USP神話を手放そう

USP神話を手放そう

USP神話を手放そう
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定義【神話】
実体は明らかでないのに、長い間人々によって絶対のものと信じこまれ、称賛や畏怖の目で見られてきた事柄。

ということで、今日のテーマはUSP神話の脱却です。

マーケティングにおいて、大きな大きなコンセプトの1つ、USP。
Unique
Selling
Proposition
とあり、「独自の売り」などと訳されます。

マーケティングの書籍などで、自社の強みやポジショニングなどの観点から解説されれているものを見かけます。

ところが、このUSPがマーケティングの難易度を上げてしまい、
「マーケティングってよくわからない」
と思わせる大きな要因になっているのではないでしょうか。

例えば、こちらの書籍「究極のマーケティングプラン」です。

最初に出てくるコンセプトが、このUSPです。
まあ、ある意味当然と言えば当然です。
なぜなら、自分のビジネスの強みやポジショニングを決めてから出ないと、その先のマーケティングプランに進んでいけないからです

ところが、自分のビジネスの強みが何か、分かる人はどれだけいるのでしょうか。
ビジネスを初めてから1年とか2年程度では、自分のビジネスの強みなどわからないでしょう。

あるいは、自分が強みだと思っているものが、本当は強みではない可能性があるかもしれません。
そして、USPがうまくいかない人の大多数が陥っている問題として、その強みが顧客にとって価値があるとは限らないことです。

ここで、USPの背景を簡単に解説します。
もともと、ロッサー・リーブスという広告代理店の方が考案したコンセプトです。

著書「USP ユニーク・セリング・プロポジション 売上に直結させる絶対不変の法則」によると、定義は次の3つです。

USPの定義1
広告は全て,消費者に対して提案(プロポジション)をしなければならない。
単なる言葉や,単なる製品礼賛(らいさん),単なるショーウィンドウ的広告ではなく,読む者にこう言わなければならない。
「この製品を買えば,この便益(ベネフィット)が手に入ります」と。

USPの定義2
その提案は,競争相手が示せない,もしくは示さないものでなければならない。それは独自(ユニーク)でなければならない。
すなわち,そのブランド独自のものであるか,その分野の広告ではなされていない主張であること。

USPの定義3
その提案は,数百万の人々を動かせるほど強力でなければならない。すなわち,製品に新規顧客を引き寄せられるものでなければならない。

この定義を引用した上記書籍は2012年出版ですが、もともとロッサー・リーブスが執筆した「Reality in Advertising」という書籍は1961年出版。そして、そもそもUSP自体の考案は、1940年代だと言われています。

当時のこの定義を今の時代にそのまま適用するのは少々難しいところではありますが、本質的に一番大切な点は今も変りません。

この中でも、特に重要なものが、定義3です。
「数百万の人々を動かせるほど強力でなければならない。」

ロッサー・リーブスは、テレビ等のマスマーケティングで活躍した方なので「何百万」という数字になっていますが、それは脇に置いておきます。

単にたくさんの人たちが「欲しい!!」と思って、実際に「動かせる」すなわち行動に移すほど強力でなければならないのです。

有名な例は、ドミノ・ピザの「熱々のピザを30分以内にお届けします。間に合わなければお代はいりません」というもの。電話して注文しても、いつ来るかわからない、来ても冷め切って美味しくないピザがスタンダードだったデリバリーピザ業界では、「多くの人を動かせるほど強力」な「提案(プロポジション)」だと言えたのでしょう。

ですが、そんな強み、提案は誰にでも出来るものなのでしょうか。

「独自性」だけなら簡単です。
人は誰もが独自で替えのない存在です。

ですが、そこに価値があるかどうかはまた別です。

通販のコピーで有名なジョセフ・シュガーマンは、
「良い商品であれば売れることを証明したかった」
とのことで、
「レーザービーム式ネズミ捕り」
を開発しました。

シュガーマン自身は凄腕のコピーライターなので、売る力はあります。

また、シュガーマンは、こういったガジェット(gadget 一般に道具、装置、仕掛け)大好き人間だったようで、彼の扱う通販アイテムも、ガジェットがたくさんあったのだとか。
そんなガジェット好きな彼が開発したレーザービーム式ネズミ捕りです。性能も問題なしです。

ベネフィットも、当然ですがあることでしょう。
レーザービーム式ですから、それだけ強力で効果のあるものです。(USP定義1)
そして、レーザービーム式ネズミ捕りなど、市場になかったのですから、独自であったことは言うまでもありません(USP定義2)

では、売れたか…といえば、全く売れなかったそうです。
原因としては、定義3から外れたからでしょう。

もちろん、性能も良く、独自性があったとしても、ネズミ捕りにそこまで情熱を懸けている人などいなかったのかもしれません。
あるいは、レーザービーム式が必要な人がいなかったのかもしれません。
既存のネズミ捕りで十分目的を果たせていたからかもしれません。

いずれにしても、顧客を動かすほどの魅力はなかったのです。

これが、USPの難しいところです。

話を戻します。
起業して1年目、2年目の会社に、そんなUSPはあるのでしょうか。
もしかしたらあるかもしれませんが、無いほうが多いでしょう。

それ以上に、もしかしたら
「当社の強みはこれです」
というものが、顧客にとって全く魅力的でない可能性も十分にあります。

ではどうすればいいのか。
まずは、量を売るしかありません。
起業してからそれほど時間が経っていないのであれば、販売の絶対量が少ないのですから、自社の商品やサービスを1つでも1件でも多く売るしかありません。

その上で、顧客にアンケートを取り、
「何が決め手で買ったのか」
を聴いてまわればいいのです。購買意思決定要因を尋ねて回ることで、自社の強みや、自社が顧客のどんなニーズを満たしているのかがわかります。

その先に、ようやくUSPが見えてきます。

上述の書籍は、最初にUSPが出てきます。
ですが、マーケティングにおいて、USPの確立はもっとも難易度の高いものの一つです。
最初に一番難しくて取り組みにくいものが来てしまっているので…そこで挫折してしまう可能性はあります。

USPは素晴らしいもの…というのが、マーケティングの世界では常識のように考えられています。
…ですが、その神話を思い切って手放してみるのも一つの手です。

自社の強みは何か…を考えるよりも、まずは自社の商品やサービスをの良さ、顧客にとってのメリットを30秒以内で説明できるように短くまとめて、まずは1つでも1件でも多く販売すること。

こちらのほうが先です。

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