続・「お金がない人はいない」という真実

続・「お金がない人はいない」という真実

続・「お金がない人はいない」という真実
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ある人から、
「素朴な疑問なんだけど…」
と尋ねられたことがあります。

私が司法書士として、自己破産申立書作成手続きを行っている、という話を聞いて、疑問に思ったのでしょう。
「自己破産するくらいだから、お金なんて持ってませんよね」
「タダで手続きをしてあげているのでしょうか」
「どうやって報酬を払ってもらっているのでしょうか」
とのこと。

確かに、言われてみれば、不思議に思うかもしれません。

20年以上前のことです。
多重債務手続きのパイオニアにして、元日弁連会長、宇都宮健児弁護士の講義を聴いた時のことです。
その時に、
「弁護士報酬は分割で…」
という話をされていました。
当時、まだ多重債務の法的手続きというものを手がけている人が少なかった時代の話です。
多くの弁護士も、
「着手金は一括前払いが当たり前」
だと思い込んでいたのでしょう。宇都宮弁護士が、仲間の弁護士に
「分割で払ってもらっている」
と伝えた時に、大変驚かれた…なんて話をしていました。

そこで、その話を冒頭の質問に対して答えたのですが、やはりその方は不思議そうに首を傾げていました。
本当にお金がないなら、分割金すら払うことが出来ないのではないか、という疑問です。

簡単に次の通り説明しました。
1.例えば、毎月、債権者に支払わなければならない金額は5万円
2.実際に支払いが出来るのは月3万円まで
3.受任して、司法書士が債権者に対して「代理人になりました」「当面の間、債務額を確定させるために支払いを停止します」といった通知を送る
4.上記3で支払いが止まるので、その間に、毎月3万円ずつ支払いをしてもらう
というものです。

すでに払っている以上の金額を払ってもらうわけではないので、分割金は支払いができる…という考え方になります。

当たり前といえば当たり前なのですが、司法書士が通知を送ることで、一旦支払いを止めた結果、毎月3万円の余剰資金が生まれます。
その報酬を司法書士に払うことで、債務整理手続きを行う、ということになります。

1000人以上多重債務法律相談を行っていると、たまに遭遇することがあります。
すなわち、本来は「着手金」をもらってから債権者に通知を送るはずです。
しかし、支払いができない以上、「信用して」先に通知を送り、支払いを停止してから、債権者に払っていた分を報酬として払ってもらう約束になります。

そこで出てくるのが、通知を先に送って、支払いを止めると、債権者から督促が止まります。
それで安心してしまい…司法書士に報酬を支払わない人がいるのです。

そんな人には断固たる措置を取るのですが、それはさておき。

そのような人に遭遇して…そして、きちんと払う人もいる、というところから、
「お金の流れは、どこまでも本人が選択している」
ということがわかります。
ただ、選択している、ということを忘れてしまうのです。

一昨日に続いて、またお金の話です。一昨日は、
「お金がない人はいない」
という話でした。

今日は、もう少し丁寧に掘り下げていきます。

ちょっと思い出してみてください。
あなたは、毎月何にどれだけお金を払っているでしょうか。

その中で毎月継続的に支払いを続けているものはあるでしょうか。
それは何でしょうか。
思い出してみてください。

はじめは、それを払う、という意志があったはずです。
そのうち、クレジットカード決済や、口座振替で毎月自動的に引き落としされ続けることで、
「払う」
という意志を忘れてしまいます。
その結果、ずっと払い続けている…というものがあるのではないでしょうか。

生命保険。
新聞代。
電話料金。
公共料金など…。

細かいところでは、Yahoo!プレミアム会員料金だったり…なんかのソフトウェア利用料だったり…。

特に、携帯電話やポケットWi-Fi、プロバイダーなどで、
「2ヶ月間無料、3ヶ月目から有料」
というオプションの1つや2つは、これまで目にしてきたことがあるのではないでしょうか。

これは…
「わすれさせる」
ことを目的としているのです。

はじめは、そのサービスを受ける、という意思を持たせて…2ヶ月経って忘れた頃に課金を開始。
その頃には、明細書など見ないので…そのまま課金を続け…という仕組みです。

そういった「忘れる」ことを意図して設計されたビジネスモデルだと言えます。

ですが…もともとは、本人の選択です。

すべて、自分が選択して「払う」という意志を示した結果なのです。

改めて、もう一度繰り返します。
お金がない人はいません。
すべて、本人が手持ちのお金をどのように分配するのか、という選択の結果なのです。

だからといって、セールスにおいて、
「お金がないです」
という人に、
「嘘つけ!」
などと言うわけにはいきません。

ではどうしたらいいのか。
本人に、自ら
「金の使いみち」
を見なおしてもらうしかないでしょう。

それが、マーケティングでいう
「スイッチングコスト」
と呼ばれるものです。

スイッチとは、「切り替え」という意味です。
何かを切り替える時にかかる費用という意味になります。

有名な例では、大手携帯電話のキャリアなどが、解約金を負担することで、よそからシェアを奪う、というやり方があります。

似たような例では、住宅ローンの借り換え、などもあるでしょう。
毎月支払う住宅ローンの金額が安くなると、長期的に見れば、支払総額は大きく変わります。
住宅ローンの借り換えに必要な手数料なども、スイッチングコストと呼ばれます。

このように、同じものを「もっと安く」するために、スイッチングコストを本人に払ってもらう、という一つのやり方があります。同じものを単純に安く…ということですので、考え方はシンプルです。

ですが、これが違うもの…となると、なかなか大変です。
例えば、毎月のスポーツジム料金を捻出してもらうために、生命保険の組み換えを指示する…などというのは、あまり現実的ではありません。

だからこそ、顧客である「本人」にやってもらわなければならないのです。
本人が、
「ああ、これはどうしても欲しい。でもお金がない。だから、今払っているものを見なおして節約できるものを節約しないと…」
と思ってもらえればいいのです。
そして…できるならば、そのために必要なお手伝いができればいいでしょう。

例えば、顧客である「本人」が、
「言われるがままに払っているけど…毎月の生命保険が妥当かどうかがわからない」
と言い出した時に、
「じゃあ、知り合いに生命保険の専門がいるので、紹介しましょうか」
と言う…という感じでしょうか。

最後に、もう一度繰り返します。
「お金がない人はいない」
のです。
「お金がない」
という言葉に惑わされないでください。
どうしても、のどから手が出るほど欲しいのであれば、借金してでも、何をしてでも、買うのではないでしょうか。
借金を推し進めるのはどうかとは思いますが、やるべきことは、
「のどから手が出るくらい欲しい、と思ってもらう」
ことです。
「お金がない」
という言葉に対して、物分りの良い態度を取ることではないのです。

<予告>
6月29日(水)13時30分〜16時30分
東京から書籍を執筆した、あの東証一部上場のコンサルティング会社、船井総研出身のコンサルタントを札幌に招いて出版記念セミナーまた読書会等を企画しています。
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ですので、まずは、この日時を空けておいてください。
なお、開催場所はこちら。
 
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