15年前のこと。
名前は敢えて伏せます。
セールスの世界で大成して有名になった,ある成功者に直接会う機会がありました。
彼は…ずっと体調を崩していたようで,正直あって話ができるとは思えない状況でした。
ところが,あるセミナーに行った時に,その彼が出てきて話をしてくれることになったのです。
高齢で,病気で…立って歩けるかどうかもわからない。
そのはずでした。。
ですが,彼はスーツに革靴で,登壇。
時間は短くともしっかりとした口調でハキハキとした語り口。
残念ながら,その時彼が何を話したのかは覚えていません。
なぜならその後のインパクトのほうがずっと強かったからです。
彼は,その場にいた全員の前まで歩いて行き,握手して一人ひとり直接言葉を掛けていったのです。
その時に私に対する言葉が,
「欲しいものを何でも手に入れなさい」
この時以来,ある種の呪縛から解き放たれたのを今もよく覚えています。
つまり,
「AまたはB,どちらを手に入れますか?」
この「A」と「B」という二者択一を突きつけられた時に,
「両方」という第三の選択肢が常に頭に浮かぶようになったのです。
あるいは,「C」「D」など,突きつけられた選択肢以外の選択が思い浮かぶようになりました。
では,どうやったら欲しいもの全てを手に入れられるのでしょうか。
歴史上の偉人,あるいは成功者は一様に同じようなことを述べています。
誰が原典なのかはわかりません。
調べましたが,アンドリュー・カーネギーなのか,それともナポレオン・ヒルなのか。
それ以前に誰かが述べていることかもしれません。
欲しいものを手に入れるには,
1.本当に欲しいものを明確にすること
2.それを手に入れるために,どんな代償を支払うのかを決めること
とあります。
代償…と聞くと,少々物々しいイメージがあります。
ですが,一番カンタンでわかりやすく,公平な代償が「お金」です。
お金を支払えば,大抵の欲しいものは手に入ります。
逆に,欲しいものを手に入れるために,お金を支払わなかったら,それ以上の何かを支払わされることになるかもしれません。
先日,ネットで5〜6人くらいが,Facebook上でシェアしており人によっては,直接メッセンジャーで
「これってどうなの?」
と尋ねてくる,そんなある出来事がありました。
ある作家が,自身の作品である絵本の内容を全てオンラインで公開した,という話です。
理由は,子どもから「お金がないから買えない」という意見が来たからだそうです。
それで,お金の問題から開放されるように,とのことで無料公開に踏み切ったようです。
さて,このこと自体を絶賛,称賛する人がいます。
実際に,絵本の内容も素晴らしかった…とのこと。
そのように感じる方がいること,そしてそのように感じたことそのものを否定するつもりはありません。
私は…この話を立て続けに聞かされてうんざりしただけです。
ただ…うんざりしたその先に感じたのが,
「子どもがカワイソウ」
という印象を受けました。
ほしいものを,お金がない…という理由でタダで与えられれ,それにどんな価値があるのでしょうか。
欲しいものを何ら代償を支払わないで手に入れることに,どんな意味があるのでしょうか。
私は,作者のエゴが,子どもから「挑戦する機会」を奪ってしまったように感じました。
お金がないのが問題ではありません。
お金は一番簡単な代償の手段です。ですがお金が全てではありません。
確か2000円くらいの書籍だったようです。
確かに子どもには決して安い金額ではないでしょう。
価格設定に関するマーケティング的な問題はあるかもしれません。
ですが,お金がないからといって,どうやってその障害を克服して手に入れるのか。
目的に向かって,いかに障害をかいくぐって到達するか。そのゲームを楽しむ機会を奪ってしまったのです。
お金がないなら,例えば親にねだる,という選択もあるでしょう。
今度は親にねだったけど,いい顔をしない。
そこで,いかに親に買ってもらえるか,そこに知恵を尽くして,何度も失敗して…ようやく親が折れて買ってくれた,その本にはどれだけの価値があるでしょうか。
それを,
「僕お金持っていないんで買えません」
「じゃあタダであげるよ」
ここに,どんな代償…言い換えると,障害を克服して成長する機会があるのでしょうか。
酷い虐待です。
これから先,この「無料で恵んでもらった」という安っぽい成功体験が,子どもの人生を狂わせるでしょう。
すなわち,欲しいものはタダで何の労力も支払わずに手に入る。そんな生き方をして,身を持ち崩す可能性すらあるでしょう。
さて,非常に長くなりました。ここからがやっと本題です。
本当に価値があるものは,お金では買えません。
マーケティングにおいて…本当に結果を出すには,お金を払って,既存の「成功法」「集客法」を手に入れるだけでは達成できないのです。
おそらく…それでお金が入るのは,その安っぽい「集客法」を売っている人でしょう。
お金を払って手に入るのは,マーケティングといった集客法を「学ぶ機会」です。
ですが,水泳を覚えるために,畳の上でバタ足を何万回やっても泳げるようにはなりません。
マーケティングも,学んだだけでは集客できるようにはならないのです。
代償…すなわち,行動して失敗して痛い目にあって…それでもまた行動する。
そこまでやって初めて手に入るものです。
そして…そこまでやって,マーケティングやビジネスの面白さがあるのです。
今日のアイキャッチ画像は,登山の写真です。
必死で登山して,山頂から見下ろす雲海は,どれだけ美しく,輝いて,価値のある景色でしょうか。
それを…ヘリコプターで直接山頂に運ばれて目にした場合とでは,どれだけ価値が変わってくるでしょうか。
欲しいものは何でも手に入ります。
ただ…十分な代償。お金だけではなく時間や労力を掛けてこそ,です。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
2〜3通りしか集客法を知らない。
どうしていいかわからない。そんなあなたは,一度こちらをご覧ください。