「見えないもの」=存在しない ではない

「見えないもの」=存在しない ではない

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5年以上前のことでしょうか。
ある時、東京へ移動する時のこと。
新千歳空港へ着き、航空会社の受付カウンターへ向かったら、乗る予定の飛行機が、欠航。
アナウンスで、
「機体に不具合を発見したため、欠航となりました」
とのこと。

これに伴い、キャンセルや便変更の人たちで、カウンターは、ごった返していました。

列に並んでしばらくすると、怒鳴り声が。
「何で欠航なんだよ」
「どうしてくれるんだ」
と、中年男性が受付の職員に怒鳴り散らしていました。

その光景を…不思議な生き物を見るかのような気分で眺めていたのを思い出します。

なぜなら、なぜその男性が怒っているのか、当時の私にはわからなかったからです。

単純に、
「不具合のある飛行機に乗らなくて済んでよかった…」
という安堵と、その不具合を飛行機の出発直前に見つけた整備士の方に感謝です。

ちょっと想像してみてください。
機体の不具合を、出発直前に発見したら…その整備士の対応としてはどうなるでしょうか。
当然、まずは報告するのではないでしょうか。
ですが、それに伴い飛行機が遅延したり欠航になったりしたら…もしかしたら整備士の責任問題になりかねません。
…などと、考えたならば、もしかしたらその不具合に目をつぶってしまう、かもしれません。

あくまでも、想像の産物です。
実際に責任問題になるのかどうかはわかりません。

自分のミスであっても、他の人のミスであっても、それでもなかなかそのミスを正直に打ち明けるのは勇気がいることです。
結果として、誰の責任かはともかく、その時は、飛行機は欠航。
その影響で、カウンター業務の職員が顧客に怒鳴りつけられる…という事態になりました。

それでも、職務に忠実であった整備士には感謝という他ありません。

こちらの写真をご覧ください。機内から撮った写真です。

飛行機が駐機場をゆっくりと出発するときは、地上スタッフが誘導します。そのまま滑走路に向かっていく飛行機に向かって、手を振り…最後にお辞儀をして見送りをしてから、また別の仕事に向かって歩いて行きます。
その、手を振っている写真です。
地上スタッフ
このように、飛行機が飛ぶまでには、数えきれないほどの人たちの支えがあって、無事に運行しているのです。
そういった数えきれないほどの人たちのうち、目につくのはCAなどの一部のスタッフのみ。
顧客の目に触れない部分はたくさんあるのです。

そういった目に触れない部分には、たくさんのストーリーがあるのでしょう。
例えば、なぜ地上スタッフが、見送りのために手を振るのか。
飛行機が転回するための誘導が終われば、その便についての仕事は終わりです。さっさと別の仕事に取り掛かる、という選択もあるでしょう。それでもわざわざ寒い中、外で手を振って見送りするのはなぜなのか。
きっと、それには理由が…その理由の原因となったストーリーがあるのかもしれません。

「見えないもの」=存在しない
ではありません。見えなくても存在しているものはたくさんあるのです。
とはいえ、顧客は、見えないとそれを認識することはできません。

顧客の目に触れないものを、敢えて見せる。
これも一つの手なのです。

見えないものを見せることで、顧客はその商品やサービスに価値を見出すことがあります。

有名な例では、現代広告の父と称えられるクロード・ホプキンスによる「先制の戦略」です。
業界で、まだ誰も言っていないことを言っただけで、その業界でシェアナンバーワンになった、という逸話があります。

スピートの早くなった今の世の中。
効率、効果、スピート。
そんなものばかりで、目の前の目に見えるものばかりに注意を向けることが多くなりました。
そんな今の時代の顧客に、見えないものを想像させるのは、なかなかハードルが高くなります。

ぜひ、顧客の目に触れていないものを顕在化してみてください。

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