流行語大賞が発表されました。
「言葉」が商売道具のコピーライターとしては，なかなか気になるイベントです。
ですが，そもそもこれは本当に「流行」したのでしょうか。
念のためにいつもの通りまずこちらから。
定義【流行】
ある一時期，多くの人々の好みに合って広く世の中に行われること。はやること。
「Jアラート」が「物理的」に流行ったら，実に嫌な感じですね。
冗談はさておき，あくまでも「流行語」ですから，どれだけ人々の話題になって，口にされたのかを，ということを指すのでしょう。
この選考は果たしてホントなのでしょうか。
主催元のユーキャンがどのように判断したのかはわかりません。
そこで，今回は別の基準で検証することにします。
頼るのはグーグルトレンド。
過去１２ヶ月で，どれだけ検索されたのかをグラフで表現することができます。
正確には「検索数」ではなく，「人気度」です。
人気度について，グーグルの説明は次のとおりです。
「数値は、特定の地域と期間について、グラフ上の最高値を基準として検索インタレストを相対的に表したものです。100 の場合はそのキーワードの人気度が最も高いことを示し、50 の場合はそのキーワードの人気度が半分であることを示します。同様に、数値が 0 の場合はそのキーワードの人気度が最も高いときの 1% 未満であることを示します。」
ということで，キーワードについて，あくまでも相対評価ということになります。
ノミネートされた１０個のキーワードを一度に比較することは来ないので，個別に調べていきます。
まずは，流行語大賞の「忖度」と「インスタ映え」。
どちらが本当に流行ったのでしょうか。
ご覧の通り，圧倒的に「忖度」のほうが検索されていることがわかります。
次は，政府関連から出てきたキーワード２つ，「プレミアムフライデー」と「Jアラート」の比較です。
左端の「Average」を見れば分かる通り※，若干の差で「プレミアムフライデー」が検索されています。
※スマホからご覧の方，小さくて見づらくて申し訳ないです。左端の棒グラフが，Averageです。
ですが，折れ線グラフ通り，プレミアムフライデーが始まる前の２月に瞬間最大風速が到来。
その後は見る影もありません。
文字通り「一瞬の流行」で終わったようです。
次は，人物に関するキーワード「ひふみん」ついでに有名人絡みで「フェイクニュース」「３５億」です。
「フェイクニュース」が，かろうじて息をしているくらいです。「３５億」は，完全に沈黙。
将棋同様，つよさを見せつけた「ひふみん」です。
残りが，その他の「睡眠負債」と「魔の２回生」です。「◯◯ファースト」という言葉では検索されないでしょうから，これは今回の調査から外します。
実際に「魔の２回生」という言葉はほとんど使われていないのではないでしょうか。
その対象となる特定の議員一人ひとりのほうが，よほど流行語になりそうです。
では，どの言葉が一番トレンドとしての強さになるのでしょうか。
「忖度」「プレミアムフライデー」「ひふみん」「睡眠負債」で，決戦検索してみました。
それがこちら。
相変わらず「プレミアムフライデー」は，最大瞬間風速だけで終わっていることがよくわかります。
左側のAverageを見ると，「忖度」の強さがわかります。
そして「睡眠負債」は無呼吸状態。
かろうじて「プレミアムフライデー」は「ひふみん」を上回っている状態です。
経済産業省が必死ではやらせようとした「プレミアムフライデー」と「ひふみん」がいい勝負。
ひふみんが強いというべきか，プレミアムフライデーがダメだと言うべきかは見る人にでしょう。
ついでに，番外編です。
除外した「◯◯ファースト」ですが，「アメリカファースト」と「都民ファースト」がメジャーでしょう。
国内ですので，「都民ファースト」で調べてみることにしました。
「ひふみん」には勝てなかったようです。
（Averageで，「ひふみん」は２，「都民ファースト」は１）
よって，流行語大賞としては，「忖度」が大賞ということは間違いないでしょう。
ですが，「インスタ映え」は，気のせいということになります。
最後に，私の感想です。
ユーキャンのサイトによれば，「忖度」について「ネット辞書の検索ランキング（ｇｏｏ辞書）では４カ月間、この言葉が１位を独走したという」とのこと。
このように，意味がわからない言葉を，多くの人が辞書で調べる，という行動をさせたことは，極めて大きな功績です。
「忖度」という言葉が広がった背景は脇において，とても素晴らしい結果です。
以上，今日は番外編でした。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
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