最近,税理士さんからのメルマガが増えてきています。
同じ日に同じ内容のメルマガが数通配信されてきて,ちょっと苦笑…ということもあります。
冒頭の事務所名や職員の集合写真,ロゴなどは別ですが,それ以降は全く同じなのです。
尋ねてみたところ,このメルマガの本文はコンテンツを購入して配信する…という仕組みのようです。
さらにいろいろと尋ねてみたところ,
「このメールで,仕事をもらおう,という気持ちは全くない」
「顧客サービスの一環」
とのこと。
つまり,
「顧客流出を防ぐ」
ということのようです。
このメールボックスをみて…2つほど興味深いと感じました。
1つ目。
取りようによっては,すごく上目線に感じるかもしれませんが,ご容赦ください。
「税理士の先生も努力している」
ということです。
そもそも,税理士の先生は「何」のプロでしょうか。
【税理士法】
(税理士の使命)
第一条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
ということで,税務に関するプロです。
税金計算に関するプロです。
言い換えると,いくら税金を払えばいいのか…ということを教えてくれることに関するプロ,ということになります。
つまり,会社経営であれば,どうすれば会社にお金が残るのか,ということの専門家ではありません。
あるいは,会社にお金…言い換えると売り上げをもたらすために何をどうすればいいのかについて詳しい専門家でもありません。
こういったことに強い税理士の先生もいますが,それは税理士だからということではなく,その先生が自らのサービスに付加価値をつけるために努力したものです。
税理士制度においては,いくら納税すべきか,ということのプロです。
そもそも,決算は何のためにやるのでしょうか。
当然ですが,申告…すなわち納税のためです。
結果的に融資だったり,あるいは投資だったり…と,決算内容が他の目的で使われることもありますが,結局は納税が目的です。
話が逸れてきたので戻します。
非常に偏見的な言い方をします。
帳簿と数字だけを見てきた税理士の先生(それが仕事ですから),今は顧客満足度を高めるためにメルマガまで配信するようになったのです。
すごい,がんばっている…そう感じます。
実際,私も士業の端くれではありますが,他の○○士からメルマガが届く…ということはありません。
つまり…それだけ競争が激しいのでしょう。生き残るためには,メルマガ配信…といった適応が必要になってきたと言うことでしょう。
では,これだけがんばっているのですが…。
感じたことの2つ目。
「がんばっているだけ」
だとも感じます。
言うまでもありません。
余所から買ってきたメールにヘッダーと件名だけすげ替えて配信。
コピペの文章で,
「ああ先生,いつもありがとうございます」
といったことを感じるほど…安っぽい人はそこまでいないのではないでしょうか。
つまり,顧客はその税理士にロイヤリティ(忠誠心)を感じることはない,ということです。
そもそも,なぜ税理士の集客が難しいのか,ここから逆算すれば見えてくるものがあります。
すなわち,
「すでに余所の税理士に依頼している」
ということです。
税理士は,非常にすごい仕事です。
なぜなら,その会社の財務状況すべてを把握していることになります。
多くの経営者は,わざわざ自社の財務状況を多くの人にばらしたい…などとは思わないでしょう。
つまり,「よほど」のことがないと,わざわざ税理士を変える,ということにはならないのです。
価格や特殊な専門スキルなどを提示しても,なかなか腰が重く,変えられないとも言えます。
…だから,これまで税理士はあまりサービス面を重視せずともやってこられたのです。
ですが,今の時代は,スマホでレシートの写真を撮るだけで,仕訳記帳までできてしまいます。
この「わざわざ税理士を変える」ハードルが下がっているのです。
その税理士に依頼するよりも,他の税理士(あるいはアプリ)にする,というハードルが下がる。
すると,余所に流れてしまう顧客を食い止めるのは何でしょうか。
それが,ロイヤリティ(忠誠心)です。
「この先生にはお世話になったから…」
という人としての情だけが残ります。
ですが,その情も,きちんとアップデート…すなわち日頃のコミュニケーションの積み重ねがなければ,どんどん薄くなっていきます。
その結果,顧客流出につながります。
それを防ぐためのメルマガ…のはずです。
ならば,なぜ余所からコピペのメルマガで済ますのでしょうか。
もちろん,メルマガを書き続けるのは大変です。
私みたいにマニアックに毎日書き続けられる人は,そこまで多くないでしょう。
そもそも何を書いていいかもわからず困るかもしれません。
だからといって,
「昨日~を食べました」
みたいな内容を送ってパーソナリティを主張されても困ります。
どうでもいい,価値のない話ですから。
だったらどうすればいいのか。
両方送ればいいのです。
自分のパーソナリティが伝わるようなエピソードと,あとは余所から買ってきたコンテンツ,両方送ればいいのです。
そのマーケティングのプロセスは,そもそも何のためにやるのか。
それを考えてみてください。
ちょっと掘り下げて考えてみれば「コピペではまずい」ことがわかるでしょう。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
飯山陽平
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