これは実話です。
ある国の大学で,
心理実験が行われました。
大学に通われた方なら,
何となく想像が付くでしょう。
テスト期間が近づくと,
コピー機の前に,
大行列が発生します。
なぜなら,
大学の講義をサボっ…
もとい欠席した場合,
その回の分のノートを
書き写すのが大変だからです。
キャンパス内に設置してあるコピー機で
ノートをコピーして,
友人知人に早く返さないと,
彼らの勉強の妨げになります。
…そんな背景で,
コピー機の前にできた,
大行列を想像してください。
この行列に対して,
心理実験が行われたのです。
コピーを取る順番を譲ってもらええるかどうか。
というもの。
その際の言葉がけです。
パターン1
「先にコピーを取らせてください」
パターン2
「急いでいるので,
先にコピーを取らせてください」
パターン3
「コピーを取りたいので
先にコピーを取らせてください」
どれだけの方が,
先にコピーを取らせてくれたのでしょうか。
パターン1
これは60%程度でした。
これに対し,
「先にコピーを取る」
理由が明確なパターン2の場合,
94%の人が順番を譲ってくれたそうです。
では,パターン3は,
何%の人が先に譲ってくれたでしょうか。
この心理実験。
マーケティングの実践者や,
コピーライター,
広告に関する仕事をしている人。
あるいは,セールスマンや経営者。
こういった方々で
「読んでいないはずがない」
と言われる名著,
の中に書かれているエピソードです。
この本は非常に有名です。
そして,
このエピソードも非常に有名です。
数々の心理トリガーの中でも,
トップレベルの威力を誇る,
「理由のトリガー」
を説明した実験です。
それだけに…
もはやこの
「コピー機の実験の話」
を知らない人などいないのではないか。
…そう思っていました。
思い込んでいたのです。
思い込んでいた…というのは
正確な表現ではないかもしれません。
ある時,
マーケティング関連業務の方を相手に,
「当然知っている」
前提で話をしたところ…
知らない,という反応をいただき
大変驚きました。
もはや
「知らない」
という可能性が頭になかったのです。
私のこのブログを,
「読んでます」
と声を掛けてくださる方が
私の勉強会に参加頂いたときのこと。
実はこのコピー機のエピソードは
これまでにブログの中で5回,6回と
紹介しています。
ですので,
「知っている」
という前提だったのですが,
「知らない」
と言われて驚いたこともあります。
今となっては,
勉強会を開催した時にこの話をして,
「パターン3の,
【コピーを取りたいので】
という場合,何%くらい,
譲ってもらえたと思いますか?」
と質問。
参加者から,
「やっぱり60%くらいじゃないのかな」
という回答を聴くと…
そして,
「実は93%の人が譲ってくれたそうです」
と言った時の驚きぶりは,
ある意味「楽しみ」と言えるかもしれません。
さて,今日のテーマ。
それは私の「悪い癖」についてです。
私は小学生の時に,
中学受験をして私立中学に進学。
そのままエスカレーター式で
大学まで進学しました。
ただ…成績は中の上。
科目によっては成績は悪く
苦労しました。
友達の女の子に頼んで
何度も何度も勉強を教えてもらって
何とか授業についていけていた状態です。
彼女は大して勉強しているようには
見えないのですが,
テストになるといつも高得点。
「頭の出来が違うんだな」
「私の頭は平凡な出来だからもっと努力しないと」
という発想が身についてしまいました。
もはや劣等感どころか,
「平凡な頭の出来」
ということが当たり前だったのです。
つまり…
「私程度が知っているようなことは,
他の誰もが知っているだろう」
という思い込みを持つようになったのです。
頭脳に関するこの思い込みは…
大学を卒業しても,
司法書士試験に合格した後も,
行政書士試験に合格した後も,
何ひとつ変わりませんでした。
自己啓発や能力開発に
のめり込んだ後も,
やはり変わらず。
別にこの劣等感そのものは
良いも悪いもないでしょう。
ただ,私の今の仕事においては
一歩間違えると大きな大きな問題を
引き起こすことになります。
「私程度が知っているようなことは,
他の誰もが知っているだろう」
この思い込みが,
「だからもっと専門性を高めないと…」
となり,
【より高度なマーケティングや
コピーライティングの知識】
を学ぶようになります。
学んでも学んでも,
「私程度が知っているようなことは,
他の誰もが知っているだろう」
この繰り返しでした。
ある時,マーケティングに関する
PDFレポートを作成しました。
簡単でサクッと読める,
マーケティング初心者向けの
内容…のつもりでした。
タイトルに,
「60分で学ぶ」
という言葉を付けました。
なぜなら,
日本人の平均読書スピードは
600文字と言われています。
レポートの文字数が約36000文字
だったからです。
ところが…
このPDFレポートを読んだ方から,
「内容が難しい」
「何時間も掛けて読んでいるけど
まだ読み終わらない」
と言われて,
「あれ?」
と思った次第です。
これらのエピソードからわかったこと。
2つあります。
相手は
「必ずしも知っているとは限らない」
当たり前すぎますね。
私は朝から晩までマーケティングのことばかり
考えています。
つまり,
「マーケティングの専門家」
であればともかく,
そうでない方は
「知っているとは限らない」
のです。
もう一点。
「一度聞いたからといって
覚えているとは限らない」
ということ。
私は,一度聞いた話を二度三度聞かされるのは
苦痛に感じます。
自分が嫌なことを人にするわけにはいきません。
「もうこの話は以前にしましたよね」
とよく言うのですが…
「何の話でしたっけ?」
と訊かれることがあります。
覚えているとは限らないのです。
どうすればいいのか。
「同じ話を繰り返せばいい」
のです。
今の時代は,
ネットの発達によって,
顧客の知的水準が上がっています。
ですが,知っているかどうかは
聞いてみないとわからないのです。
この作業を怠ると,
「あの人って,よくわからない話ばかり
繰り返す小難しい人だよね」
と思われることになります。
きっと…
このブログをご覧のあなたも,
私に対して思っているかもしれません…
ある人から言われた
「本当に頭のいい人は
難しい話をわかりやすく解説できる
人のことだよね」
という言葉が身にしみます。
顧客の知性を尊重すること。
必ずしも「知っているわけではない」こと。
この2つをバランス良く実践しないといけない。
そんな話でした。
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あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
1つの集客法で7割以上を集客している。
これは危険です。
なぜなら,その1つが機能しなくなったら…?
今日使える売上アップ法が,来月使えるとは限らないのです。
とはいえ,どうしていいかわからない。