2年ほど前。
元鮨屋のマスターから湯のみをもらいました。
地元に天皇陛下が御幸に来られた時に料理を出した鮨店です。
北海道ミシュランにも掲載されました。
そんな鮨屋のマスターですが、病気で入院。
還暦を過ぎて間もない、まだまだ元気な歳ではあるのですが、引き際だと感じたのでしょう。
後継者もおらず、店を畳みました。
店は畳んだものの、食器などはまだ余っています。
そのマスターの家へ遊びに行った時に、湯のみをもらいました。
欠けていて、店には出せない湯のみがたくさんあるとのこと。
食べに行った時に見慣れた湯のみなので、嬉しくなっていくつかもらいました。
欠けている…とのことでしたが、私に目には「言われなければわからない」レベルの掛け具合でした。
この、わずかに欠けた程度でも、
「割れた食器」
として、もう店頭には出さないんだな…と、驚いたのを覚えています。
昨日、北海道上川地方の某飲食店に行った時のことです。
店員の接客態度があまりにもひどかったのは話が長くなるので省略します。
こちらの写真をご覧ください。
4人で入ったのですが、取り皿のうち2枚、欠けていました。
しかも、1枚は2箇所欠けていました。
これを見て、過去にわからなかった、
「この程度」
に対する差がわかりました。
「万が一にも欠けた食器でお客様が怪我をするかもしれない」
という考え方。
「この程度ならば、問題ないだろう」
という考え方。
それぞれ、誰を大切にしているのか、その考え方が奥に見えます。
後者は「あくまでも店側の都合」しか考えていないのです。
だから、この程度の欠け具合では、
「ま、いっか」
と平気で顧客に出すのです。
実際、私自身、家で使っているお気に入りの食器があります。
ちょっと欠けているのですが、
「これくらい…」
と思っていたのですが、その食器を自分で洗っているときに小さい切り傷を作りました。
これくらい…でも怪我をすることはあるのです。
一事が万事、ということわざがあります。
「一つのことを見れば、他のすべてのことが推測できるということ。また、一つの小さなことに見られる傾向が、他のすべてのことに現れるということ」
という意味です。
この店の接客は非常にひどく、憤慨したのですが…この欠けた皿に、全てが凝縮されています。
何か大きなビジョンや理念を掲げたら…一貫性が命です。
この店で、「お客様第一主義」などと掲げていたとしても、この欠けた皿が「自分第一主義」であることを示しています。一貫性がないのです。
何か大きなビジョンや理念を掲げたら…本当に小さな小さな改善を繰り返していくこと。
例えば、欠けた皿を「これくらい」…ではなく、交換する、というところから始めればいいのです。
冒頭の鮨屋。
マスターから聞いた話だと、お店に出すお茶で、納得行くものが見つからず、5年以上探し続けたとのこと。
醤油やガリも、それぞれ「こだわり」の物語があります。
こういった、徹底的にこだわるところと欠けた湯のみに一貫性があるから、何度も何度もリピートしたくなり…天皇陛下を歓待する栄誉を授かるまでになったのでしょう。
できることからはじめてください。
どんなに小さなことでもいいのです。一事が万事、ですから。
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