広告の信ぴょう性を高める紙一重の差

広告の信ぴょう性を高める紙一重の差

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アイディア発想について少々行き詰まったところがあり、久々に普通の本を読みました。
大手広告代理店博◯堂で結果を出した有名な方が書いた本のようです。

私自身はセールスコピーなので、博報◯のようなイメージコピーは一切書くことはしません。
とはいえ、ある意味
「数で勝負」
というところでは同じようなところもあるので、
「偉大なる先達」
から学ぼうと思った次第です。

博報◯といえば、国内最高峰の広告代理店。
ところが、全米最高峰のコピーライター、ダン・ケネディは広告代理店を酷評しています。

その著書の中の
「人生で絶対にやってはいけない4つのこと」
の一つの、
「広告代理店を信用してはならない」
と主張しています。
理由は、優先順位。

広告代理店の優先順位は、
1.手数料
2.値上げ
3.その他の収益源
4.クリエイティビティ
5.同僚の評価
6.実績の積み上げ
7.賞
8.上司の意見
9.クライアントが思い描いていたアイディア
10.結果(しかし誰が評価するのだろうか)

とのこと。

ところが、多くの場合、クライアントにとっての評価は、

1.結果
以上

のはずなのです。

よく、
「会社の認知度を上げる」
といいますが、これは年商20億円を超えたような会社であれば効果はあります。
それ以下の年商の会社であれば、認知度を上げたところで売上にはつながりません。
中小零細企業であれば、広告宣伝は即「売上」という結果に繋げなければならないのです。

話を戻します。
◯報堂の方の書いた本を読んだ時のこと。
アイディアの出し方の一つに、
「バックキャスティング」
という手法が紹介されていました。

「今抱えている仕事が大成功した時の状況を紹介してみるといい」
「自分が手がけた広告が業界の内外から華々しい評価を受けたところを思い浮かべる。新聞や雑誌、テレビから、取材の依頼が殺到し(以下略)」

このように書いてあります。
これまで、この本を読んでいて、
「なるほど、こんなアイディアの出し方もあるのか」
「そこまでやるのか。さすが業界の先達だな」
と感心しながら読んでいたのですが、ここで一気に醒めました。

別に広告人としての我欲を一切出してはいけない、などという聖人君子的な発想を主張したいわけではありません。

アイディアを出すにあたって、限界ギリギリまで脳を酷使するにあたって、そこであと一歩踏み込むことが、素晴らしいアイディアにたどり着くためには必要でしょう。
広告人としての我欲は、そのあと一歩を踏み出すための原動力足り得るもの。
大切なモノです。
決して否定する気はありません。

ただ、醒めきってしまった原因は、この話の流れならご理解いただけるでしょう。
クライアントを完全に置き去りにして、我欲「だけ」しか考えていないということです。

(以下略)
などと略しましたが、そこにはクライアントのことは完全に置き去りです。
クライアントの利益や望ましい未来に触れることなく、マスコミから取材される、といった自分の栄誉のことしか考えていないのです。

これが、
「広告代理店」
の骨の髄まで染み込んだDNAそのものなのでしょう。

ダン・ケネディが書いてあるのを見て、
「それは言いすぎでしょ。どうせアメリカンジョークの一種では?」
くらいに思っていましたが、決して誇張でも何でもなく、紛れも無い真実がここに見えました。

アイディアをひねり出すときに、「営業の神様」と呼ばれるブライアン・トレーシーは、
「石から絞り出すように」
くらいの表現を用いています。

石を絞るなんて真似はできませんが、脳の限界まで思考を突き詰めると、ここまでギリギリ考え続けることになるのでしょう。

そこで。
その限界ギリギリで、あと一歩踏み出すときの原動力を「我欲」すなわち、自らの栄誉を優先するのか。
それとも、
「クライアントの利益」
を優先するのか。

結果としては、本当に紙一重の眼に見えないような差にしかならないかもしれません。
だとしたら、どちらがいいのでしょうか。

少なくとも、世界ナンバーワンのマーケティング・コンサルタント、ジェイ・エイブラハムの
「卓越の戦略」
すなわち、いかなる場合も自分よりもクライアントを優先すべし、というマーケティング哲学を学んで実践したり、あるいはそれを主張する身としては、私自身としてはどちらを選ぶべきかは明らかです。

あくまでも推論ですが、
「広告」
というものが、どこかしら世の中から信用されていない本当の原因。
この小さなぎりぎりの紙一重を積み重ね続けてきたからなのかもしれません。