誰よりも優秀だったパート事務員の話

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こんにちは。
アップスタッツの飯山です。

ある方から,
求人で応募がなくて困っている
という相談をいただいたので…

 

この相談をしていて
思い出した昔話を,
今日,お伝えします。

 

思い出話なので,
コレといったオチは…
あるんだかなないんだか…
という話ですが。

 

優秀な人材がほしい…
という方は,
何か思うことはあるかもしれませんね。

 

以下,思い出話を例に
解説していきます。

 

私がまだ,
マーケターではなく…
マーケティングはかじった程度で
法務職にて個人事業主をしていた頃のことです。

 

いろいろあって,
はじめて,
人を雇用することにしました。

 

 

慣れない中,
四苦八苦して…
ハローワークで求人募集をして…

 

応募があったものの
今度はどうやって面接したらいいのか,
大慌てで調べ…

 

必死に準備して…
面接したのですが。

 

そのはじめて面接をして…
はじめて採用した,
あるパート事務員の女性。

 

 

あえて,
表現するならば…
「特異」
な女性でした。

 

 

でも,
その異能ぶりは,
気づかなかった。

 

 

普通に出勤してもらい,
普通に仕事を教え…
普通に書類作成をしてもらい,
電話に出てもらい…

 

 

時代は,
いわゆる
「過払い金バブル」
と呼ばれる直前の話です。

 

つまり,
彼女を雇って…
私も,集客を覚え,
どんどん,過払い案件を獲得したり…
あるいは,この法務職では昔から
扱っている「登記手続き」関係の仕事も
増えていき…

 

 

そこで,
また紆余曲折を経て,
男性事務員を雇用しました。

 

 

こちらは,正社員で,
期間は短いものの,経験者。
かつ…その国家資格について
2年以上勉強してきているので,
資格はなくとも知識はあります。

 

 

男性事務員は,
経験者だし,
国家試験の勉強もしている…
という前提だったので,
仕事を任せたものの,
うまくできない。

 

そこで,
その背景となる法律を説明し
手続きの内容を説明し…
それをどう書類に落とし込むのかまで解説。

 

すると…

「ああ,なるほど,
そういうことですね」

…と,試験勉強で学んだことと
紐づけて,理解します。

 

理解しますが…
でも,一発でできるとは限らない。

 

二回三回と同じ間違いを繰り返し,

 

「これ,前も教えたよね」

「ああ…そういえば…」

 

となって,
ようやく仕事を覚え…
でも,たまにまた同じポカを
やらかすわけです。

 

もちろん,
間違った書類を作成,退出したら
大変なことになるので,
私が必ずチェックします。
チェックすることと,責任を取るのが
私の仕事と言えます。

 

が。

 

 

そこで
はじめて,
上述のパート事務員の
「凄み」
に気づいたのです。

 

彼女は,
近所の高校を卒業。
そこから,
ある会社で事務職をして…
数年経った後,寿退社。

 

退社したものの,
子どもがいるわけでもなく,
ずっと家にいて家事だけをしていても
退屈なので…働きたい…とのことでしたが。

 

 

つまり,
高卒の一般会社の事務職というキャリアで,
法務系国家資格の事務所に
飛び込んできて…

 

書類作成を任せたら…

もちろん,資格試験の勉強はしていないし,
経験も知識はないので,
はじめは全く何も出来ません。

 

何も出来ないので,
ざっくりと,法律の話と
その手続の話,
それをどう書類に落とし込んだら
こうなるのか。

 

といった話を…

「少し難しいかも…」

と考えながら教えるわけです。

 

 

すると…
彼女は,次から毎回完璧に
その仕事をこなすのです。

 

繰り返します,
資格試験の勉強をしておらず,
前提知識はないので,
はじめての仕事はまったくできません。

 

 

一口に書類作成でも,

Aパターンと
A’パータンがあった時…

AとA’の違いはわからないので,
Aのは完璧にこなしても,
A’の仕事は「教わらないと」できません。

 

