10年以上前のことでしょうか。
あるセミナーに出たときのことです。
企業向けのセミナーで,年商1億円を目指すためのものです。
ですが,始まって間もない頃,講師がこんなことを言い出しました。
「今日教えたとおりのことをきちんと確実に実行すれば年商1億円じゃなくて10億円までは行ける」
とのこと。
個人的に興味を覚えたのは,その次の一言です。
「けれど,10億円なんて言い出したら…みんな来なかったでしょ。うさんくさいし。だから募集の時は1億円と言ってます」
当時,とても驚き,納得した記憶があります。
さて,今日は数字の使い方です。
適切な数字の使い方をしないと,コピーが上手く機能しません。
機能しない…くらいならマシです。
むしろ,その数字の見せ方に失敗知ると,その広告そのものが終わる…といってもいいでしょう。
なぜか。
コピーは,当然ですが見てもらなければ効果が発揮しません。
どんなに素晴らしい本文だったとしても…その商品が魅力的だったとしても…
その広告を見てもらえなかったとしたら,意味がありません。
そのような立場に経てば,より劇的な数字を印象づけることで,注目をあつめることはできます。
ですが…注目を集めても,続きを読んでもらって,最終的に購買という行動に移してもらえなければ意味がありません。
数字の使い方をしくじると,一気に信ぴょう性がなくなります。
注目を集めることはできても,続きは読んでもらえないのです。
例えば…主婦向けに,在宅ワークのノウハウを教えるとします。
そのレクチャーを販売する時に,こんなコピーだったらどうでしょうか。
「毎日1時間の在宅ワークで年収1億円を突破したい方,他にいませんか?」
さすがに,これはうさんくさいのではないでしょうか。
では,
「毎日1時間の在宅ワークで年収1000万円を突破したい方,他にいませんか?」
先程の「1億円」よりはマシです。
それでも,在宅ワークで年収1000万円というのは,どれだけリアリティがあるのでしょうか。
1ヶ月で約84万円です。
…基本的に多くの場合,夫よりも遥かに収入が上回ることでしょう。
もちろん,1000万円を超えることができたらいいな…とは思うでしょうが,
「自分にそれができる」
とは思えない人のほうが多いのではないでしょうか。
では,これはどうでしょうか。
「毎日1時間の在宅ワークで毎月10万円を稼ぎたい方,他にいませんか?」
毎日1時間で,10万円稼ぐ…というのですから,単純に時給としては,3000円ちょっと,ということになります。
ある意味,とてもリアリティのある数字になるでしょう。
数字というものは,「リアリティ」の結晶です。
リアリティとは日本語でいう現実性です。
定義【現実性】
実際に存在し得るもののもつ性質・特徴。現実として存在しているものの在り方。
例えば,値段。
その商品の価値の究極の現実性だと言えます。
1000円なら1000円。
10000円なら10000円。
値段がついていることで,極めて具体的になります。
けれど,数字は場合によっては現実性を失うこともあります。
例えば,世界ナンバーワンマーケティングコンサルタントのジェイ・エイブラハム。
彼は測定できているだけで,少なくとも1兆円以上の売上アップをもたらした…と言われています。
もちろん,米ドルと日本円との通貨レートの関係もあるので,本当に1兆円かどうかはともかく。
でも,1兆円と言われて,どうでしょうか。
リアリティを感じるでしょうか。
あまりに大きすぎる数字に,リアリティを感じないのではないでしょうか。
もしかしたら,
「コンサルティングをした結果,半年で売上2億円を突破…」
としたほうがわかりやすいかもしれません。
年収で言うならば,どういうわけか
「年収1000万円」
を目指す人が多いようです。
年商なら,「年商1億円」を目指す人が多いようです。
本当でしょうか。
みんながみんな同じような数字を上げているので,付和雷同しているだけではないでしょうか。
けれど,みんなが1000万円,みんなが1億円を目指しているということ自体は一つの情報です。
例えば,
「年収1000万円で満足できないあなたへ」
というコピーは,この「みんなが1000万円を目指している」という考えの上に成り立ちます。
もしここで,
「年収1億円で満足できないあなたへ」
では,リアリティを超えてしまい,反応する人は激減するでしょう。
数字は大きすぎても小さすぎてもいけません。
相手のリアリティの中で,最も効果的な数字をあげて下さい。
あなたがよりアップスタッツな明日になりますように。
セールスコピーライター 飯山陽平
追伸
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