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※当面の間,この表示をいたします。
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こんにちは。
アップスタッツ合同会社の代表,
経営軍師の飯山です。
本当かどうかはさておき,
人は過去の記憶すべてを
保管してある…なんて話があります。
そうだった場合…
問題は思い出させるかどうか,
なんですけどね。
ということで,
自分の過去に蓄積した
記憶すべてを取り出して
自由に使いこなせるわけでは
ありませんが…
まあ,
なにかのきっかけで
思い出すことがあります。
…ということで,
ろくでもないことを思い出しました。
昔,
キャッチセールスにつかまって
事務所に連れて行かれた時の話です。
今日のお題は,
「芸術作品の売り方」
とでもしておきますね。
最後までお付きあいただければ,
形にないものを売る,
ということを改めて
見直してみる
いいきっかけになるでしょう。
ラーメンでできた心のスキ
確か…
私がまだ埼玉県内にて,
東京都の境目のあたりで
事務所を立ち上げたばかりの頃。
ざっくりと15年以上前の話です。
ランチ時間を過ぎて
お腹が空いたので…
醤油ラーメン屋に行こうと思い…
ちょっと遠出をして,
駅近くの商店街を歩いていたところ,
お腹が空いていて,
「今日はチャーシュー麺でも」
などと,懐と気分が緩んでいたのが
原因でしょうか。
キャッチセールスにつかまりました。
話しかけられて…
確か,きれいな絵はがきを
手に持っていて…
それをビラ配りっぽい感じで
配っていたのです。
パッと見た感じ,
その絵はがきを見て,
「あ,綺麗…」
と思って,
そのまま何も考えずに
受け取りました。
すると,
ビラ配りしてた女性から
話しかけられて…
興味があるならもっと
他のものもある,
という感じのことを
言われた…ような気がします。
まあ,15年以上前の話ですから,
記憶は不鮮明ですが。
…ということで,
女性に案内されて
事務所に連れて行かれました。
幼児に,
「お菓子をあげるからなんて
言われても,怪しい人に
ついていっちゃだめ」
なんて話がありますが。
私は,当時20代半ばにして,
絵はがきに釣られたわけです。
個人的には,
その女性が綺麗だから,
お近づきになりたい…
くらいの気持ちでついていったら,
まだ「笑い話」になるんですけどね。
例によってコミュ障で
女性の顔なんて見られませんから,
手元の絵はがきにしか目が行かない。
今も昔も,
なんというか残念な私ですね。
ただ,
なんとなく,正体不明の
断りづらさを感じました。
今ならその正体はわかりますが,
当時の私にはわかりませんでした。
話を戻します。
事務所に連れて行かれると,
壁に大きな,その版画絵が
いくつも飾られてあり…
配っていた絵はがきは
その写真でした。
…ということで,
いろいろと売り込みを受け,
たしか,80万円くらいで
売り込みをかけられました。
借金があるから,とか。
お金がないとか,
まだ独立開業したばかりで
ローンは通らない…
などと,
様々な断り文句を
次々に打ち返され,
だんだん憔悴していきました。
いかんせん,
ラーメンを食べに行く途中
でしたからお腹空いていましたので。
万策尽きて…
もう私の負けでした。
ちなみに勝利条件は,
「ある打ち手を使わずに」
その事務所から脱出すること。
敗北条件は,
「その打ち手を使うこと」
です。
買う…なんて選択肢は
なかったですからね。
ということで,
敗北を受け入れ…
法律系国家資格をちらつかせて
脱出しました。
実に…みっともない話です
まさか,
ターミナル駅前正面の
商店街の…その入口正面に
こんなキャッチセールスが
待ち受けているなんて
想定もできませんでした。
だんだん,
論理的思考力が
剥離されていく感覚…
あれは何だったんでしょうね。
今の私なら,
ひとつひとつの手口を
解説できそうですが…
きっと,
当時の「鴨ねぎ」な私ならともかく,
今の私にそういった人は
寄ってこないでしょう。
ちなみに,
テクニック的に言うなら,
絵はがきを受け取った時点でアウトです。
事務所に入ったら,
脱出は厳しいです。
キャッチセールスには
くれぐれもご注意ください。
…というのが
今日のネタではありません。
単に,前フリです。
芸術作品の売り方
さて,
このキャッチセールスで
売っていた版画絵を
「芸術」
と言えるかどうかは
一旦脇において。
お題は,
芸術作品の売り方です。
マーケッター的視点で,
芸術作品を分析するなら,
「その商品やサービスから受けられる
価値が,人によってバラバラなもの」
ということになります。
例えば,
私は今日のこの記事を書いている
まさにこの瞬間,
ピアノ曲をBGMにしています。
では,
ピアノ曲を聴く,
というのは芸術ですが。
