トップが「戦術思考」という悲劇

トップが「戦術思考」という悲劇

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先日、経済系ニュース番組、ワールドビジネスサテライトを見ていた時のことです。
企業誘致についての特集が非常に興味深かったので、その話を紹介いたします。

まずは、失敗例H市。
企業誘致のインセンティブとして、固定資産税を3年間免除というオファーを出しました。
それに伴い、ある企業の誘致に成功。

ところが。生産活動がほぼオートメーション化しており、雇用創出はたった5名。
40名以上の社員は通勤という形を取り、移住にはつながりませんでした。

そこで。
今度はその40名を集めて市長自らプレゼンテイーション。
やはり固定資産税の一部免除というインセンティブを提案。
家を買って定住した時にメリットを受ける提案です。

それを聞いた社員は…
「家を買う気は無い」
の一言。会場は大爆笑です。

その後、市長は
「頑張って熱意を伝えていければ…」

会場は大爆笑でしたでしょうが、その市民にとっては、大惨事です。
一方的に減税だけして税収を減らし、それに見合う税収を増やすことができなかったのです。
誘致された企業だけが一方的に恩恵を受けて、市はまるで恩恵を受けていません。

そして、そこで浪費されるのが、市民の血税なのです。

このような無能な人が自治体のトップというのは悲劇という他ありません。
私はH市に対して何も思うことはありませんが、このH市の市長が次の選挙でフタタ度当選…という愚かな選択をしないことを願うばかりです。

さて、ではこのH市は何が問題だったのでしょうか。

それは、致命的なまでに
「戦略思考」
が欠けていたのです。

別の例として、北九州市の企業誘致を例に紹介していました。
北九州市では、コールセンターの誘致に特化して、雇用を4500人創造。
市側としては、
「いかにしてフォローアップすることで、補助金よりもメリットを感じてもらえるかどうか」
とのコメントでした。
これが、まさに戦略思考というものです。

戦略思考と戦術思考…などと展開してもわかりづらくなるので、一言でまとめます。

H市は、頭を使わずカネしか使おうとしなかったのです。
北九州市は、金を使う前に、いかにして相手のニーズに応えられるかか、ということで頭を使ったのです。
相手(企業側)にどんなサポートが必要なのかがわかり、それを繰り返した結果、4500名もの雇用創出につながったのです。

H市のやったこと。
日常的に割と見かけるのではないでしょうか。
想像力のない企業が、売り上げダウンを前に、短絡的に
「安売り」
を始めるのと、まったく同じ構造です。

なぜ売上が下がったのか。
どうすれば価格を維持して販売を続けられるのか。
そこを考えようとせずに、
「値段さえ下げておけばきっと売れるに違いない」
という、顧客を見下した発想です。

H市の企業誘致も同じです。
「とりあえず固定資産税さえ下げておけば、カネにがめつい企業の1つや2つは食いついてくるでしょ」
といった発想が、行動に如実に現れています。
その上で、結果が出なければ
「熱意を伝えていけば…」
と根性論に走ってごまかすのです。

企業誘致、という活動そのものは、私自身全く素人なので具体的な手法はわかりません。
けれど、絶対に外してはいけない戦略はあるはずなのです。

世界ナンバーワンマーケティングコンサルタントのジェイ・エイブラハムは、
「卓越の戦略 上級編」
でこんなことを述べています。

「あなたは人間であり、私に対して反応するそのやり方も、人々がお互いに反応するやり方も、あなたが 商売をしようとしている相手(顧客)の反応のやり方と、何も変わらない。人は、皆、あなたと同じような 感情の持ち主なのである。そして、あなたに法人顧客がいるとすれば、その会社には個人がいて、最 終的には、誰か個人によって決断が下される。会社というものは、あなたのような、-つまり、希望を 抱いたり、欲望、恐怖といった感情を持ったりする-、あなたのような人間個人の、ひとりひとりの集合 体である」

企業だろうが、自治体の企業誘致だろうが、日常のBtoB、BtoCビジネスだろうが、根底にあるのは「人間相手」という共通項です。

「とりあえず安売りしとけ」
というH市の見下した発想では、人として応えることができるのでしょうか。
だからこそ、【機械化】の進んだ企業が反応したのです。

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2 thoughts on “トップが「戦術思考」という悲劇

    1. up-stats Post author

      コメント並びに方法をありがとうございます。
      リンク先にて「偏重報道である」旨の主張を拝見しました。
      今回の記事の趣旨である
      「戦略思考のなさがもたらした」
      ことに対しては、報道のあり方とは関連がないと判断します。

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