10年近く前の話です。
ホームページがだいぶ広がってきて、SEO対策なる言葉が少しずつ始まっていた頃のこと。
当時のSEO対策といえば、被リンク数を増やすこと。
その質は一切問われていない頃でした。
そこで、例えば司法書士事務所のホームページであれば、同職のホームページを検索して(まだ士業のホームページそのものが圧倒的に少ない時代です)、そこにテンプレ化した相互リンク依頼のメールを送っていました。
ある行政書士に相互リンク依頼のメールを送ったところ、3つのサイトのリンクを貼るように依頼が来ました。
「内容証明郵便専門」
「離婚協議書専門」
「会社設立専門
だったかと思います。
結局のところ、どれも同じ行政書士事務所です。
当時の私は
「どこが【専門】なんだろうか。結局ほかの業務もやっているじゃないか」
と思ったのでした。
これが、マーケティングとしては実に正しい、合理的な対処法だったのです。
誰もが、
「誰にでも効く」
解決策は欲しくありません。
あるいは。
「みんなのための」
解決策もいりません。
「一般的な」
解決策は望んでいないのです。
誰もが誰も、
「私のための」
解決策がほしいのです。
ある問題を抱えている人にとって、
「行政書士事務所」
はいらないのです。
その行政書士事務所が扱っている多種多様の解決策はいらないのです。
例えば、クーリングオフをしたいのであれば、
「所定期間内に自分のために内容証明郵便を作成してくれる行政書士事務所」
が必要なのです。
その事務所が、離婚協議書の作成や、会社設立手続きを行っていようと、知ったことではありません。
ですが、ほとんどの行政書士…士業全般が、自分の取り扱い業務を羅列します。
その奥にあるのが、
「自分の業務を絞り込むことによって、受託の幅を狭めたくない」
と無意識に思っているからです。
ですが、受託の幅を狭めたくないがために、業務を羅列することに酔って、
「一般的」
な事務所として、対象外になっていくのです。
様々な業務を扱える、という自負からかもしれません。
あるいは、顧客の不安心理を思いやる気持ちを持ち合わせていないだけかもしれません。
または…単に面倒くさいだけかもしれません。
どんな理由であろうと、ターゲットとなる顧客の問題にスポットを当てて、
「その人の問題を解決する」
ことができる、という明確なメッセージを出さないことには、そのメッセージは顧客に届かないのです。
ちょっと想像してみてください。
今日一日で、きっと何十何百何千と広告を見ているはずです。
WEBサイトの中のバナー広告、PPC広告、SNS広告、テレビCM、ラジオ、チラシ、DM。
道を歩けば、看板。電車やバスに乗れば、交通広告。
とても数えきれないような広告を目にしています。
それらの広告を思い出して、
「あ…これ、◯☓さんのためにいいな」
と思えるものはあったでしょうか。
きっとないはずです。
人は、他の人のためにどうしたらいいか…などと考えて広告は目にしていません。
せいぜい、自分自身…あるいは家族くらいまででしょう。
つまり、その人本人のためのメッセージ…すなわち、メッセージを絞り込んで、なんとか目に入るかどうか、でしょう。
ではどうしたらいいのか。
それが、先ほどの行政書事務所です。
それぞれ、取扱業務毎に、
「◯☓専門」
と打ち出してHPを作るのです。
これはHPの例ですが、別にHPに限ったことではありません。
全ての広告媒体において、それぞれ1つのテーマで宣伝するのです。
繰り返します。
顧客は「一般論」など必要はないのです。
「自分の問題」を解決したいのです。
業務内容、取扱商品やサービスを絞って宣伝すること。
これは、受託や顧客獲得の幅を狭めることにはなりません。
むしろ、絞らないほうが、より顧客にメッセージを届かなくさせるのです。
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