夕方、何気なくテレビを付け、聞き流していました。
そこでやっていたのが、豆腐。
全国規模の豆腐品評会のようなイベントを開催。
そこで、一位に輝いた、そんな豆腐店の特集が組まれていました。
聞き流していたので、正確ではないかもしれません。
たしか、その一位の豆腐店は創業81年。価格は一丁180円です。
伝統の味を劣化させないためにも、生産量は特に増やすことなく、地元の人に買ってもらいたいとのことでした。
さて、今日はこの豆腐を通して、マーケティング的に少し考察していきます。
商品の価値とは何でしょうか。
豆腐だったら、例えば味というのがひとつでしょう。
実際、創業81年という歴史と伝統があればこそ出せる味というのもあるのでしょう。
これは、参入障壁というところで考えるなら、文字通り鉄壁です。
単に81年という時間と、その間ずっと研鑽し続けてきた技術でなければ超えられないことを意味します。
とはいえ、マーケティングとして「価値」を考えるならば、これは下策です。
今回は品評会で一位でした。
「品評会で一位」
ということを以って広告宣伝に使うことはできます。
ですが、顧客は「品評会で一位」の実力を判断できるでしょうか。
仮に100点満点で採点するとした場合、この店の豆腐が一位を取れるとは限らないのです。
そのような「不確かなもの」を以って差別化の要因にするのは、下策でしょう。
結果的に「品評会一位」という称号が差別化になっていますが、この一位という称号がなければ、この豆腐の味の価値を正当に評価できる顧客は…まず居ないでしょう。
どれだけ豆腐が好きでも、「この豆腐は100点中97点」などと採点できる人は事実上皆無です。
豆腐、という題材で考えるなら、マーケティング的に非常に巧いと思った商品があります。
それは「男前豆腐店」シリーズ。
有名な商品が、「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」というもの。
スーパーの店頭で時折見かけるのですが、パッケージに独特の男くさい顔のイラストが描いてあります。
価格は一丁300円程度。先ほどの一位の豆腐は一丁180円。
ネーミングと独特のパッケージだけで、価格が全く変わってくるのです。
もちろん、「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」も、商品そのものにこだわりや工夫はあるのでしょう。
けれど、81年研鑽し続けてきた技術でないと作れない…というものではありません。
ある意味、ネーミングとパッケージ、商品コンセプトだけで、全国一位の豆腐に対して差をつけたのです。
ネーミングとパッケージ、コンセプトは、豆腐の味には全く貢献していません。
けれど、これだけ単価が変わってくるのです。
これも、ひとつの価値なのです。
「価値」と考えたときに、「品質」とか「味」としか考えないのはあまりにも視野狭窄。
今から勝負して、81年の伝統を超えることは事実上不可能です。
違う勝負をするしかないのです。
「品質」や「味」とは違うところで頭を使って差別化を実現。
これがマーケティングの醍醐味です。
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