高すぎる「無料」の壁の、その先にあるもの

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誰でも、多かれ少なかれ「こだわりの◯◯」というものがあります。
私の「こだわり」の一つが、筆記具。

コピーライターの端くれとして、ネタ出しは、かならずノートとペンが必須となります。

ところが、こだわっているからといって、決して高いものを使っているとは限りません。

最近のマイブームはこちら。
BICボールペン。
昔、大変お世話になっていた、ある恩人がよく使っていたのを見て懐かしくなり、手に入れました。

このボールペンは定価が80円程度。
楽天市場だと39円〜で売っています。

ところが。
私の住んでいるような小さな町では、まともな文具店などありません。
手に入れるには、車で2時間走って札幌まで行くか、ネットで購入(あるいは関東まで行くか)という限られた選択肢しかありません。

そこで問題になるのが、この価格。
ネットで注文するにあたって、安さが逆に問題になることがあります。

理由は送料。

ちょっと考えてみてください。
80円のボールペンを1本買うために、送料を800円とか、1200円払う気になるでしょうか。
北海道なので、特に送料が掛かります。

そこで、「〜円以上の購入で送料無料」というネットショップを探します。

すると。
「1万円(税別)以上の購入で送料無料」
という文具専門のネットショップが、実に多い。

このネットショップの問題点。
それは、ユーザー目線が全くないということです。

文具で1万円(税別)を買う、という場面は、どれだけあるのでしょうか。
80円のボールペンを125本買えば、1万円になります。
職種的に、他の人よりはペンで書く量は多いはずですが、さすがに125本も同じペンはいりません。
マイブームがそこまで続くかもわかりません。

基本的に単価の低い文具をメインに扱っていながら、
「1万円(税別)以上の購入で送料無料」
というオファーを出している時点で、
「実際には送料無料にする気はないのではないか」
という意図を感じます。

自分で一度サイトから買い物してみれば、いかに荒唐無稽なオファーかがよく分かるはずです。
それでも、「1万円〜」というオファーを出している…しかも、1店舗ではなく相当数の店舗で同じようなオファーを出しているのが、実に残念です。

では、たとえば1万円ではなく5000円、3000円ならばいいのでしょうか。

個人的には、3000円以上購入で送料無料、というネットショップを何回か使いました。
文具ではなく、紙製品を注文すれば、なんとなく3000円は越えていきます。
とはいえ、残念ながらこのネットショップは閉店してしまいました。
オファーが店側にとって割に合わなかったのかもしれません。

お互いメリットになるためにはどうすればいいのか。
それは「お互いに現実的なオファー」を提案するのが一つ。

例えば、文具ならば、80円のペン1本で、送料800円…というのは非現実的です。
ところが。
オプションで、
「未配達の場合、自己責任のもと普通郵便で発送する」
というものがあったらどうでしょうか。

普通郵便は、配達した記録が出ない反面、全国一律低コストです。
ボールペン1本ならば、82円。封筒や納品書を入れても92円で届きます。
(※本日時点)

あるいは、メール便などをオプションで選択できるようにすればいいのです。

それをやるショップとやらないショップの違い。
それは、手間を掛けるか掛けないかの違いです。

メール便は、厚さに規定サイズがあります。規定以上の厚さを超えると、メール便では発送できません。
商品のサイズに、梱包した場合のサイズを織り込んだ場合、その都度メール便で発送できるかどうかを判断しなければなりません。
その上で、
「この商品はメール便可」
「メール便不可」
と判断して、それを商品ごとにサイトに掲載しなければなりません。
当然、発送の手間も増えるでしょう。

それだけの手間を掛けられるかどうか。

文具は、コモデティ商品です。
どこで買ったとしても、同じ商品です。
では、どこで差をつけられるか。
…買い手のために、こういった、小さな手間を積み重ねられるかどうか。
これが一つの答えです。

やっていることは、単なる作業であり、面倒で手間なことです。
ただ、その面倒で手間なことをする奥にあるのは、その会社がどれだけ買い手のために手間を惜しまないか、という考え方にあるのです。

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