今更ですが、当たり前のことをもう一度書いてみようと思います。
マーケティングとは何でしょうか。
いろいろと定義があります。
それらを比較検討したり、どんな定義が望ましいかなどと分析するつもりはありません。
ここでは非常に大雑把に
「その商品やサービスの良さを、必要としている人に知ってもらうための活動」
くらいに捉えておいてください。
それを前提に考えてみたとき、マーケティングがうまくいかない理由はどこにあるのでしょうか。
(1)必要としていない人に伝えようとしている
(2)必要としている人に伝わっていない
非常にざっくりとですが、この二つに分けられます。
さらに細かくするならば、
(1−1)本当に必要としていない
例 女性に髭剃りを宣伝
(1−2)必要だと気付いていない
例 健康でまだ若い人向けの生命保険など…
(2−1)必要としている人に対して単純にマーケティングメッセージが届いていない
例 FAX DM。社長にとっては非常に必要なサービスかもしれないが、秘書に捨てられてしまい社長がそのFAXDMを見る機会がない
(2−2)必要としているが、メッセージが拙くて理解できない
例 遺言書など。75歳くらいの高齢者は「書いたほうがいいのかも…」などと思ったところに、行政書士事務所の広告を目にしたが、よくわからないので行動につながらない
細かくすればさらにいろいろと出てくることもあるでしょうが、これくらいにしておきます。
では、ここで考えてみてください。
この(1−1)から(2−2)では、どれをやってはいけないでしょうか。
…と言われても、これは簡単です。
当然ですが(1−1)です。
興味のない人に商品を売ろうとしたところで、膨大な手間暇がかかって、成約率は低くなるだけです。
ここはさほど問題はないでしょう。
問題は(1−2)。
これをやるべきかどうか。
この客層については、マーケティングのレベルが一気に跳ね上がります。
なぜなら、
「教育」あるいは「啓発」といったプロセスが必要だからです。
極端ですが、(2)は、ちょっとの工夫で売れます。
なので、よほどこちらのほうが成約率が高くなり、ちょっとの努力で収益に直結するのです。
さて、ここで振り返ってみましょう。
あなたのマーケティング活動は、(2)になっているでしょうか。
例えば、交通広告。これは典型的な(1−1)の例です。
やむを得ないとはいえ、かなり無駄が多くなります。
具体的には、女性向けのアイテムを販売するときに、朝の通勤電車内の交通広告を出したらどうなるでしょうか。
単純に、乗客の半分が男性だとした場合、それだけで全乗員の半分は無駄になります。
また、女性向けのアイテムでも、例えば、20代の女性に適したアイテムだった場合、中学生や高校生などの学生は軒並み対象から外れます。朝の通勤電車の女性客の中でも比較的割合の高い部類に入ることでしょう。
また、高齢者なども…などとやっていくと、交通広告は、ターゲットが実際にその場で広告を目にする可能性のある人の何分の一にもなってしまいます。
これでは、効率が悪いということになります。
初めから、20代の女性がよく見るような広告媒体に広告を出した方が効果的、ということになるでしょう。
(1−2)の例は長くなるので省略します。
極端なことを言えば、この(1−2)の人に、必要性を理解してもらって買ってもらうことが、本当のマーケティング戦略だと言えます。
ただ…それが一番大変でもあります。
そこで、あまりにも無駄な(1−1)は止めましょう、というのが今日のテーマということでした。