回避することはできるかもしれません。
…そのチラシに載っている店舗の間では。

つまり、チラシに載っていない、もっと他の安い店舗に根こそぎ顧客を奪われることになりかねません。

仮に、チラシに載っている価格が安かったとしても、今度は別の問題があります。
例えば5店舗の靴店のなかからどうやって自分の店舗を選んでもらうことができるのでしょうか。

例えば、同じ家電量販店が、数店舗分まとめて印刷する、とはまた話が違うのです。

◯☓電機A地区店と◯☓電機B地区店が合同でチラシを出して、それを見た顧客がA地区店に行こうとB地区店に行こうと、◯☓電機の売上であることには変わりません。

ですが、靴の個人店舗が5店まとめてチラシを出しても、自分の店舗に来てもらわないと、自分の売上にならないのです。

最後に事例2。
これが最悪です。
一番問題なのは、全会員社名を載せなければならないというのが、本当にたちが悪い。

何ら売上に貢献しない項目にチラシ紙面の半分以上を持って行かれるのです。

そして、これは事例3と同じですが、致命的な問題点があります。
それは、コモディティ化(一般消費財化)してしまうのです。

単なる消耗品扱いです。
例えばトイレットペーパー。これは完全にコモディティ化しているので、正直どこの会社のものを使っても変わりません。
完全に個性がなく、他の代替品にすげ替えれられてしまっても、全く影響がないことになります。

実際にはそんなことはないのでしょうが、このような協会の一会員として、全社の社名を載せる…ということは、そういう意思表示をしているのです。

あなたは、自分のビジネスを
「その他大勢と同じ」
だと思われて嬉しいですか?

あなたの大切な顧客に、
「その他大勢と同じ」
商品やサービスを買ってもらって、それで満足ですか?

今の時代、いかにして差別化をして自社の強みを打ち出すのか、ということに苦労している会社がたくさんあります。
そんな状況下で、何が悲しくて、わざわざ自社の強みや持ち味を打ち消して、コモディティ化を演じなければいけないのでしょうか。

あなた自身、あなたのビジネス、あなたの顧客、あなたのビジネスを応援してくれるすべての人に対する、冒涜であり侮辱です。

最後に。
この事例2と事例3の問題点の本質。
それは、自力でマーケティングを展開できないことです。
そこで、寄ってたかって集まればなんとかなる、と思っているのです。

まさに弱者連合。

故事に鶏口牛後というものがあります。
大きな集団の中で尻にいて使われるよりも、小さな集団であっても長となるほうがよいということ、という意味です。

弱者連合ならば、仮に牛のように大きく見えるだけ。
実際の競争力はアリ以下。

安心して鶏の頭で居てください。

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