競合がいない市場…というファンタジー

競合がいない市場…というファンタジー

競合がいない市場…というファンタジー
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2004年9月。
埼玉県の某市内で司法書士事務所を開業しました。
当時、人口およそ33万人の自治体です。
当時は、マーケティングもコピーライティングも、そしてセールスも何もできなかったので、集客には酷く苦労しました。

副業で収益を上げて、なんとか糊口をしのいでいた時期もありました。

そんなある日。
法律家(弁護士、司法書士)が一人もいない「司法過疎地」なるものがあり、そこに行かないか、という誘いを受けました。
それが、今の事務所所在地です。
当時、約2万人の自治体です。

マーケティングの知識がなかった私は、非常に単純な計算をしていたのを覚えています。

人口33万人。
競合である他の司法書士数が、38人。
33万人÷38人=約8500人。

それに対して、
2万人÷1人=2万人。
司法書士が一人もいない地域で開業したほうが、「市場規模が大きい」と判断。
しかも、この自治体は、司法書士が20年以上一人もいなかったので、たくさんの需要がある。

マーケティングを知らないから、このような恐ろしい判断したのでしょう。
埼玉県から現在の自治体に事務所を移転したのです。

その結果、どうなったでしょうか。

結論から言えば、非常に苦労しました。
神風が吹かなければ、今もなお苦労し続けたことでしょう。

当時の私は、
「競合がいない」
ことの本当の意味を理解していなかったのです。

ライバルがいない、ということは、そこにそもそもの需要がない、という可能性も考慮しなければなりません。
もしくは、別の可能性もあります。

有名な逸話があります。
2人の靴のセールスマンが,ある未開の地へ行きました。
そこの原住民は靴を履いていません。
2人は,それぞれ上司にこんな報告をしました。
一人は「誰も靴を履いていないので、一足も売れません」
もう一人は「誰も靴を履いていないので、いくらでも売れます」

実はこの考え方,マーケティングの考えからすると,イマイチです。
なぜなら,靴を履いていない人は,靴を履く必要性を理解しているでしょうか。
靴を履く価値を説明し,理解してもらい納得してもらい、欲しいと思ってもらわなければなりません。
ところが,そもそも靴を履いたことがない人が,靴にどれだけ興味があるでしょうか。そもそも話を聞いてもらえるのでしょうか。

この逸話は,後者を良いセールスマンの考えであるかのように語られますが,マーケティングという点で考えると,
「腕が問われる」
難易度の高いキャンペーンとなります。

司法書士が20年以上もの間一人もいなかった地域。
当時の私は、
「需要(依頼)はあったのに供給(司法書士)がなかったのだから、看板さえ出しておけば、依頼はいくらでも来るだろう」
というなんともファンタジーを夢見ていました。

そして…見たのは悪夢でした。
悪夢ならまだよかったでしょう。いつかは醒めます。

なぜなら、20年以上司法書士が一人もいない、ということは、司法書士が何をやっているのかがまったく知られていない、ということに気づかなかったのです。

そこに案件や依頼はあったとしても、それを司法書士に依頼すればいい、ということが知られていないのです。
結局は、看板さえ出せば依頼はくる、ということなどありえなかったのです。

まずは、司法書士とは何か、というところから宣伝しなければけなかったのです。
…税理士や弁護士など違い、知名度は劣り、名称から何をやるのかがさっぱり連想できない、「司法書士」というものを宣伝するのはどれだけ大変だったのかは想像に難くないでしょう。

具体的には、今このブログをご覧のあなたが、司法書士というものをどれだけ正確に理解しているかどうか、ということからわかるのではないでしょうか。

そこで、少しずつコピーライティングとマーケティングを勉強して実践。
少しずつ依頼が来るようになりました。

そこで、神風が吹き…過払いバブル発生。
追いつかないほどの依頼を受けるようになりました。

行政書士にして、非常に実力のある実業家、通販大家さんで有名な金森重樹氏。
彼は、あの世界ナンバーワンマーケティング・コンサルタント、ジェイ・エイブラハムの著書「ハイパワー・マーケティング」の監訳もしています。
そんな彼は、ある方の対談で、笑いながら次のように話していました。
「よくレッドオーシャンを避けてブルーオーシャンを探せ、なんて言うじゃないですか」

顧客を魚と捉えた時に、競合がたくさんいる漁場をレッドオーシャン、競合がほとんどいない漁場をブルーオーシャンにたとえた上での発言です。

「でも、ブルーオーシャンには競合はいないかもしれないけど、魚も一匹もいないかもしれないでしょう。ならば、レッドオーシャンに参入して、マーケティングを駆使していくほうが確実です」
とのこと。

私もそうでした。
過払いバブルが発生して、どうなったのか。
他所の、レッドオーシャンに参入してマーケティングを実践。
今の事務所のある町以外から、何倍もの集客を実現しました。

競合がいない市場はブルーオーシャン、という発想はファンタジーです。
競合がいない市場、というのは、すでにどこかが参入して…そして撤退した可能性が高い、と考えたほうが安全でしょう。

最後に。
そもそも、良い市場とは何か。
単純な人口の多さ等ではありません。
どれだけ需要があるか、ということでもありません。

需要と供給との間のギャップ、そこが市場なのです。
供給に対して、需要が大きければ、それだけ良い市場…でもありません。
このギャップが大きすぎると、大手企業が参入してきて、すぐに食い荒らされます。
大手が参入するほどのギャップではないところに、私達のような中小零細の事業所の市場があるのです。

<予告>
6月29日(水)13時30分〜16時30分
東京からある書籍を執筆したコンサルタントを招いて、出版記念セミナーまた読書会等を企画しています。
参加者にとって最大の価値を得てもらうために、読書会がいいのか、それともセミナーがいいのか。
内容はまだ検討をしています。
ですので、まずは、この日時を空けておいてください。
なお、開催場所は札幌の大通近辺です。

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