ピアノの曲を聴くということについて,
人によって得られる価値が
バラバラだったり…
もっと言うと,
さっぱり理解できないノイズだ,
という話になりかねません。
ちょっと話がそれますが。
ある有名なアニメ映画,
「となりのトト□」
について,
こんな話を聞いたことがあります。
オープニングだったか…
どの場面かは忘れましたが,
森の中の道…を登場人物たちが
進んでいくわけですが。
主人公の女の子たちは
サマードレスを着ているわけですから,
夏,真っ盛りですね。
なので,SEとして,
セミの鳴き声が入っているわけです。
そして…日本人にしてみたら,
セミの声を聴くことで,
なんだかの感情や感覚を抱くわけですね。
懐かしさだったりとか,
夏の暑さを想起させたりとか…
いろいろあるわけですが,
それは日本文化と風土という
背景があるから成り立ちます。
つまり…
この作品を海外に持っていくと,
蝉の声は,ただのノイズでしかないわけです。
聴くところによれば,
海外のある批評家は,
こんなノイズが入っているなんて
日本の映画の技術はどうなっているだ,
なんてコメントが
あったとか…。
話を戻します。
ピアノの曲を聞いていても,
本当にノイズにしか聞こえない人も
いるわけですね。
その理由は興味深いですが
今日の話ではないので省略します。
例えば扇風機があって…
スイッチを付けると風が吹き付けてくる。
それで涼しさを感じるわけですが。
扇風機で風が吹き付けて
涼しく感じる…
というその価値は,
概ね,誰でも一緒です。
が。
芸術作品というのは,
人によって,感じる価値がバラバラ。
しかも,価値がばらばらでよくわからない
イコール,見えない。
見えないということは,
まさに裸の王様みたいなものです。
「そこに服がある」
と言えば,「見えない」ことは
証明できないのですから
それを否定することはしづらい。
こうして,一部の
権威主義的な評論家によって
「この作品はこう解釈すべき」
「それがわからないやつは論外」
みたいな流れができ…
そして,
それを嫌った人たちによって,
「芸術は,ひとそれぞれ自由に受け入れるべき」
と提唱します。
たしかにそのとおりですが,
その結果として,
芸術の価値を理解できない一般大衆に寄って,
ますます芸術が縁遠く,理解できない
敷居の高いものになってしまいました。
ですので,
こういった背景から考えて,
芸術作品を売る…
というのは,とてもむずかしい
ということはご理解いただけたのでは
ないでしょうか。
キャッチの女性による価値提案
話を戻します。
キャッチセールスにつかまって
事務所に連れて行かれ…
その作品を前に…
たしか80万円だかを,
何十回払いかで売り込みを
仕掛けられた時のことです。
といっても,
独立開業直後でお金もありません。
なんて話をしたところ,
そのキャッチセールスの女性から,
「会社にこの絵を飾って,
この絵を見ながら,
『がんばろう!』と思えばいいじゃないですか」
と言われました。
この一連の出来事で
一番のインパクトでしたね。
まあ,冷静な思考力で考えれば,
絵の代金を払うために
絵を見ながら「がんばろう!」と
いうのは…
絵が欲しくて仕方がない,
という前提が必要に
なるのですが。
きっと,
「いらない」
という私の拒否が
よわかったのでしょね。
それはさておき。
この女性のトーク自体は
ふさわしくないし荒唐無稽では
ありますが…
そして,このやり方が
芸術の売り方だ,なんて言う気はありませんが。
それでも
「学べるもの」
はここにあります。
つまり…
権威主義的に押し付けるのは
論外ですが…
でも,その芸術によって得られる
「価値を【提案】してあげる」
ことです。
つまり,
「自分に感じたい通り,自由に感じる」
と言われても困る人にしてみたら,
価値の提案があったほうが
検討しやすいはずです。
例えば,
有名な例では,
一部のクラシック曲を聴くと
集中力が高まるとかなんとか…
※諸説あります
このように,
顧客が価値を理解できないなら,
顧客に理解できるように
価値を提案する。
今日は芸術の売り方
というテーマで書きましたが,
価値を提案するのは,
他のすべての売り方にも
使える考え方です。
ぜひ,
取り組んでみてください。
最後に蛇足。
このキャッチセールスの体験を
知人に話したところ…
「ああ,あれね。
最近多いんだよね…
(作者名)の作品でしょ?
版画絵だから,
いくらでも複製できるから,
安く手に入るよ。
ほしいなら,5000円くらいで
手に入るんじゃないかな」
もちろん,
手に入れませんでした。
なんか,いろいろ微妙な気分でしたね。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
アップスタッツ合同会社 経営軍師 飯山陽平
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