ペン(物理)の威力

ペン(物理)の威力

ペン(物理)の威力
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5年以上前のことでしょうか。
私がまだ,郵便局で広告を出していた頃の話です。

郵便局で相続手続きや不動産の名義変更にチラシを置くことができるようになったので,地元の本局で,チラシを置くことにしました。
郵便窓口に置いていたところ…徐々に減っていくものの,そんなにどんどん減っていくものでもありません。

当時は,郵便局にはほぼ毎日,事務員が訪れていたので,減った分を補充するように指示していました。

そんなある日。
ちょっと思いついたことを実践。
…すると。

郵便局から電話が掛かってきました。
「先生のチラシ,もうなくなったので補充して下さい」

毎日のように訪れているのに,補充が追いつかなくなったのです。

では,ここで何をしたのでしょうか。
ヒントは,今日のタイトルです。

ここでいう「物理」とは,ゲーム用語の「物理攻撃」などと同じ意味合いです。
すなわち,「物質的」くらいの意味合いに捉えて下さい。

数年前のことです。
郵便局にチラシを置こうと思った時よりも遡ります。
ふと思いたって,事務所の名前と電話番号入りの販促用ボールペンを発注。
高級感のあるメタリック仕様のものです。

もともと,法律相談の受付時に,相談申込書に記入してもらうためのボールペンとして,買ったらいいかな,というくらいのものでした。
なぜなら,お客様が間違って,よく事務所のボールペンを持って持って帰ってしまいます。
どうせ持って帰ってしまうなら,販促用ボールペンにすれば,宣伝の足しになるかな…と考えたからです。

…ところが。
見た目はともかく,書き味が,とにかくひどい。
書きにくいし,インクの出も悪い。

実際に,筆圧に力の入らない高齢者は,うまく書けません。
私も,使っていて,イライラします。

仕方ないので,事務所入口に,
「ご自由にお持ち下さい」
と書いて置いておいたのですが,ちっとも減りません。

そのまま,物置の奥で放置していました。

このボールペンの存在を思い出したのです。

透明のA4のチラシが入るビニール封筒にチラシを入れ,一緒にこの【見た目だけは高級感のあるボールペン】も,目立つようにして同封したのです。

ボールペンを同封することで,全体のかさ増しになったので,チラシを置ける量が減ったため,一日の仕事の終わりに,郵便局に行くついでに補充…では間に合わなかったのです。

結局,このボールペン自体は,かなりの量を発注して…そのまま物置で眠っていたのですが,一ヶ月も経たずに,すべて使い切ることができました。

…もちろん,問い合わせの件数も,少しは増えました。
少しは,です。

今考えると,恥ずかしくなるようなコピーのチラシなので,せいぜいその程度でしょう。

振り返って考えると…やはり,コピーは,コピーだけではダメだ,という点。
そしてやはりコピーは大事だ,という点。
相矛盾するような考えに至ります。

このマーケティング施策の最大のポイント。
それは,「郵便局にチラシを置いた」ということです。
これに尽きます。

特に,郵便局の「ゆうちょ」窓口を利用する人は,高齢者の割合が多くなります。
今日も,郵便局での待ち時間に様子を眺めていたら,高齢者が振込用紙を持って,郵便局まで支払いに来ていました。

一定の年齢層以下の人は,郵便局の「窓口」で支払いをする,という機会はほとんどありません。
なぜなら…私はうっかり,「合言葉」認証に失敗したので,郵便局まで「解除」しに行っていました。
そして,そのまま帰り際に,ATMで支払いをして帰りました。
普段だったら…「ゆうちょダイレクト」つまり,オンラインで済ます行為です。

だからこそ,郵便局の「ゆうちょ」窓口を利用する人は,高齢者の割合が多いと言えます。

そして,高齢者ともなれば,相続案件に関する見込み客,顧客となりやすくなります。
例えば,すでに夫を亡くして相続登記を済ませていない女性。
あるいは,高齢になってきたので,そろそろ遺言にも興味関心が出てきた。
生前贈与を済ませておきたい…等,です。

チラシ,という手段の是非は脇において,「顧客がまさにいる」その場所で広告宣伝することは非常に大切なのです。

ボールペンについては,功罪あり,という感じでしょうか。

見込み客,ターゲット客以外の関心も引いてしまった,という点ではデメリットかもしれません。
例えば,仕事帰りに立ち寄って…相続には無関心だけど,ボールペン欲しさに手に取る。
想定の範囲内とはいえ,無駄が増えることは確かです。

一方。
とにかく目立ちました。チラシを手に取ってもらえるようになりました。
これはとても大切なことです。どんな広告も,見てもらえなければ話になりません。
当時の私のコピーライティングの実力では,コピーだけで興味を惹けなかったので,仕方がないことです。

コピー力が足りない分を,このようなちょっと仕掛けで補うことはできるのです。
それを適切な場所で宣伝したので,良いプロモーションになったのでしょう。

最後に。
それでも,もうちょっとコピーライティングの実力があれば…。
もっと問い合わせ,増えたかな…と惜しく感じます。

今は…事務員がいない状態です。
これ以上,相続案件を増やしたら,本業である,コピーライティングやコンサルテイングに差し支えるので,やりませんが…。

あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平

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