一時期,自己啓発に勤しんでいた頃は,さほど気になることはありませんでした。
ですが…今となっては実に胡散臭く,怪しげに感じる言葉があります。
その原因は…私が尊敬する,あるマーケティングコンサルタントの言葉です。
「コンサルタントは,【潜在意識】という言葉は使ってはいけない」
とのこと。
確かに…納得です。
潜在意識,というものは,自己啓発に勤しんでいた頃には非常に馴染み深い言葉でした。
ですが,この時以来,なるべく使わないように心がけてきました。
その結果,逆に「潜在意識」という言葉を使う人には,胡散臭く,怪しげに思えてしまうまでに至りました。
理由は単純です。
私が,マーケティングを生業にするようになったからです。
ところで,潜在意識というものは,本当に存在するのでしょうか。
客観的に,見てわかる形で証明できるのでしょうか。
言うまでもありませんが,潜在意識が「ない」ことは証明できません。
「ない」ことが証明できない,だからといって,「ある」ということにはなりません。
あるかもしれないし,ないかもしれないのです。
ただ,それは個人の思想・信条の問題です。
ですが,コンサルタントは,絶対に潜在意識という言葉は使ってはいけないのです。
なぜなら…ちょっと想像してみてください。
「言われたとおりやってみたのですが,上手く行きませんでした」
というクライアントに対し,コンサルタントが,
「それはあなたの潜在意識が抵抗しているからです」
などと答えたらどうなるでしょうか。
何となく説得力があるようなないような…という感じですね。
ですが,結果が出なかったことと,その答えとの間の因果関係が証明できないことは確かです。
だからこそ,コンサルタントは,潜在意識という言葉を使ってはいけないのです。
使えば使うほど…胡散臭い存在に成り下がっていくだけです。
潜在意識をどうにかすれば,どうにかなるのでしょうか。
安っぽい自己啓発的な表現をするならば,
「潜在意識をどうにかすれば,成功できる」
のでしょうか。
これに関しては,わかりません。
仮に「成功」したとしても,その「成功」と「潜在意識をどうにか」したこととの間に因果関係は証明できません。
成功「できなかった」としても,そのことと「潜在意識へのアプローチ」との因果関係は証明できません。
つまり,効果があるかどうか,何も測定できず判断できないのです。
個人が,潜在意識というものの存在を受け入れ,世に言われているようなことを実践して上手く言った時に,個人が「潜在意識をどうにかして成功することができました」ということは許されるでしょう。
ですが,コンサルタントが「それは私が〜をしたからそのような結果になったのです」と言うことは許されるべきではないでしょう。
もちろん,カウンセラーとか,セラピストならば話は別です。
ですが,コンサルタントがそれを言うことは許されるべきではないでしょう。
だから,私はマーケティングが好きなのです。
なぜなら,マーケティングは科学だからです。
定義【科学】
実証された真実を集成したもの,または一般法則の下で観察された事実を体系的に分類し,結びつけたもの。
定義【科学】
自然や社会など世界の特定領域に関する法則的認識を目指す合理的知識の体系または探究の営み。実験や観察に基づく経験的実証性と論理的推論に基づく体系的整合性をその特徴とする。
定義を二つ紹介しました。
これを私の言葉で…非常に乱暴ではありますが,ざっくりとまとめると次のとおりです。
「因果関係が証明できる体系的知識体系」
潜在意識というものは,その存在からして科学から外れます。
いくらでも恣意的に扱うことができます。
一方,マーケティングは科学です。
行った施策は,測定することで改善することができます。
改善できるということは…必ず成果を出すことができる,ということです。
個人の心の持ちよう,在り方等について,潜在意識というものに触れることは,個人の思想の問題です。
ただ,コンサルタントという,特定の分野の専門領域を扱う人が,「潜在意識」という言葉を絶対に扱うべきではないでしょう。
それを使った時点で,
「自分の,コンサルタントとしてのやることなすこと全ては因果関係が証明できない」
という白旗を揚げることになります。
特に,マーケティングコンサルタントが潜在意識という言葉を使ったら致命的です。
なぜなら,「売上」は客観的な数字です。
数字は,見る時の気分によって,変わるものではありませう。
例えば,100万という数字は,いつの時代も100万という数字です。
誰が何回見ても変わりません。
変わってはいけないものです。
だからこそ,売上という客観的な数値で結果を出すべき存在の人は,絶対に潜在意識という言葉は使うべきではないのです。
…どうにも,ここしばらく立て続けに「潜在意識」という言葉を耳にする機会がなぜか増えてしまい,実に気分が悪かったので,「それがなぜなのか」を言語化したのが,今日の記事となります。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
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