年度末の今日、午後から司法書士事務所に飛び込みのお客様が来ました。
相談内容は、相続手続きのご相談。
親族が亡くなったため、不動産の名義変更をしたいとのこと。
一度、法務局へ名義変更手続きの相談に行ってきたところ…
「これは非常に複雑ですね。自分で(手続きを)するのはかなり大変でしょう」
と言われたので、当事務所へお越しいただいた…という経緯があります。
その結果、どうなったのか。
「相談」
という前提だったのですが、すでに相談は一通り法務局で済ませてあります。
単に、手続きの内容とその報酬や費用を説明するだけです。
説明を聞いて、
「分かりました、お願いします」
とのこと。
通常の相談の半分から3分の1くらいの時間で終わりました。
さて、この出来事の裏にどんな事情があるのでしょうか。
(1)相続
まず、誰かが亡くなって、相続が発生した、というところから話が始まります。
(2)相談
依頼者は、法務局へ行き、相続による不動産の名義変更手続きはどうしたらいいのか、その相談を受けました。
その裏にあるのは、手続きは「自分で行うもの」という考えがあればこそ、そのやり方だけを、法務局で聞けばいい、という判断…でした。
(3)法務局の回答
「これは非常に複雑ですね。自分で(手続きを)するのはかなり大変でしょう」
という相談に対する回答でした。
法務局で、このように言われて、その時点で依頼者は「ああ、自分じゃ無理だな」という判断、及び「専門家に依頼しよう」という意思決定がすでにそこでされたのです。
(4)セールス
当事務所での相談。これは相談の場であると同時に、セールスでもあります。
ですが…すでに、依頼者は「依頼する」と決めているので価格等の簡単な案内だけで、成約という流れになりました。
さらに、掘り下げてスポットを充てるならば、
(1)依頼者は自分で相続手続きをしようと思っていた
(2)法務局から「自分では難しい」と言われた。
(3)言われるまでは、「自分では難しい」ということを知らなかった
(4)自分でできない以上、司法書士に依頼しよう、という意思決定をした
ということになります。
特に重要なのは、ここでの(3)です。
顧客は、問題のその難易度に気づいていなかったのです。
世界ナンバーワンマーケティングコンサルタントのジェイ・エイブラハムは、卓越の戦略上級編にて、
「ほとんどの人々は、何をしたらよいのか分からない。分かっていたら、すでにそれをやっているだろう。 つまり、人は、何も分かっていない、何も分かっていないことすら分かっていない」
と言っています。
そうなのです。顧客はわかっていなかったのです。
わかっていないからこそ、専門家の出番があり、その専門スキルを以て、顧客の問題を解決する、という流れになるのです。
非常に長々と説明してきました。
結論としては、
「困っている人の問題を解決すること」
が商品開発のコンセプトとなります。
誰かの困り事を解決して、対価をいただく。
これが商品開発のコンセプトであり…そして、ビジネスの一つの大きな側面だといえます。
そして、今回の事例でも特に重要な点は、上記の通り、顧客は「困っている」ことに気づいていなかったのです。
ならば、商品開発のコンセプトとしては、次の2ステップとなります。
(1)本当は困っているけれど気づいてなかった、その点に気付かせる
(2)その困り事を解決する
となります。
本来は、この2番目だけが、最もシンプルなのですが、これだけでは足りません。
なぜなら、2番目だけだったら、顧客は選べないからです。
2番目の時点で、顧客はその困りごと、問題が表面化しています。
その上で、その困りごとや問題を誰に解決してもらうのかについて、非常にたくさんの解決策があります。
それらの解決策の中から自分を選んでもらうのはなかなか大変です。
ですが、
「今あなたは気づいていないかもしれませんが、実はこんな点で困っているのではありませんか?」
と問題を言語化してあげることで、
「ああ、確かに…実は困っていたんだよね、あまり気づいていなかったけど」
となります。
そして、気付かせてくれた人に感謝して、その人を「解決策として選択する」ことになるのです。
以上、シンプルな商品開発の考え方でした。
世の中の様々な問題解決型の商品やサービスは、この2つからスタートしています。
この2つを軸に、更に差別化要素、競合優位性などをいろいろ付加しているので、だんだん複雑になってわかるづらくなっているだけです。
例えば、携帯電話。
昔は肩から下げて持ち歩く、大きなアタッシュケースくらいの大きさがありました。
もともとは、出先から他と連絡できなくなって大変、という問題があって、その解決策として携帯電話が登場した…はずでした。
いつの間にか、カメラが付いて、テレビが付いて…
電話できない時もあるから、メール機能がついて…
いまやスマホです。様々なアプリが搭載され…非常に複雑です。
ですが、もともとは外出先で電話ができなくて困っている、というところからスタートしているのです。
では、この考え方をどう活かせばいいのでしょうか。
それはたった1つ。非常にシンプルな方法があります。
「困り事を聞いて回る」
だけです。
どんな問題を抱えて困っているのかを聞いて回って下さい。
すると、様々なことがわかってきます。
わかってくると…他の人がこの点で困っているのだから…この人もこんな点で困っているかもしれない。なぜなら…となります。
それを体系化すれば、商品開発完了です。
複雑にしようと思えばいくらでも複雑にできますが、まずはこの考え方で、見込み客に
「どんな悩みごとがあるか」
を聞いて回って下さい。
本当に問題が表面化して…そして、あなたがその問題を解決できる、となれば、最初に出した事例のように、セールスも非常にシンプルになることでしょう。
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