つまり…
Aの仕事とA’の仕事を
両方きっちり押したら…
次から二度と間違えることなく
完璧に書類を仕上げてくるのです。

 

しかも,
AとA’の違いを,自分で判断できるようになります。

 

上述の資格試験勉強中の正社員は,
Aの案件にA’の書類を作って,
最初から作り直すハメになる中…

 

彼女は,
「どっちなのか」
の判断も完璧で,
二度と同じ間違いはしません。

 

逆に…
「はじめてだと,ここを間違えるかも…」
と私が推測して,でもそこの点を
補足することなく書類作成を任せると…
私が予測した通りに,「しっかりと間違えて」
作成します。

 

その事例を以て,
「これはここが違うからこうなる」
としっかり教えたら,
間違えないのです。

 

 

私は人を雇ったのは
彼女が初めてなので…
彼女の「特異性」は気づきませんでした。

 

他の事務員を雇った時に…
彼女がどれだけ事務員として有能なのかを
実感したわけです。

 

 

そこで,私は仕事ぶりを称賛しつつ
尋ねたところ…

 

謙虚な彼女は

「そんなことないです,
毎回必死です」

 

などと言うわけですが。

 

でも,聞くところによると,
私が教えた内容は
その場で全部,走り書きでメモを取り…

 

メモを取っていることは
目の前でやっていることなので
わかっていましたが。

 

毎回,家に帰ってから,
内容を整理して,
復習して,全部,メモを清書して
自分だけの仕事の参考書に
仕上げているのです。

 

はじめのうちは,
毎回2時間以上,
時間を充てていたとか。

 

旦那さんが,研究職で
いつも家に帰ってから
勉強することが多いらしく…

 

 

毎回,一緒にずっと勉強して
次の仕事に備えていた…とか。

 

その後…

書類作成は,
私よりも遥かに早く精確に作成するので,
そういった仕事はどんどん任せ,
私は集客に集中。

 

2年ほど,
当事務所で大活躍。

出産を期に,退職しました。

 

 

さて。

 

ここまでの彼女のエピソードを見て
そして,あなたが仮に
事務職を求人募集しているとしたら…
きっと,彼女のことを雇用したいと
思ったのではないでしょうか。

 

では…実際に…
このエピソードを全く知らず…
彼女が仮に普通に応募してきたら,
どうなるのか。

 

履歴書には,
高卒で,一般企業で事務職を○年間
やっていた…という情報だけです。

 

 

その後,
法務系の事務所で,
○年間,事務職をして
出産を期に退職。

 

…なわけですね。

 

そして,
法務系の事務所で覚えたスキルは
一般企業で活用できることなど
まずないでしょう。

 

ということは…
履歴書だけでみたら,
「単なる女性事務職の求職者」
でしかないわけです。

 

彼女が…
育児が落ち着いて,
再度,仕事をすることになったときに…
はたして,彼女はすぐに職を手にできるのか。

 

 

また…
雇ってみただけではわからす,
そして別の事務員と比較して
はじめて彼女の優秀さを認識した私も,
本当に経営者としては,愚かでした。

 

 

あれから…
15年以上経ちます。

 

 

履歴書には載らない,
その人の優秀さを,
今はどれだけ見抜けることでしょうか。

 

 

当時は本当に経営者として
知識経験スキル,
何もありませんでした。

 

そこから,
何度も痛い目にあい,
大金を無駄にし…
その上で,
本当に信頼できる人から
確かな技術を教わり…

 

 

とはいえ,それを
私が使いこなすことが出来ず
さらなる失敗を経て…

 

今となっては,
自分が人を雇うという
ビジネスモデルではなくなりました。

 

機会があれば,
誰かにしっかり伝えていきたいですね。

 

そして…

 

今はもう会うこともない
…氏名すら…すぐには思い出せない
優秀だった事務員の彼女。

 

今もなお,平穏に過ごし,
彼女の優秀さを理解し
しっかりと活用してくれる
良い経営者のもとにいることを
願いたいものです。

 

 

あなたがより「アップスタッツ」な明日になりますように。
アップスタッツ 飯山陽平

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