高校生の頃,割と好きな科目の一つが,古文。
独特の言い回しや表現が,おもしろいなぁ,とよく思ったものです。
今ではさすがにわざとらしい表現すぎて使いづらいものもたくさんあります。
日本人の奥ゆかしい性格だからこそ,間接的に強く伝える表現方法が磨かれたのかもしれません。
その一つが,反語表現。
例えば,こんな表現があります。
「カピバラはかわいくない,なんてことがあるだろうか」
この後に,
(いやそんなことはあるはずがない)
という意図が込められています。
このような,表現されずに意図が込められている独特な表現は,何とも日本人らしき,奥ゆかしさを感じます。
私はろくに外国語はできませんが…外国人が,このような日本独特の表現を学ぶ時に,本当に苦労するのではないでしょうか。
今では,さすがに回りくどすぎて,あまり使われる(つまり,目にする頻度)は減りました。
ネットの発達やゆとり教育などもあり,思考力の低下が原因かもしれません。
今風に表現するならば,
「カピバラはかわいくないはずがない」
という感じでしょうか。
さて,ここで考えてみてください。
結局のところ,
A:カピバラはかわいい
B:カピバラはかわいくない
このどちらでしょうか。
考えてみてください。
もちろん,この
「カピバラはかわいくないはずがない」
では,二重否定ですので,
A:カピバラはかわいい
が正解です。
二重否定は,否定を重ねることで,肯定を強調する表現です。
ただ…致命的な問題としては,わかりづらいこと。
では,否定語を使わずに,今風に表現するならば,
「カピバラ,マジかわいい」
「カピバラ,超かわいい」
「カピバラ,やばい」
という感じでしょうか。
私のようなおっさんにしてみたら,どうにも安っぽく感じてしまいます。
安っぽく感じる反面,わかりやすさ,というところでは圧倒的に優れています。
では,コピーライティングにおいては,どちらのほうがいいでしょうか。
考えてみてください。
私は性格が悪いので,よく,こういったひっかけ問題をしたくなります。
少なくとも私の中では,
「どっちも使うな」
ということです。
後者は,安っぽすぎて,コピーを書く対象の商品の品位を貶める可能性があります。
前者は言うまでもなく,わかりづらいことです。
二重否定や反語表現同様に,避けたほうがいい表現はどのようなものでしょうか。
つい先日,ちょっと頭をひねったものがあります。
あるカタログギフトの申込についてです。
確か,こんな表現だったかと思います。
「配送指定日は,4月1日〜6月30日までの間で,かつ申込日から30日以上経過した日でお願いします。指定日がなければ,順次発送いたします」
さて,このカタログギフトで,最短で到着するには,どうしたらいいでしょうか。考えてみてください。
単に,
「日付指定」
せずに申込,が正解です。
ちょっと考えればすぐわかることです。
ですが,言い換えると,ちょっと考えないとわからない可能性があります。
今は何時でしょうか。
このブログを書いている今この瞬間は,夜の21時をまわったところです。
読んでいる人はどんな状態でしょうか。
週初めの月曜日の21時をまわった時刻。
食後でおなかいっぱいで眠いかもしれません。
あるいは…人によってはお酒を飲んだ後かもしれません。
※私はブログに限らず仕事や勉強をする前後48時間はアルコールを摂らないことにしています。記憶の限りでは,ここ8年くらいは全く飲んでいません。酔っ払いがブログを書いているわけではありませんので,念のため。
話を戻します。
つまり…コピー,広告に関して,読み手が目を通す時点がこのような状況かもしれないということです。
言い換えると…読み手の思考力や集中力が,カケラほども残っていない可能性は十分にありえるのです。
そんな時に,反語表現や二重否定,そして前提条件等を幾つか…などという表現をつけると,「ちょっと考える」手間が発生します。
それが致命傷です。ネットだったらすぐにブラウザバックです。紙のDMだったら…せいぜいよくて「後で読もう」と思って…永遠にそのままです。
よく,文章はわかりやすくシンプルに…と言われます。
コピーライティングにおいては,さらにわかりやすさ,シンプルさが要求されます。
二重否定や反語は,日常的にあまり使うものではないですが,単なる否定文はよく使うのではないでしょうか。
☓ 否定文を使うのはやめましょう
◯ 肯定文に置き換えて使いましょう
このように心がけてみてください。
最後に。
「カピバラはかわいい」
これが一番シンプルです。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
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