埋もれた「お宝」の活用法

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埋もれた「お宝」の活用法
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明治5年。日本で初めての鉄道が,新橋横浜間に開通しました。

…私のブログをごらんの特定の方々には,何度か耳にしたなじみ深い書き出しかもしれません。
約140年の時を超えて,この物語が続いているということを知っている方は少ないのかもしれません。

もう一度時間軸を戻します。
明治5年。イギリスから輸入した鉄道が,新橋横浜間で開通。
その際に,イギリスから19人の技術者を招聘。
日本は,彼らから鉄道の技術を学びました。

それから時は流れ…2009年12月。
フランスから運行してきたユーロスター(フランス製鉄道)が,ドーバー海峡トンネル内で故障。
寒波の中を走ってきた後に,暖かいトンネル内を走ることで結露した水分により電装系のトラブルが発生。
約500名ほどの乗客がトンネル内に閉じ込められたのだそうです。

救援にいったはずの,他の電車も,同様の故障に見舞われ,最大6本もの電車がトンネル内で立ち往生したのだそうです。

その500名を救出したのが,イギリスのサウスイースタン鉄道用高速列車。通称クラス395電車。
日立製作所で作られた列車です。

このクラス395電車は,結露などものともせずに500名を救出。
翌2010年も大寒波に見舞われ,やはり同じようにトンネル内で立ち往生するロードスターを尻目に,このクラス395列車は定時運行を続けていたそうです。

日立、英高速鉄道の車両95両受注 370億円で

 日立製作所は1日、グループ会社の英鉄道車両メーカー、日立レールヨーロッパが英国向け都市間高速鉄道車両95両を受注したと発表した。受注額は約2億3000万ポンド(約370億円)になる。メンテナンス契約も結んでおり、車両は2018年春から順次納入する。
(後略)
2016/4/1 19:46 日経電子版より

そして2014年。
「世界で初めて鉄道が走った町」イングランド北部ダーラム州ダーリントン。
その近郊に,日立の鉄道工場が建設されました。
日立から技術者が送られ,現地採用の人たちに鉄道の技術を教えているそうです。

その技術者は,明治5年にイギリスの技術者から技術を教わってきたから,今恩返しができる…と,熱い思いで指導に当たっているのだとか。

たまたま昨夜放映していたテレビ東京系列の番組「未来世紀ジパング」で紹介されていた逸話です。
今はイギリスと言えばEU離脱に関する国民投票直前。
その取材についても時間が割かれていましたが,この鉄道のエピソードが何よりもインパクトが残りました。

なぜなのか。
単に私がいわゆる「鉄」だから…だけではありません。

このストーリーには非常に際立った特徴が1つあります。

似たような話を1つ紹介します。
こちらは有名なので詳細は省略します。
エルトゥールル号遭難事件です。
「1890年(明治23年)9月16日夜半、オスマン帝国(その一部は現在のトルコ)の軍艦エルトゥールル(Ertuğrul Fırkateyni)が、現在の和歌山県串本町沖にある、紀伊大島の樫野埼東方海上で遭難し500名以上の犠牲者を出した事件」(Wikipediaより)

この時の生存者69名の救出から介抱,送還までの日本の対応について,トルコの方は恩義を感じており,1985年のイラン・イラク戦争の時に「救援機を派遣させましょう。トルコ人なら誰もが、エルトゥールルの遭難の際に受けた恩義を知っています。」と,取り残された日本人のために骨を折ってくれたのです。
詳しくは,ネットで調べてみてください。

さて,この話の2つの特徴。
それは,いずれも「両当事者」が直接関わっていないことです。

明治5年にイギリスから招聘された技術者と,今ダーリントンで技術指導する日立の技術者との間に直接的な関係はありません。
エルトゥールル号で遭難し救出された69名が,イランイラク戦争時に,取り残された日本人を救出したということでもありません。

その間にあるのは,大きな時の流れです。
前者は約140年。
そして後者は約120年。
人間の寿命を少々超えています。

だからこそ,この2つのエピソードは記憶に残るのです。
つまり,当事者でもないにも関わらず,恩義を感じて100年の時を超えて恩返し…という流れが,インパクトをもたらすのです。

あまりコピーライティング的に詳細に解説するのも野暮なので(返報性の法則は100年色あせることはない,とか…)。
別の角度から補足します。

この2つの出来事のもう一つの特徴。
それは…実はあまり知られていなかったことです。
イギリスの鉄道の話は,上記のニュースでもなければ脚光を浴びることはないでしょう。
エルトゥールル号の事件は,2002年ワールドカップでトルコが活躍しなければ,思い出されることもなかったかもしれません。

ここからわかること。
それは,きっとあなたにも埋もれたエピソードが必ずある,ということです。
自分自身にとっては取るに足らない話かもしれません。ですが,他の人が聴けば,印象に残るようなエピソードは1つや2つ,きっとあります。

それらのエピソードを探してみてください。
それを自己紹介の時に話したり,SNSの自己紹介文に盛り込んでください。

きっと…学歴とかキャリアとかのありきたりな自己紹介よりも,ずっと覚えてもらえることでしょう。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
飯山陽平

 

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